第15話:スライムかよ!
……寝るか。
夜も更け、そろそろ寝ようかと思ったその時、気配感知に反応があった。
敵意を持った何かが、此方に向かっている。
なかなかの速度だ。
マジで速い!
マップ上で確認すると、離れた場所にゴブリンやスライムを確認した。
【ヤツ】は俺に真っ直ぐ迫って来る。真っ直ぐ?
【ヤツ】との距離が10メートルに迫り、やっと正体が判明した。
【ヤツ】とは、【シャドーバード】という魔物だった。
シャドーバード(LV:22)
<スキル>:夜目・飛行・隠密
どうやら夜行性の鳥の様だ。
でかいカラスにしか見えないが、大層な名前だな。(ちょっと名前負けしてないか?)
しかし、ゴブリンやスライムに比べれば、レベルが段違いに感じる。
確かにその通りだと思う。
シャドーバードは新人冒険者にとって、闇夜の死神なんて言われている。
理由は簡単。暗闇と自身の黒い羽毛を利用して、空から音も無く襲って来るからだ。
一直線に突っ込んでくるシャドーバードに視線を合わせる。
俺は右手の親指と人差し指を立て、あとの3本を軽く握って銃の様に構える。(幽霊な白書の○丸だね)
雷が相手の頭を駆け抜けるイメージを描く。
「サンダー」
指先から雷が発生し、近くまで迫ったシャドーバードを襲った。(今の魔法で、魔力の消費は5)
シャドーバードは断末魔をあげる事なく、地面に落ちた。
シャドーバードに駆け寄り、その身体を確認すると、俺が放った雷は見事に頭に命中し、絶命していた。
黒々とした羽毛は艶があり、綺麗だ。
首を切り落とし、首を下に向けて血抜きをする。
なぜ血抜きをするかって?
食べるからだろ?
そう!
この世界の魔物は食べられるモノが多い。
旨い魔物も多いらしい。 (特に強い魔物)
日本では、食用肉の多くは畜産により、きちんと育てられた肉や、猟で獲ったジビエ肉が主だったが、この世界では畜産業はほぼ行われていない。
食べられる魔物が多く、そして旨い。
食用に動物を飼育するよりも、魔物を狩った方がお手軽なのさ。
ゴブリンは元が悪食(共食いもする)で、その肉は臭くて食えたもんじゃないそうだが、鳥系の魔物は例外なく食用に適しているらしい。(アンデット以外)
この時間からコイツを捌くのは面倒なので、アイテムボックスに保管だ。
アイテムボックスに入れておけば、肉が傷むことがないし、温かい物を入れたらその状態を維持する。めっちゃ便利~♪
更に、ステータスウィンドウで、アイテムボックスに収納している品目や数が一目瞭然なのだよ、諸君。
さて、寝るか。
と、思ったその時、気配感知に反応があった。(またか!)
今度は何だ!
反応は近い!
ってか、すぐそこだ。どうして気付かなかった?
気配の反応は右斜め後方、約3メートルの距離。
刀を握りながら振り返る。
見あたらない、上か⁉
居ない、辺りをよく観察するが、それらしき姿は見えない。
オカシイ、マップ上でも目の前に気配の正体が居るはずなのに……。
地中に居るのかもと思い、詳しく脳内マップを確認しながら、目線を下に向けると、気配の正体が明らかになった。
…………
……………………
「スライムかよ!」