第96話:無事だったか‼
遅くなって申し訳ありません。
(また当たりを引いたか……)
距離に余裕があったので、神眼で向こうを確認するとオークジェネラルが覇気を持っていた。
(2分の2で当たりを引いてるのか……、ついてるのか?)
オークリーダーは雑魚扱いで済むが、覇気を使うジェネラルは面倒だ。厄介な相手ではなく、面倒な相手だ。
時間を稼げば確実に倒せるが、今は少しの時間も惜しい。
取り敢えず突撃!
オークリーダーを無視し、オークジェネラルに飛びかかりつつ神気刀を振り下ろす。
ガキン!
やはり神気刀が効かないか。
刀と棍棒がぶつかり合い、刀に体重をかけて反動でオークジェネラルとの距離を取りつつ魔法を放つ。
「サンダーランス!」
バタン!
オークリーダーの頭が砕け散り、地面に倒れる。
(オークリーダーとはいっても、近くから頭をランス系で狙われたら呆気ないな)
これでオークジェネラルとタイマンに持ち込めた。
集落の奥を脳内マップで確認すると、C班の連中はまだオーク達には辿り着いてはいないが任せよう。
俺は早くコイツを何とかせねば。
神眼を常時使い、オークジェネラルを切りつける。
数度打ち合い実感したが、このジェネラルは昨日の個体よりもレベルが高く、それに伴いステータスも上だ。やりにくい……。
(昨日のヤツと闘った時にはレベルが上がった後だったからな……)
昨日のオークリーダーやジェネラルの経験値は全てエリアスに貢いだので、今の状況では少し俺が押されている。
距離を取り、目の前のジェネラルの魔力を減らす為に、セコい時間稼ぎをするが、減り方がおかしい。
ヒット・エンド・ウェイを繰り返し、ジェネラルの状態を確認するが、魔力が減るには減っているが、減りに違和感を感じる。
3分も打ち合った頃に、違和感の謎が解けた。
ヤツは俺と打ち合う瞬間だけ覇気を使い、お互いの距離がある場合は覇気を切っている様だ。(器用な魔物だな!)
知性のスキルは持っていないが、とても賢いやり方だ。
オークジェネラルのステータスの高さに苦戦しつつ、魔力切れを待っていたが、これでは時間がかかってしまう。
奥に向かった連中は戦闘を始めた様だが、これでは俺が足を引っ張ってしまう事になる。
この後の事を考えると勿体無い気がするがやるしかない。
一旦、オークジェネラルと20メートルの距離を取り、神経を集中する。
「火装炎武!」
一気に魔力を持って行かれたが、構っていられない!
長引けば更に魔力が減ってしまう。
昨夜、レイラインが教えてくれた事が本当なら、火装炎武で武器はおろか、身体中を火魔法で覆えば覇気と同じ効果を得るハズだ!
俺の火装炎武に驚いたジェネラルが、雄叫びを上げて向かってくる。
この闘いでは初めてむこうから向かってくる形になったな。
素早く自分のステータス画面を見ると、攻撃力・防御力・素早さの3つが上がっていた。
どの程度、上昇していたのか正確な数字は確認しなかったが、確実に効果が現れているので、今はこれで十分だ。
ハニービーを倒した際に感じた身体の軽さは、俺の気のせいではなかった。
これでヤツのステータスを上回った、イケる!
俺に近付くオークジェネラルに俺も全力で走って近付く。
最初の1撃の様に飛び上がって全力で神気刀を振り下ろす!
「これならどうだぁぁ‼‼」
バジュバァァ!
えっ⁉ ウソ⁉ マジで?!
気合いの籠った俺の一振りが、オークジェネラルの棍棒ごと、その身体を真っ二つに切断した!
オークジェネラルを唐竹割りにし、火装炎武を解く。
使用時間は1分にも満たないが、効果はてきめんだった。
オークジェネラルの切り口は炎で焼かれて良い匂いが漂っている。
すりすり
エリアス、空気を読んでくれ……。
シウバのパンを渡し、奥の連中に合流する為に全力で駆ける。
オーク達の死骸は後で回収すればいいや。
1分もしないうちに、20人の姿を捉えた。
「おーい!」
俺に気付いた獣人の冒険者が手を振る。
マップでは分かっていたが、8体のオークの始末は終わっているし、全員が無事に生きている。
ケガをしていたら俺が治せば済むが、死んでいたらどうしようもないからな。(ザオ○クやレ○ズなんて魔法はない)
「無事だったか‼」




