【物語】竜の巫女 剣の皇子 44 アルテ・ハルモニアのおはなし
昔々、あるところにアルテ・ハルモニアという不思議な世界がありました。
そこには人間以外にも妖精や妖魔、ユニコーン、竜などたくさんの生き物がいて、みんなでなかよく暮らしていました。
ある日、みんながちょっとしたことで争いになってしまいました。
そして永い間わかりあえなくなってしまい、たくさんの子供や妖精もケガをしました。
それに心を痛めた緋の巫女と武人が『助けてください』と天輪神にお祈りをしました。
天輪神は願いを聞き入れ、ふたりに天女と紅の竜をよこしました。
とても強い竜のおかげで、みんなは争いを止めました。が、竜の火がたくさんのものを焼いてしまいました。
「また緑豊かな美しい世界にしましょう」
天女はアーサラードラで、悲しむ緋の巫女と武人のお手伝いをしました。
そうする中で、武人は優しい天女と恋に落ちました。
武人のことが好きだった緋の巫女はおもしろくありません。彼女は天女にいじわるをしました。天女は悩みましたが、武人に言わずがまんしました。
緋の巫女はさらに、みんなが天女を嫌いになるようにして、最後に彼女の美しい顔を傷つけました。
天女は顔の事よりも憎まれた事を哀しみ、ひっそり去ろうとしました。
やっと事に気が付いた武人は天女をかばい、みんなも彼女の味方になりました。
くやしくなった緋の巫女は、紅の竜を使って全部燃やそうとしました。
しかし、武人が剣で竜を斬り倒し、彼女にも怒りました。
ところが竜は首と胴体が離れましたが、なかなか死にません。緋の巫女も全く反省しません。
みんなでどうしたらよいか、たくさん話し合いをしました。
月の巫女と、友達の星の竜が「私たちが、首なし竜の身体を封じます」と提案しました。
「では私たちは、神の山を越えた場所に移り住み、竜の頭を抑えることにします」
武人と天女も言いました。
みんなでウラドマ山の神様にお願いして、悪いことをした緋の巫女を閉じ込めてもらいました。
こうして、武人と天女は夫婦となり、仲間と共に移り住んだ場所をロゴノダと名付けました。そして竜の頭を守りながら、その竜を殺す剣や魔法の研究を行いました。
アーサラードラでは星の竜が月の巫女と共に『新しい秩序』となりました。首なし竜を封じ、残った仲間と共に『いろんな秩序』を試すことにしました。
アルテ・ハルモニアは『竜のおかげ』で平和になりました。
そうして700年以上が過ぎた頃、ひとりの少年が姫巫女に会いに、アーサラードラにやってきたのです。
少年の名前は『夜の子』と言いました。
(つづく)




