第21話:ベルハルト様!
拙いですが、少し戦闘シーンがあります。
(このスピードは徒歩じゃないな)
比較的、固まって移動しているので、馬車かと思ったが、よくよく考えれば、エスタとニードラングを結ぶ街道なのだから、人の行き来は多くて当たり前か。
当然、荷物を運ぶ荷馬車の移動も日常的な事だろう。
エリアスと2人(?)でゆっくり休んだし、そろそろ移動を再開しなければ。
どうせ今晩も野宿は確定だが。
先程のクラウちゃんの手紙が気になり、幾つか試してみよう。
今回試すのは、冷凍食品だ。
冷食は卵や塩等に比べれば、販売会社やパッケージがハッキリしているので、何処までが規制の対象か確認したい。幾つかイメージする。
有名メーカーのチャーハン・ギョーザ・冷凍うどん・ちゃんぽん・業務用コロッケ、吉○家の牛丼の具を出す。何処までイケる?
結果、全部イケた!
よっしゃ!
牛丼が食えるよ!
吉○家だよ!
これでわかったのは、やはり店舗で食べる料理は規制の対象だが、冷凍食品は商品という括りなのか、大丈夫の様だ。
助かったぜ……。
気分も良くなったので出発だ!
◆◆◆◆◆
歩き始めて1時間程か、森を抜けて街道に入った。
すると、少し先の方でけっこうな数の人間(?)の気配を感じた。
多分、休憩中に感じた気配もいるが、さっきよりも人数が多い。
立ち止まり、気配感知に神経を集中し、感覚を鋭く研ぎ澄ます。
戦闘中の様だ。
気配からして、30人規模の戦闘か。ちょっと覗いてみたいな。
よし、ダッシュだ!(エアリスは頭の上に移動)
約2分の全力疾走で現場に到着。
遠目で人が戦っているのを視界におさめる。この距離では神眼が効かないみたいなので、もう少し近付く。距離にして100メートル。
神眼で見ると、全員が大したことない能力だった。(俺基準で)
明らかに大勢の悪党が、身なりの良い騎士風の集団を襲っている。
正直過ぎる程のテンプレ的な展開だなぁ。
良く観察すると、1台の帆馬車が燃えている。
その側には立派な箱馬車があり、数人の騎士が守っている様に見える。
お偉いさんが乗ってるんだろう、一丁恩でも売っとくか!
エアリスを頭に載っけたまま、一気に距離を縮めつつ、刀を抜く。
悪党どもは後ろから迫る俺に気が付いていない。
当たり前だ、奴等は目の前にいる騎士相手に夢中だから。
それをいいことに、俺は背後から一気に3人を切り伏せた。
「グァ!」だの「ウアァ!」と聞こえたが無視。
一瞬で3人を倒し、すれ違い様に1人を胴打ちの要領で腹を切り裂き、騎士達のもとに合流する。
「なっ、お前は!」
「貴様何者だ!」
「旅の者だ、加勢する」
騎士達に舐められても困る、強気な態度でいく。
突然の俺の登場に騎士達は戸惑い、悪党どもは仲間が殺られた事に気付き怒る。
「よくもやってくれたな!」
「生かしちゃおかねぇぞ!」
「死んで詫びろや!」
おいおい、明らかにやられキャラのセリフだぞ。
アチラさんは人族以外にも、獣人が混ざっているが、どれもボロい身なりや装備で、テンプレ的には盗賊だろう。
「誰かは知らんが助かる」
4人を瞬殺した俺の登場に、立派な鎧の騎士は俺を頼る事にしたようだ。
「そっちの戦力は?」
と訊くと
「生きてはいるが、2人やられた。戦えるのは5人だ」
「そうか、あっちは敵で構わないな?」
「ああ、盗賊だろう」
「策はあるか?」
「この人数差では厳しい」
「なら俺に任せろ」
「何をする気だ?」
「突っ込んで撹乱する。奴らの目を俺に向けるから、後は適当にやってくれ。じゃあな!」
「おい待て!」
聞かずに突っ込む俺。
森での戦いで実感したが、相手のレベルが俺より上であっても問題にすらならない。
特殊なスキルやギフトでもない限り、俺の敵じゃない。
ましてや、相手はならず者だ。これくらいの相手など、ゴブリンと変わらなかった。
突っ込んでは切る。相手が近付いては切る。
時には喉を突き、腹を抉り殺していく。
騎士達に視線を向けると、俺の傍若無人振りに怯んだ盗賊を倒していた。
残り4人なったところで、連中が逃げようとしだした。
「こんな強いヤツがいるなんて聞いてねぇぞ!」
「あんなヤツに勝てるかよ!」
「簡単な仕事だったのに‼」
「に、逃げるぞ‼」
面白い事を口走ったヤツがいたので、全員を殺さずに捕らえよう。
背を向けだした4人に対し、刀を反転して持ち直し、おもいっきり刀を振るった。
腕や肩、背中を峰打ちで倒す。2人が吹っ飛んだ。
……良かった、4人共生きてはいる。
なんか騎士達から変な目で見られている……。
俺が何かしたか?
「生きている4人を拘束してくれ。それと怪我人はどこだ⁉」
「ああ、わかった。おい!」
「ハッ!」
立派な鎧の騎士は部下らしき騎士に指示を出す。
良く見ると、歳は41才で目付きが鋭い。
ステータスもレベルが28で弱くはない。
「すまん、助かった。私はニードラング家に仕えるガランだ」
「俺は…。俺はヨシタカ。旅の者だ」
「ヨシタカか。改めて礼を言う」
「それよりも怪我人は?」
「こっちだ」
ガランに付いて行くと、箱馬車の陰に2人が寝かされていた。
「具合は?」
「刺さった矢は抜きましたが、馬から落ちた際の打撲が酷いようです。打ち所が悪かったかもしれません」
「ポーションは馬車の中だったのでダメになってしまった。街には運びようがない」
「いや、こちらの馬車に載せればいい。」
そう言って、箱馬車から1人の青年が降りてきた。
「ベルハルト様!」