【その覚悟】ん、先輩のこともちゃんと守るよ【聞き届けたり】
最終編準備パートおわり。次回から(なるべく3話で)魔神教団の元へ行って解決、かな。今回は短めです
なぜSランク以上のパーティが揃って配信をし始めたのか、簡単な話だ。さっきの書類をフウに持ってきてもらった後、資料を読んで内容把握、からの秒でグループチャットにそのまま流して今日の予定を空けといてもらっただけ。その時点では葵は攫われてなかったからな。一応真っ当に探索者の使命果たそうとしていたわけだ。その時には既にぬらり会長からの話も持ち掛けられてたし。
ちなみに青銀の羽は東京駅前ダンジョン、青春遊戯は多摩川ダンジョン、爆裂クラブは明似神宮ダンジョン、モフっとラバーズは渋谷ダンジョンにそれぞれ向かってもらった。他のダンジョンも候補には入っていたけど……そのあたりは会長がうまいこと割り当てるだろう。スタンピードつっても本来のものじゃなく、同時多発的に起こすことによる混乱がメインだろうことを考えれば、規模は本来のそれより幾分かはマシであろうし。
「天音先輩は……いちお社長に報告しといてほしい。」
「私も!連れて行ってほしいんです!お願いします白狐さん!」
:危ないよ天音ちゃん!
:新宿摩天楼だよ⁉最難関だよ⁉
:ここは白狐さんに任せて他の所で出来ることした方が良いんじゃ……
@受付お姉さん:あなた達見苦しいわよ。心配なのは分かるけどね
まぁ、天音ちゃんならそう言うだろうと思った。連れてった所で、あいつがきっちり守るだろうが……かと言って足手まといになられると困る。今の俺にそこまで気にする余裕は多分ない。
「……だめ。危ない。死ぬ。先輩は弟を助けたかったはず。どうせ足手まといにしかならない。」
:そ、そこまで言わんでも……
:流石に天音ちゃんが可哀そうだろ
「分かってます。私が新宿摩天楼に行っても白狐さんの足を引っ張るだけになることは。白狐さんの言い分が正しいことも理解してます。……でも。それでも!私は、大切な友達を見捨てる気は微塵もありません。ここで!!命惜しさに引き下がったら!!……私は弟に誇れるお姉ちゃんでもいられなくなりますから」
へぇ。伊達や酔狂でも、ましてや好感度稼ぎでもない。いいね、純粋に友達を想う目だ。よくよく見れば手が震えている。怖くないわけじゃないんだろう。それでも、弟に胸を張れる姉でありたいという気持ちと、友達を助けたいという想いで、同行を願い出ているわけだ。
「死ぬよ。怖くないの」
「怖くないです!」
「その割には震えてる」
「これはその……武者震い、ですから!!お願いします!白狐さんの邪魔もしませんから!」
:すげぇな天音ちゃん……友達とは言え他人のためにここまで言えるかお前ら?
:俺は言える!……すいません嘘つきましたわ。俺は無理だな。わが身がいっちゃんカワイイ
:ベテランの探索者でもここまでまっすぐ言い切れないぞ
うん。分かってはいたけどホント、いい友達に恵まれたよな葵のやつ。ほんで俺も、な。最初から同行反対する気はなかったけど。
「ん。頭上げて先輩。分かった。そんなに言うなら連れてく」
「本当ですか⁉」
「ん。二言はない。元々それ言われたら連れてく気ではあった。どうせあいついるし」
:もともと連れてく気だっただァ…?なんだテメェこのやろう⁉
:えええ~~~⁉俺たちの天音ちゃんを死地に連れていく気だったのかァ~~~⁉
「それに、そこまで妹の安否を想ってくれているっていうのに連れていかないのは逆に失礼。だいじょぶ、先輩の覚悟、しかと聞き届けた。」
「ありがとうございます白狐さん!」
「でも、準備の時間いるでしょ。」
「あ、そのあたりは大丈夫です!私、装備とかは持ってきてますから!」
「そか」
:俺たちも最後まで応援するからな!天音ちゃん!
:いいかい白狐さん!たとえ死んでも!天音ちゃんは生きて返せよな~!
死んでも生きて返せ、ね。一体誰にものを言ってる?天音ちゃんをみすみす殺させてやる気は端からない。……準備整ってるにしても移動はどうするか……ここでフウ憑依とかするの違反っちゃ違反だし…カイだと距離足りない。ここから電車とか使っても1時間はかかるぞ
「あ、そうだわ、ダーリン。移動なら、うちの車を使って。友人Aも既に回収済みよ」
「ん、助かる。ありがとう白雪」
「お礼は黒狐ちゃん助けて戻ってきてから、ね。婚姻届けにサインしてくれればそれでいいわよ」
「勘弁」
「そうでしょうね。ダメもとで言ってみただけよ」
:いかにも定番ちっくなやり取り…これもう熟年夫婦の距離感だろw
:まだだァ!天音ちゃんにもチャンスはある!
:白狐さんヒロインレースの勝利条件は白狐さんを堕とすこと、ではなく黒狐ちゃんに認められることだからな!
やり取りの数分後……探協本部前で麗奈が寄こした迎えの車がやってきた。
「k……いえ、白狐様、並びに風繰様。お嬢様の命でお迎えに上がりました。既に友人A様はお乗りになられております。…目的地は新宿摩天楼、でよろしいですね?」
「ん。頼む」
「よろしくお願いします!」
「かしこまりました。では、飛ばします」
***
「では私はこれにて。…皆様、ご武運を」
そう言い残して運転手は車を走らせ去って行った。ここに来るのも2か月ぶりだ。
「おい親友。頼むから暴れるなよ。さっきまでは落ち着いてたんだろうけど、今は敵を眼前に怒りが再燃してるんだろ?」
「……」
「お前、気付いてないだろうけど今、しっぽめっちゃ暴れてるからな」
「わー、アニメとかでよくある演出みたいですね……」
:ついに来てしまったのだな……この時がッ!
:よーし!いざ!ラスボスの居城へ乗り込め―!
一回深呼吸して息を整える。どんな罠が待っているか分からないからな。深呼吸しても俺の中の怒りが燃え尽きることはないが、それでも、幾分冷静さは戻ってきたと思う
「もう大丈夫。落ち着いた。……行くぞ」
「おう」「はい!」




