第90話:うわばみエルフだったのか⁉
皆様、いつも【いわゆる異世界転生】をお読み頂き、誠にありがとうございます。
活動報告にて、少々書き込みをしましたのでよければ覗いてみてください。大した内容ではありません。
今後とも、宜しくお願い致します。
「あら、早かったのね?」
「お帰りなさい」
「お早いお帰りですね」
3人は俺に気付き声をかけてくれた。
「行くには行ったが、ちゃんと話はしなかった」
「どういう事?」
レイライン達に先程のやり取りを説明した。
「確かに貴方の言った事は正しいけれど、少し言い過ぎたわね」
それは自分でも解ってる……。
「でも、貴方がジェネラルを倒した事から考えて、他の集落にもジェネラルがいると仮定して動く事は正しいわね。今回のメンバーの中に対処できる人は少ないもの、数で攻めるだけなら被害が大きくなるわ」
「ジェネラルって、そんなに強いの?」
「ええ。本当に強いわよ」
「このニードラング領内でオークジェネラルが出たのは、前回のスタンピードの際だったはずです」
「そうね」
前回のスタンピードとなると、20年とちょっと前か。その時のスタンピードがどれ程のモノだったのかはわからないが、スタンピードと言うからには相当な規模の魔物が襲ってきたのだろう。
通常のオークと違い、オークジェネラルは滅多な事では現れない。2段階上の魔物なのだから。
オーク達が普通に生きているだけならば、オークジェネラルなんて産まれない。正確には進化しない。
よくてオークリーダーだろう。集落ができる方が珍しいのに、1つの集落にリーダーが2体とジェネラルがいたのだ。もうこの状況は異常としか言い表せない状況にきている。
俺込みでオークジェネラルに挑み、多大な犠牲の末に倒せたとしても、集落は現状で12ヶ所もあるのだ。
全ての集落を潰す前に、俺以外の冒険者達が全滅してもおかしくはないだろう。そうさせない為にも、レグにはよく考えて欲しい。
「俺を上手い事使って、此方の被害を最小限にする為の作戦が必要だ。それが無理なら俺が1人で潰す、3日でな」
「本気で言っているの?」
これは譲れない。赤の他人の命など、知ったことではないが、2日間も一緒にいた連中を見殺しにするつもりはない。
「本気だ。無駄死になんて気分の悪いことはさせない」
「やさしー」
「意外なところもあるのね」
「素晴らしい考えですね」
【意外】とは失礼だが、別に変な事は言ってないと思うよ?
「レイライン、酒はイケる口か?」
アイテムボックスから白ワインとグラスを出す。
「何? 口説いてくれるの?」
「曾孫のいる前で節操の無い事はしないさ。年長者に少し話を訊きたいんでね、情報料だ」
「頂こうかしら。暇だし、付き合ってあげるわ」
「ありがとう」
時刻はまだ20時前。寝るには早い。
レイラインには白ワイン、ユインとシュウには葡萄ジュースを渡して、話を始める。(エリアスにも葡萄ジュース)
「今回の異常繁殖をどう思う?」
「あら、美味しいわ。ワインよね?」
「俺の故郷の白ワインという酒だ。此方のワインよりもスッキリして飲みやすいだろ?」
「ええ。飲みやすくて美味しいわ」
「このジュースも美味しいですね」
「見た目はワインに似ていますが、とても美味しいです」
「ありがとう。よかったらこれも食べてくれ」
木皿にポテチやポ○キー、唐揚げを出して3人にすすめる。
「これも美味しいわね」
「この黒い棒のお菓子、甘ーい!」
「見慣れない食べ物ばかりですが、とても美味しいです。食事は済ませたばかりですが、いくらでも食べれそうです」
日本のお菓子を悪く言うヤツはいないだろう。エリアスも一緒になって唐揚げを食べている。(まだ食うのか⁉)
「そうそう、異常繁殖の事ね」
「ああ、その辺の事を聞きたい」
「今日の貴方の出来事から考えても、異常過ぎる事態だわ」
やはりそうか。
「オークが42体いる集落は珍しくはないけれど、その中にリーダーが2体とジェネラルがいるのは不自然よ。オークの数で考えれば、オークリーダーが1体いるのが普通だわ。お代わり」
レイラインのグラスにお代わりを注ぐ。
「上異種の数と集落内のオークの規模が合わない。それなのに、周辺には他にもオークの集落がある。」
「そうだ」
「考えられる事は3つ。先ずは1つ目、たまたま上異種が3体もいる集落を貴方が潰しただけ。2つ目、この森に存在する集落にいるオークを束ねていたのが、貴方が倒したオークジェネラルだった。3つ目は、他の集落にもリーダーやジェネラルがいて、何処かの集落には更に上の上異種の存在がいる事。こうなればオークキングね」
残念な事に、俺の考えと一致している。
「俺も同じ事を考えていた」
「でも、レグはそこまでの考えには至っていなかったんでしょう?」
「そうみたいだった。事態は俺達が思っていた以上に深刻なのに……」
「そうね。私は1つ目か3つ目の可能性が高いと思うわ。お代わり」
はいはい。
「願望としては2つ目だけど、可能性としてはこれが1番低いわね」
「どーしてなの?」
「ユイン、言ったでしょう願望だって。あってもおかしくはないけど、可能性だけの話よ。それで言うなら1つ目か3つ目の方が現実的だわ。貴方はどう思うの?」
「俺も1か3が濃厚だと思っている。どの集落にもジェネラルがいると考えた方がいいと思うし、キングの存在を警戒しなければいけないと考えている」
「貴方の言う通りね。他に訊きたい事は? 美味しいお酒に免じて話してあげるわよ?」
「それならお言葉に甘えさせてもらうよ」
「ええ、いいわよ。その前に、お代わり」
しかし、よく飲むな。俺はまだ1杯目だぞ?
ユインが耳元で囁く。
「ヨシタカさん、ごめんなさい。ウチのおばあちゃんって、お酒が大好きなんです」
なんだとっ!
うわばみエルフだったのか⁉




