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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
第1章 「帰してもらえない胡桃」
1/8

プロローグ

その血は、

“祓う”ために存在する。


夜に生きる者達。

人を斬る男。

異形を喰らう存在。


そして、

住む世界が正反対の2つの家。


これは、

神崎組と冠崎家、

二つの世界が交わる物語。


──『祓ノ血族』

夜の街は、静かだった。


雨上がりのアスファルトが光を反射し、

街灯の灯りが滲んでいる。


胡桃は小さく息を切らしながら、

人気のない路地を走っていた。


「やばっ……

残業しすぎたぁ……」


スマホを見る。

時刻は23時48分。


冠崎家に帰れば、

真奈に絶対怒られる。

『遅い』

『連絡くらい入れろ』


そう言いながら、

多分ご飯を温め直して待ってる。

胡桃は少し笑った。


「うぅ……

早く帰ろ……」


その時だった。


──ガンッ


鈍い音。


何かが壁に叩きつけられる音がした。


胡桃の足が止まる。

「……え?」


細い路地の奥。


暗闇の中で、

男が一人、壁にもたれ崩れ落ちていた。


胸元が赤い。


いや、違う。


“赤すぎる”。


血だ。


胡桃の呼吸が止まった。


その男の前に、

もう一人立っている。


黒いコート。


雨に濡れた長い前髪。


暗闇に溶けるような、

冷たい横顔。


男は静かにナイフを払った。


血が飛ぶ。


胡桃の視界が真っ白になる。


「っ……!!」


声が出ない。


動けない。


怖い。


なのに、

目が離せなかった。


男が、

ゆっくりこちらを見る。


その瞬間。


背筋が凍った。


まるで、

“死”そのものに見つめられたみたいだった。


紫苑は僅かに目を細めた。


「……目撃者か。」


低い声。

感情が無い。


胡桃は後退ろうとして、

足がもつれる。

「ち、違……っ」


逃げなきゃ。


そう思ってるのに、

身体が言う事を聞かない。


紫苑は静かに近付いてくる。


足音が、

異様に静かだった。


胡桃の瞳に涙が滲む。

「来ないで……っ」


その瞬間。


紫苑の姿が消えた。


「……え?」


次の瞬間には、

目の前にいた。


「っ──!?」


首筋に、

軽い衝撃。


視界が揺れる。


胡桃の身体が崩れ落ちた。


倒れる直前、

紫苑の腕が支える。


「……。」


紫苑は胡桃を見下ろす。


こんな現場を見た一般人なら、

普通は泣き叫ぶ。


だがこの女は違った。


恐怖の中に、

“他人を心配する目”が混ざっていた。


まるで、

死にかけていた男を

助けようとしていたみたいに。


紫苑は僅かに眉を寄せる。


「……変な女。」


そう呟き、

胡桃を抱き上げた。


細く、

驚くほど軽い身体。


そのまま紫苑は、

闇の中へ消えていく。


──その出会いが。


神崎組と冠崎家、

二つの運命を大きく変える事になるとは、


まだ誰も知らなかった。

読んでくださってありがとうございます!


冠崎家も神崎組も、

癖が強すぎる人達ばかりですが、

私は全員かなり気に入っています。


特に胡桃は、

優しすぎるからこそ、

この世界で一番危うい子かもしれません。


これから、

それぞれの過去や因縁も出てくるので、

楽しんでもらえたら嬉しいです。

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