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夢見の魔導士  作者: べっちゃ
第一章 夢の始まり
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ここでは、『夢見の魔導士』本編で触れるタイミングがなさそうな設定や一章の裏話などのあれこれを書いてみました。読んでいただかなくてもノリと勢いでなんとなく理解していただけると思うので、面倒であれば次話に進んでいただいても構いません。

教育:

 6~10才は初等学校で義務教育を学びます。

 11~15才は高等教育として、訓練学校、魔術学校、商業学校に分かれて専門的な学びを受けます。

(成人は15才)


 訓練学校――男子の八割ほどが進学します。心身を鍛え、冒険者として魔獣討伐するための教育機関です。

 魔術学校――女子の二割ほどが進学します。自身の適性に沿って強力な魔術の体得を目指し、魔獣を討伐できるように訓練する教育機関です。注意として、魔術を扱えるのは原則として女性のみですが、魔獣を討伐できるだけの才覚を持ち合わせる割合は少ないです。

 商業学校――残りの子供たちが進学する、個人事業主になるための教育機関というイメージです。法令を学ぶだけでなく、希望の進路に近い職場で実地研修もやります。このシステム上、家業を継ぐ場合は5年も在学せずに事業主としての資格を得る場合も少なくないと思います。


 上記が親がいる場合になりますが、ステアのような孤児は義務教育が異なります。

 ステアの場合、10才まで孤児院にいたわけですが、孤児院では最低限の読み書きと計算を教えられます。孤児院の運営もタダとはいかないので、子供たちの奉仕活動による社会経験も含めて義務教育の修了とみなされます。このため、大抵の孤児は座学が苦手なわけですが、ステアは要点を押さえるのが得意なので、座学テストの成績は優秀です。しかし、必要なこと、関心のあること以外はテスト後にすぐ忘れます。ごく基本的な魔術の仕組みも忘れていたことが良い(悪い)例です。


組合:

 ギルドと読み替えてイメージしてもらえば大丈夫だと思います。三種の高等教育それぞれに対応した組織になっています。


 冒険者組合――魔獣の討伐から雑務に至るまで、力技や頭数で解決する必要がある問題を扱う組織です。

 魔術士組合――魔術を研究するための組織です。研究結果である論文を所蔵していたり、魔術士同士が共同研究するための窓口としての役割もあります。

 商人組合――各事業者の取引の円滑化や需給のバランスを図るための組織です。経団連に所属している単位がもっと細かくなったと思ってください。


 以上三つの組織は地域ごとの差異はあれど、基盤は全世界共通です。そのため、ステアはどこに行っても二等冒険者として扱われます。

 また、二つの組合に所属するケースは結構多いです。非常に紛らわしい自覚はありますが、魔術士は基本的に冒険者組合にも所属していますし、等級認定に冒険者組合が関わる場合があります。さすがに全組合に所属してバランスよく仕事ができるような超人はいないと思います。


等級認定:

 三、二、一の順に高くなるわけですが、冒険者と魔術士で認定基準は異なります。


 冒険者――新人は三等から始め、二等には単純な討伐数やその危険度で昇格が決まります。二等は主戦力という位置付けです。大体3~4年で昇格すると考えていますが、ステアは規則違反分の討伐数をもちろん申告していないため、ほんの数ヶ月前まで三等でした。とはいえ、ステアがトドメを刺すことはほとんどないので、誤差の範囲ではあると思います。訓練学校で飛び級なんかしてると、二等からスタートの場合もあります。

 一等への昇級は、部隊長として優秀な指揮能力だったり、それを無視して余りある力量を身に着ける必要があります。


 魔術士――冒険者が成果を重んじるのに対し、魔術士の等級は身に着けた魔術(身術)のカタログスペックで決められます。自身の身術の構成を魔術士組合に申告し、それに見合った等級が与えられるという流れです。

 稀に、討伐任務での立ち回りが上手かったりしたら、冒険者組合の推薦で三等から二等に昇級する場合があります。二等から一等は現実的にムリです。


等級ごとの魔術士の強さ:

 三等――冒険者数人の補助で魔獣討伐可能。半数近くを占めます。

 二等――単独で魔獣討伐可能。冒険者同様、主戦力の強さです。

 一等――単独で魔獣の群れを殲滅可能。都市に一人いるかいないかの実力者として重用されます。

 特等――災害級魔獣に単独で対処が可能。某呪術漫画同様、人間辞めてるレベルです。





 以上がこの世界での社会の仕組みとなります。

 以下からはキャラごとの話になります。


主人公『ステア・ドーマ』:

 非力さを強調したキャラとなっていますが、なんだかんだでスポーツ選手くらいの身体能力はあります。とは言え、冒険者の中では最低レベルです。

 そんな弱者が王都から離れるわけですが、王都の討伐事情はちゃんと悪化します。彼の立ち回りや規則違反の下準備など、他の冒険者が楽にやれていた場面が結構多かったです。これが途端にキツくなり、ケガを負う人が多くなります。ステアが離れてから初めて欠損するほどの負傷者が出たところで、「あれ??」と冒険者たちの中でステアの重要性の理解が浸透していきます。

【組長】は何とかしようと偵察部隊を中心にステアのような人材を育てようと苦心しますが、上手くいきません。ステア自身の見極めや危険に対する察知能力や思考力はマネできるものではありません。功名心が全くなかったり、誰かと一緒にやってきたわけではなかったので、他の冒険者がステアの工作を意識してこなかったという理由が大きいと思います。


【戦姫】『フィーネ・セロマキア』:

 フィーネは魔力のない体質を解明するために年中移動しています。王都に寄った理由は単なる偶然です。ウィレイブ王国はある特徴の遺跡が多く、王国東部の遺跡の調査を終えて西部の帝国へ向かう通り道でした。そんな中、森虎の群れがいたので魔力補充のために狩っていただけです。


【組長】『ケニドア・マーカス』:

 ほぼヤ○ザです。そんな彼も、若かりし頃は力に任せてブイブイ言わせていただけのチンピラでした。その勢いで魔大陸の遠征隊の一員となったわけですが、強大な魔獣たちを前に何もできずに死んでいく人々を目の当たりにしてきました。自身も死にかけたところをフィーネに助けられ、帰還してからは冒険者の意識改革を図りました。個人の武芸もさることながら、統率力も高いので冒険者の組織力の向上を試み、上手くいきました。私兵まがいの仲間や部下たちが増えるし、厳格なルールの下で彼らを統率しているため、【組長】という異名が付いてしまいました。冒険者組合長になった理由も、国が監視しやすいようにするという側面があります。

 ケニドアが作り上げた組織力という下地がありながらも、ただ一人の才覚で冒険者の致死率を減らしてみせたステアには、フィーネに対してと同じくらいの尊敬と畏怖の感情を抱いています。

 外から丸見えのガラス張りの組長室の理由は、彼の妻にあります。組合長就任してからの彼は、デスクワークを放り出して現場に出向くことがほとんどでした。これを憂慮した王都の商人組合長である彼の妻は、組長室を無理やりリフォームしてガラス張りにしました。勤務時間にケニドアが組長室にいないようであれば、商人組合へタレコミするように住民たちへ周知し、垂れ込まれれば妻直々に公衆の面前で怒鳴り散らしていました。それでも懲りずに現場に行こうとするので、最終的に妻は結構な額の懸賞金を懸けてマンハントしようとしたので、観念してケニドアはデスクワークに勤しむようになりました。現場に出向くときは妻の了承が必要です。こんなやり取りをしていますが、夫婦仲は良好です。アプローチは妻からです。


 ウィレイブ王国第一王子:

 第一王子、第一王女、第二王子の順で生まれた長男です。フィーネに治療されなければ死んでいたわけですが、彼の病はALS(筋萎縮性側索硬化症)のつもりです。現実でも根治できない場合がほとんどのようですが、フィーネはこれを肉体の分解と治癒という荒技で治療しました。この世界の医療レベルでは当然のように原因が分からないので、手当たり次第に分解しては再生していきました。この病気の原因は現実では神経細胞の異常と考えられているようで、フィーネも同様に第一王子の脳を分解し、正常に再生しました。さすがに治療方法の説明でひと悶着起きましたが、国王は決心して治療をフィーネに頼みました。フィーネの治療はこういうレベルだと捉えてください。

 フィーネに救われた第一王子ですが、ぽっと出でフィーネの魔衛士になったステアに強烈に嫉妬するくらいにはフィーネに心酔しています。魔狼討伐の前にフィーネを大遅刻させたのも、フィーネと話したいだけでなく、ステアへの嫌がらせも兼ねています。そんな第一王子はストーリーの後半で登場します。

以上で、設定や裏話については終わりです。


この作品は設定上、女性キャラの比率が高いですが、ハーレム系ではありません。ただただ夢を追いかけ、『最高の景色』を求めるばかりの作品です。

亜人は登場せず、見た目上は純人間ばかりです。


これらを踏まえ、『夢見の魔導士』を読んでいただければ幸いです。


それでは、ぶっ飛びコンビのトンデモ珍道中をお楽しみください。

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