第13話:これからどうしようか
「さて、何を食おう」
食材は無い、調理器具も無い、最初から万物創造をアテにしていたが、何を食おうか。
よく無人島に1つだけ持っていくなら、という質問があるが、俺には関係無い。造り出せるもん!
朝(?)からまともに食べてない。シュークリーム1個なんで空気みたいなもんだ。
ガッツリいきたいが、魔力は節約したい。(肉を食うなんて今はムリだ!)
カップ麺でも試してみるか!
掌を上に向け、食べたいカップ麺をイメージする。目を閉じて真剣に。
イメージ 、イメージ、イメージ……
すると、手の平に軽い重みを感じて、目を開ける。
成功だ!残りの魔力は45。カップ麺は3使うのか。
基準がわからん。
しまった!ヤカンもポットも無いぞ!
ヤカンで魔力を使うのは勿体ない。……鍋でお湯を沸かそう。
ポットなんて造り出しても電気がないから役に立たん。
片手鍋をイメージする……、出来た! 片手鍋に魔力を20も使ってしまった。
鍋は何度でも使えるから良しとしよう。
なんか、初めての一人暮らしを思い出す。
あれも無い、これも無いで1から始めた新生活。
似たような状況に苦笑いしか出てこない。
さてと、お湯を沸かそう。
鍋に川の水を入れ、ファイヤーボール(小さいやつ)をブチ込む。もうちょい熱くしたいので、焚き火の炎で鍋を熱する。
沸騰したらカップ麺にお湯を注いで3分待つ。
川の水質は良質で飲んでも大丈夫。
ここで問題です。
ワタシが食べるカップ麺は何でしょうか?
答はのちほど。
3分待つ間に、飲み物を出す。(【造り出す】だと、言い方が堅いので、【出す】と呼称する事とする)
飲み物は……、やっぱビールでしょう!
キンキンに冷えたビールをイメージする。
より明確にイメージする為に、メーカーやラベルもイメージする。
この方が、味の再現度が格段に上昇するのだ。(クラウちゃんの所で検証済み)
成功! キ○ンの一○搾りだ。(ロング缶)
消費魔力は5。多いのか、少ないのかよくわからん。
次は350ミリ缶も試してみるか。
カップ麺が出来るまで、まだ2分半もある。
ビールを飲みながら待つか。
よく冷えたビールを手に取り、プルタブを摘まんで開ける。
プシュ!
本当にビールを再現できたのか若干、緊張しながら飲んでみる。
ゴクリ、!
炭酸の刺激にビールの苦味、爽やかながらも感じる旨味。
「ウマイ。ちゃんとビールだ……」
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ!
我を忘れそうな勢いで飲む。飲む。飲む。
「クーッ!ハァハァ、ハァ。」
残りは3分の1くらい。もう1本欲しい。ツマミも欲しい。
魔力の残量的には余裕は無いが、ビールとツマミは譲れない願いだ。(止ま~ら~ない~、ってね)
普段なら、酔っぱらった未来に向かうとこだが、今日は程々にする。
500ミリ缶と焼き鳥の缶詰を1つずつ出す。
缶詰で魔力を2消費したが、後悔は無い!
(我が生涯に一片の悔いなし‼)
折角の2度目の人生だ、後悔したくない。
缶詰の蓋を開け(缶切りはいらない)てから気付く。
箸が無い!
仕方なく、50膳入りの割箸を出して食べる。
「~~~~」
甘辛い鶏肉がウマイ。
冷めている状態で、十分に旨いのが手軽で良い!
タレの濃度がしっかりしている分、味は濃いがビールに合う! ホ○イさん、ありがとう。
そしてビールをゴクゴクと。
パク、ゴクゴク、パク、ゴクゴク
おっとイカン、3分を過ぎるとこだった。
焼き鳥はあと2切れ、ビールはロング缶が半分。
残りはゆっくり味わいたい。
おっと、あと10秒。(ゴクゴク)
よし!食べよう。
フタをはがすと、強烈なジャンク臭が漂う。
嗅ぎ慣れたジャンク臭に癒されつつも、食欲を掻き立てられる!
コレコレ、やっぱ定番のカップ○ードルだ! たまらん‼
はい!皆さん!
ワタシが選んだカップ麺は日○のカップ○ードルでした~。当たったかな?
フーッ、フーッ、ズルズルッ、ズルズルッ
フーッ、フーッ、ズズッ、ゴックン
フーッ、フーッ、ズルズルッ、ズルズルッ、ズルズルッ
ジャンクなチープさがたまらん。
時々無性に食べたくなるよね。(特に深夜)
一心不乱に麺を啜る。啜る。
スープを飲む。啜る。啜る。啜る。
焼き鳥を食べる。ビールを飲む。啜る。啜る。啜る。
あらかた麺を食べ終え、スープに浮かぶ具をツマミにビールを飲む。通称【謎肉】がビールに合うのだ。
海老も、玉子も、このスープを吸っているから、ビールのアテになり得る。
パク、パク、ゴクゴク
ズズッ、ゴクゴク
普段なら、スープを全部飲む事に罪悪感を感じるが、今日はむしろ飲み干したい。
故郷の味を飲み干したい。
もう2度と食べられないではない。いつだって食べられる。
でも、昨日までの生活には戻れない無念な思いが、未練がスープに重なり、飲み干す……。
いつもよりしょっぱく感じるが、気のせいだ。
熱いスープを飲むから、鼻水が止まらない。
鼻を啜りながら、しょっぱいスープを飲み干した……。
◆◆◆◆◆
腹もふくれ、落ち着いた。
木にもたれながら、ぼんやりと考える。
アルコールの酔いは感じていない。
疲れただけだ。
これからどうしようか。
お読みいただき、ありがとうございます。
皆様の定番のカップ麺は何ですか?
シーフードと迷ったのですが、作中の方にしました。