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第77話:休憩にしよう

「私もスライムが欲しい!」


「ユイン!ダメよ‼」

「え~ど~し~て~。」

「そうやって実家を猫屋敷にしたのは誰だったかしら?!」

「うっ!それは…。」

「可愛い物を見たら集めるのは貴女の悪い癖よ。それに貴女はこれまでにどれだけのスライムを倒してきたと思っているの?その中にテイムできそうなスライムはいたの?狙ってテイム出来るようなものじゃないのよ?」

「お祖母ちゃんでもテイムする方法を知らないの?」

「そんなの知らないわよ。」

「チェッ…。」


ぴょんぴょんぴょん!


「あっ!」


エリアスが自分で俺の頭の上に戻って来たよ。


「見てみなさい、ちゃんと自分の主を理解している様よ。」

「は~い…。」


定位置に陣取ったエリアスは、俺の頭の上が落ち着くのか平べったくなって寛いでいるようだった。


それを見てユインが反応している。


「お祖母ちゃん見て、可愛いよ~。」

「あら、ホントに変わったらスライムね。」

「ヨシタカさん、ウチのユインがすみません…。」


俺の隣に座るシュウが申し訳なさそうに謝ってくる。


シュウの話によると、ユインは可愛いモノを集めたがるらしく、小物類ならまだ良い方で、以前は野良猫の仔猫を纏めて拾ってきた事があるそうだ。

仔猫が成長すると大繁殖を起こしたらしく、今では彼女の実家には数十匹の猫が住む猫屋敷へと変貌したそうである。(ペットの去勢なんて無いから仕方ない)


数十匹の猫か、見てみたいな…。家は臭そうだが。




そうこうしていると、ギルドへ着いた。


ギルドの入口周辺には大勢の冒険者が集まっていた。

集合時間は9時と聞いていたが、俺達4人は集合時間の前にギルマスの所に行く事になっていたので少し早く来たのだが、それでも結構な人数が集まっている様だった。


「取り敢えず、ラノッツの部屋へ行こうかしら。」


レイラインはバルム子爵に引続き、ギルマスも普通に呼び捨てにしている。

彼女にしてみれば、俺達なんてまだまだカギ扱いなのか?



ギルマスの部屋へ行くと、しっかりした装備に身を包んだレグもギルマスの部屋にいた。


「おはようございます、レイライン。」

「ええ、おはよう、ラノッツ。それで?私達に事前に話があるって何かしら?」

「このあと、集まった冒険者にも少し説明をしますが、その前に、レイラインとヨシタカにはきちんと説明しておこうと思いましてね。」



ラノッツの話はこんな感じだった。


①最終的に集まった冒険者の数は200弱。戦力としては150人にまで増えたらしい。

②通常、緊急招集中の魔石や肉等の素材は全てギルドの物になり、それらを精算して参加者に報酬を支払われるのだが、今回の討伐対象がオークということで、商業ギルドも同行して、新鮮な内にオーク肉を周辺の街に届けるそうだ。

③緊急招集を出す前に例の森に入っていたパーティーが昨日、オークの集落でオークジェネラルの存在を確認したと報告をしたんだって。



やっぱりオークジェネラルはいるんだな。

あとの問題は集落の数だな。どの集落にもオークジェネラルがいると考えて行動した方がいいだろう。


「ギルドからは指揮を取る為の人員を数名派遣する。トップはレグだ。レイラインも一応はレグに従ってくれ。」

「仕方ないわね。」

「ヨシタカには多少の自由を与えておく。今回の参加者では間違いなく最強だろう、ある程度は自由に動いてくれていいぞ。」

「分かった。」

「一応、聞いておきたい。ヨシタカ、オークジェネラルをなんとか出来るか?」

「問題ない。オークジェネラルとの戦闘になれば他のヤツに手出しさせないでくれ。被害が増えるし邪魔になる。」

「貴方、魔法使いじゃなかったの⁉」

「どうしたんだレイライン?ヨシタカは前衛タイプの剣士だぞ?」


レイラインが驚くのもムリはない。


魔法使いの戦い方は前衛に守られながら、後衛で魔法を使用して相手を倒す。

間違っても1対1で対峙する等、ありえない事だ。


彼女は魔力感知で俺の魔力量を知り、俺が魔法使いだと思ったのだろう。

通常の戦士のステータスではいくらレベルを上げても、ここまで魔力量が増える事はない。

多少の魔法が使える戦士でも、膨大な魔力量を保持する者はいないのだ。


しかし、俺は神様が用意してくれた肉体なだけあって、ステータスが異常なのだ。


既に俺は、一流の魔法使いの能力と一流の戦士の能力を兼ね備えているんだよね。




◆◆◆◆◆




その後、ギルドの訓練場に移動して、参加者全員に今回の説明を行ったあと、ギルドが用意した馬車に全員が乗り込み移動を始めた。


流石に全員を合わせれば200人を越える大所帯になるので、馬車に詰め込まれ、パレードの様に街道を進む事になった。


俺は魔法士団の3人とレグ、名を知らんギルド職員2人と同じ馬車に乗る事になった。7人で乗っているのはまだマシな扱いだ。

一応、俺達4人はギルマス直々の要請により参加したメンバーなので、その他大勢の冒険者よりも待遇が良いのだろう。


「暇~。」


「暇~。」


「暇~。」



ユインが五月蠅いな…。


「ユイン、貴女は少し落ち着きなさい。」


そうだ、そうだ。


「だって~、暇なんだもん~。」

「暇なのは皆が同じよ。」


確かに暇なのは皆同じだが、ユインは落ち着きがなさすぎる…。


すりすり



「どうしたんだエリアス?」


すりすりすりすり


ああ、腹が減ったのか。


「お前の腹時計は正確だな。」


つんつん


ぷるぷる


「もう昼か…。よし、休憩にしよう。」

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