〖下〗
玲央
「下……。」
一樹
「はっ……。」
海斗
「……。」
鷹臣
「……嘘だろ。」
真奈
「何で嘘なんだよ。」
真奈
「当たり前だろ。」
真奈
「でっけぇ木が急に上から降ってくるか?」
真奈
「果物も。」
真奈
「実りも。」
真奈
「欲しいからって上から降ってくるか?」
病室静寂。
真奈
「欲しいなら。」
真奈
「下見て。」
真奈
「選んで。」
真奈
「掴んで。」
真奈
「手に入れるだろうが。」
真奈
「木だってそうだ。」
真奈
「最初は。」
真奈
「小っせぇ芽だろうが。」
静寂。
真奈
「何。」
真奈
「訳分かんねぇ事言ってんだ。」
真奈
「チッ。」
沈黙。
ポタ。
全員止まる。
海斗だった。
海斗
「……あれ。」
頬を触る。
濡れていた。
蓮も俯いている。
鷹臣も黙る。
玲央
「……。」
一樹
「……。」
紫苑だけが動かない。
だが。
震えていた。
真奈
「……。」
由美
「そのくらいにしなさい。」
真奈
「……はーい。」
由美は静かに前へ出る。
由美
「いっぱい頑張ったのね。」
全員止まる。
由美
「もう。」
由美
「泣いていいわよ。」
次の瞬間。
張っていたものが。
全部崩れた。
真奈
「まっ。」
真奈
「実りもんは恵だからな。」
真奈
「雨の恵。」
真奈
「風の恵。」
真奈
「地の恵。」
真奈
「太陽の恵。」
真奈
「色んなもん受けて。」
真奈
「やっと実る。」
静寂。
真奈
「だから。」
真奈
「感謝して受け取るもんなんだ。」
真奈
「掴むもんじゃねぇ。」
真奈
「受け取るもんなんだ。」
真奈
「有難くな。」
病室静寂。
真奈
「まっ。」
真奈
「上見て掴むもんなんか。」
真奈
「たかが知れとるわ。」
全員
「……。」
由美
「真~~奈~~。」
真奈
「分かったって!」
杏奈
「クスクスクス。」
胡桃
「もう……。」
海斗
「何なんだこの家族。」
蓮
「すげぇな。」
鷹臣
「いや泣いてたんだけど俺。」
玲央
「……。」
紫苑だけ黙っている。




