【物語】竜の皇子 剣の皇子 69 名告り
ロゴノダ皇国の上空にて、始竜の胴体と、緋の巫女が足止めを食らい半日が経った。
竜縛結界はその炎でふたつの力を、強烈な圧力と熱量で押さえつけている。
緋の巫女は歯ぎしりしながら顔を歪め、その力に耐えている。
「……さすが緋の巫女」七曜塔に座すレウン導司は銀眼を光らせる「これで潰せるなら良かったが……残念。捕縛が精一杯か」小首をかしげる。
「では、やはり。あとはお任せしようかな」
レウンは皇国に近づく、みっつの存在も確認して微笑む。
『みなさ~ん!七曜竜縛結界は解除します!次に移行!みなさんよろしくお願いします!』
彼は、皇国宮城に待機する魔導師等に伝心した。
原野に待機する二名も、導司の伝心を受け身構える。
直後、竜縛結界はあっさり解除された。竜の胴体と緋の巫女は動けるようになると、あっという間に皇国宮城上空に飛来する。
「喰らえぇ~!」緋の巫女が腹いせに黒雲を生じ、宮城に雷撃を放つ。が、それは宮城全域に展開された透明な結界に弾き返された。
「とっておきの結界シリーズ第二弾は、『みんなで作る!宮城がっちり金剛結界』♪」
レウンがさらに気を込めて呟く。「これは、絶対に解除しないよ!」
緋の巫女は上空で唸り声を上げる「おのれぇ!」しかし、気が付く。
「竜の頭は……あそこかよぉ!」
直ぐさまソロフスとサイメイのいる場所に、紅の竜の身体と共に飛んできた。
ソロフスとサイメイは緋の巫女と再会した。
「お前!あの時の男かぁあ!」
彼女は自身を斬った男を見つけ、怒りと歓びがない交ぜの表情を見せた。
そのことばには即答せず、ソロフスは竜の胴体を見やる「10メートル以上か……」目測する。そして、緋の巫女に向かい「名を教えるのを、忘れていたな。女よ」冷たくあしらった。
「私は、ソラウと、メユイの子孫。藍理・ロゴノダ。皇国の皇子だ」彼は、わざとゆっくり名告った。
「始祖が大層『世話』になったそうだな」「礼をしよう」
女の目を見て、鋭い笑みを見せた。
(つづく)




