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第91話:お待ちかねの時だ!

うわばみエルフだったのか⁉


「お・か・わ・り!」


グラスを俺に突き出すレイラインは特に悪酔いしている様には見えない。


「どうぞ」


酒ぐらいで俺の知りたい情報を得られるのなら、安いもんだよ。


「で、レイライン、【覇気】って知ってるか?」

「ええ、知ってるわ。それにしても、このお酒は美味しいわね。おつまみも良いわ」

「レイライン」

「分かってるわよ。スキルの【覇気】よね、勿論知ってるわ。別名を【人外の気】と言われているわね」

「何だそれ?」

「あら、知らないの? 人外に至る程の強さを持つ者が、会得する程の強力なスキルと言われているのよ、覇気は」


そんな風に言われてるのか、知らなんだ……。そんなモン、【神の知識】でも教えてくれんぞ。


「今日倒したオークジェネラルが使っていたんだ。ジェネラルクラスなら、皆が使えるのか?」


これは、俺にとっては重要な事だ。


「そう……、確かにオークジェネラルなら使えても不思議ではないわね。全てのオークジェネラルが覇気を使える訳ではないわね。本当にごく稀に覇気を使える個体がいる程度よ。オークならね」


それならひと安心だな。


「覇気を使える魔物は本当に一部よ。Bクラスでごく稀に使えるレベル。Aクラスで稀に使える程度、Sクラスである程度が使えるわね。それでも魔物と覇気というスキルの相性があるから、接近戦が得意な種族に限定されるわ」

「という事は、高ランクで接近戦が得意な魔物の一部が持っているんだな?」

「そうなるわね。その条件を満たしていても、持っていない魔物だっているから一概には言えないけどね。お代わり」


はいはい。


「なら俺は当たりを引いただけか」

「当たりか外れかは知らないわ。覇気を持つオークジェネラルなんて、私はゴメンだわ」


そう言って、グラスの中身を一気に飲み干した。


「他のお酒は無いの? 料理といい、お酒といい、貴方の故郷には美味しいモノが沢山あるみたいね?」

「バルム子爵にも、同じ事を言われたよ」

「あら、そう……、バルムのくせに。で、あるんでしょう?」


う~ん、うわばみエルフに酒はやぶ蛇だったかな?


「まだあるがもう1つ、それに答えてこれたらこれをやる」


アイテムボックスからいつもの日本酒を出す。


「大きな瓶ね、中身は?」

「故郷の国の名前がついてる日本酒と言う種類の酒だ。この時期なら、温めて飲むのがオススメだ」

「面白そうなお酒ね。それで、何を聞きたいの?」

「オークジェネラルが覇気を使って、魔力で武器を強化していたが、同じ様な闘い方を覇気なしでやる方法はあるか?」


日本酒が気になっているレイラインに問う。


「皆が結構やってるわよ」


アッサリと答えが返ってくる。


「一般的な事なのか⁉」

「1番知られているのが、属性魔法を武器に付与する事ね」


何?


それも同じ部類なのか⁉ 俺の【火装炎武】も原理は同じだ!


「あとは純粋に魔力を武器に流し込むやり方ね」

「流し込むのか? 纏わせるんじゃなく?」


属性魔法を武器に付与するという事は、魔法で武器を覆う事になるのに、魔力を武器に流し込むのか?


「流し込むのよ。そうする事で、一時的に武器の構造を補強して威力や耐久力を底上げするのよ」


ほう、そういう事ね。


「どうして付与の方が知られているんだ?」

「そっちの方が楽だからよ。魔力を流し込むには、常に魔力の操作に意識を向ける分が面倒なのよ。もういいでしょ、そのお酒を渡しなさい」


俺からひったくる様に、レイラインが日本酒の1升瓶を奪った。


ポン!


「あら、良い香りね。温めてもらえるかしら」


はぁ~。


「少し待ってろ」


カセットコンロを出して、熱燗の準備をする。


「ふぅ、冷たいままでも美味しいじゃないの」


どうやらレイラインは、熱燗の前に冷やの味を確かめた様だ。


「ウチのおばあちゃんがすみません……」

「レイライン様の楽しみはお酒でして……」


ユインとシュウが小声で謝ってくる。(可哀想に……)


「気にしてないよ。情報料として提供するだけだから」

「そうよ。これは私への対価よ」

「ホントすみません……」

「申し訳ありません……」


2人が可哀想に見えてしなうな。


「気にするなって、ジュースもまだあるから遠慮するな」


2人にジュースのお代わりを注ぎ、レイラインにお猪口を渡す。エリアスはいつの間にか、頭の上で寛いでいた。


「小さなコップね?」

「文句は飲んでからだ」


徳利を出し、お猪口に酒を注ぐ。


「熱いかもしれないから気を付けて飲んでくれ」

「ハイハイ」


クイッ!


「はぁ~、美味しいじゃないの、気に入ったわ」


俺から徳利を奪い、手酌で飲み出す。


「レイライン、最後に1つ、マノンの事をどう思う?」


もつ煮込みを盛った皿を見せながら問う。


「あの子はダメね。地位や権力に執着し過ぎだわ、さっさとソレも渡しなさい」


まだ渡さない。


「分かったわよ。ニードラングの当主は代々、何故か地位や権力に興味が薄く、冒険者や他の国に憧れる者が多いの」

「どうして?」

「それは分からないわ。でもそのおかげで税は軽く、領民は暮らしやすい環境があるの。マノンが当主になれば、ニードラングは確実に変わるわ。悪い方向にね」

「マノンはソコまでの事をすると思うか?」

「未遂とはいえ、行動に移したんでしょ?」

「知っていたのか?」

「直接、聞いた訳ではないけど分かるわよ。ちょっとお灸を据えた方がいいかもしれないわね」


(そうか、レイライン程の重鎮の評価もこんな感じか)


マノンへの嫌がらせをすると決めていたので、ちょっと心が軽くなった。


「貴方も少し関わったんでしょう? 何かするなら遠慮はいらないわ」

「バレてたか、ありがとう。日本酒に合うと思う、食べてくれ」


もつ煮込みを渡す。


「臓物料理ね?」

「ああ。ダメか?」

「いいえ、むしろ好物よ。いただくわ」


パク


「フフッ、美味しいわ。この温かいお酒にも合うわね」


ご機嫌になったレイラインからエルフについて、面白い話を聞いた。


エルフの国は、イメージ通りの木々が生い茂る国らしい。

主食は森で自生している野菜や果物と木の実、それから肉。

森で生きる動物や魔物の肉が食事には欠かせないらしく、以外にもエルフは肉食の生活を送っているんだって。(イメージとは違うな)


農業等はしない為、穀物を食べる習慣がなく、レイラインは此方の生活に慣れているのでパンを食べる事に違和感はないが、国を出たときは驚いたらしい。


そんな訳で、エルフの国にいた時はよく臓物料理を食べていたそうだ。


熱燗の魅力に取り付かれたレイラインを置いて、ユインとシュウの3人で寝る準備を始める。



さてと。


お待ちかねの時だ!

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