〖違和感〗
暫くして
胡桃
〖うん。表面の残滓は無くなったわ。綺麗になった。良かった。
〗
胡桃
「氷室さん、表面の残滓。全部無くなりましたよ。良かったですね。どこか変な場所とかは無いですか?」
紫苑
「え?あっ。····いや、特には······ない。」
胡桃
「良かった。今から回復しますね。
」
今度は、淡い桃色と金色だったのが徐々に淡い桃色と若草色に変わっていく。
紫苑
「色が変わった?」
胡桃
「見えました?ふふっ。金色の時は浄化や霊糸等の時で、若草色の時は特に回復の時になるんですよ。見えるようになったのは、多分、お姉ちゃんが霊力を入れた名残かもしれないですね。」
紫苑
「そうなのか。力が加わると見えるようになるのか?」
胡桃
「いえ、人によって様々ですよ。それにずっと見えている訳ではないので、安心してください。」ニコッと笑った。
紫苑
「そう······か。」
胡桃
「???」
紫苑
「どうかしましたか?」
紫苑
「いや····なんでもない。」
沈黙。
若草色の光が揺れる。
紫苑
〖見えなくなるのか。〗
止まる。
〖……何考えてんだ。〗
胡桃
「氷室さん?」
紫苑
「……いや。」
紫苑
「なんでもない。」
視線を逸らす。
〖見えない方が普通だ。〗
〖戻るだけだ。〗
治療が進むが沈黙も続く。
紫苑
「あの·····さ、今日って平日だろ?仕事は?」
胡桃
「今日はお姉ちゃんが有給取っていいって。溜まってるから使えって。ふふっ。あんまり使う事ないから。」
紫苑
「そう······か。」
「終わったら、帰るのか?」
胡桃
「はい。家でお母さん待ってるし、弟達も帰ってくるので。」
紫苑
「そう·····か。」
〖俺、そうか。しか言ってなくね?〗
胡桃
「うん。もぅ大丈夫そぅですね。氷室さん、終わりました。」
紫苑
「え?あっ。ありがとう。」
胡桃
「今日で治療は終わりです。」
胡桃
「夕方にお医者さんが来て。」
胡桃
「明日病棟に移れるか話があると思いますから。」
紫苑
「あっ……。」
紫苑
「あぁ。」
胡桃
「じゃぁ。」
胡桃
「お身体には気をつけて。」
胡桃
「さようなら。」
ペコッと頭を下げる。
扉が閉まる。
カチ。
静寂。
紫苑は一人残された。
紫苑
「……。」
病室を見る。
静かだった。
さっきまで居た。
暖かさも。
声も。
もう無い。
紫苑
〖なんなんだ。〗
止まる。
紫苑
〖終わっただけだろ。〗
それなのに。
胸の奥だけ。
妙に静かだった。
紫苑
「……。」
紫苑
「なんなんだ。」
自分でも分からなかった。




