【売られた喧嘩は】いきなり襲ってくるなんて物騒な【投げ捨てろ】
俺の武器召喚の検証も終わったし中層1層の入り口に戻って改めて深層3層へ向かおうと来た道を戻っている最中。ホウの索敵に反応があった。ふむ……俺にも音が聞こえた。魔物、じゃないな。人間。探索者だ。こっちに向かって来てるな。結構な速度でまっすぐに。
(配信を見られておるのかもしれんな。居場所が割れておるのか……しかしまだ距離はあるようじゃな?)
「我が主。2人います。どうします?」
「一旦放置。もしかしたら俺が狙いじゃない可能性はある。」
:どしたの白狐さんしっぽ太いよ
:何かにびっくりしてそうな白狐さんも叡智ね
@狐のヒロイン:分かる。ところで……お面取らない?
@バルト:最近は本当に忘れた頃に言うんだねそれ……
しかしめんどうだなー。って、もう俺達の元に着いたのか。じゃあ空を飛べる探索者ってことかぁ……
どうやら相手は俺の出方を窺っているようだ。いや、一人動いたな。こっちの背後に回ってきている。はぁ…しょーがない。ホウ、もう一人の方の拘束を。
「了解です我が主」
ホウが残った一人を拘束しに行ったと同時に動いた相手も姿を見せた。蝙蝠?いや、吸血鬼か!で、狙いは友人Aと。カイを憑依して振り返らずに友人Aの首筋に極小の結界を貼ってガードする。
ガギィィィィ………ン
「ぅおッ⁉…ックリしたぁ!?」
「あまり大きな声を出さないで。うっかり私の冷気が暴発するかもしれないわよ?」
「怖えこと言うなって!でもお前がそんなことにならないのはよ~く知ってるぜ」
:なんだ!?
:今金属音しなかったか…?
「あら?私のチャームポイントである八重歯が欠けてしまったわ?あなた、面白いですわね。……それに比べて…そちらのしっぽの方が日本でソロでSSランクに認定されたと言う「白狐さん」かしら?この程度にも反応できないとは期待外れもいいところでしたわ。これでは日本の探索者のお里が知れるというもの。所詮ダンジョン後進国の探索者でしかありませんでしたわね?」
:こ…この女はッ!
:知っているのかモブ野郎⁉
:ああ、この波打つようなプラチナブロンドの髪!なによりも妖しく光る深紅の瞳!こいつぁ…イギリスが誇る史上初のSSランク探索者のフェルミナ・カースバイトだッ!
@受付お姉さん:そんな…彼女が出国したという情報はありませんでしたが…?
@アッカネーん☆:ちょ、ちょっと⁉どうして海外のSSランクがいるの!?
イギリスからわざわざ日本に来たんか?しかも口ぶりからして俺の実力を確かめるために?すげー行動力。賞賛に値するわ。
(まぁそりゃあ確認に来るじゃろうなぁ……遅れていると言われていた日本でもついにSSランク探索者が誕生したのじゃから。注目株じゃぞ~)
「この後は青銀の羽…でしたかしら?そちらの視察も行おうかと思いましたが……その必要はなさそうですわね?」
「ん、お姉さん。もしかして喧嘩売ってたりする?」
「いいえ?私言いましたでしょう?視察だと。」
@おにぃLOVEちゃん:あ~ん?なんだこの女~??今おにぃを馬鹿にしたのか~????
@天音ch:落ち着こ!黒狐ちゃんステイ!ステイだよぉ⁉
「おっと。私としたことがまだ名乗っておりませんでしたわ。淑女としてあるまじき醜態でしたわ。私はイギリスが誇る史上初のSSランク探索者にして真祖の吸血鬼のハーフ……フェルミナ・カースバイトと申しますわ~!よろしくあそばせ?」
「俺は白狐さんって名前の探索者。どーぞよろしく?」
:なんだろうなぁ…お互い笑顔で和やかな自己紹介のはずなのに…
:そうは見えないでござるなぁ……
「で、ご用件は?」
「先ほども言ったでしょう?おつむの方まで残念なのかしら?視察よ?新たなSSランク探索者の、ね。」
「ごめんお姉さん。我が家には『売られた喧嘩は買わずに投げ捨てろ』って家訓があってね。お姉さんが売ってくれた喧嘩は買えない。」
:なんだそのバカみたいな家訓⁉
@バルト:これも白狐さんのお母さんによる家訓だろうか…?
@おにぃLOVEちゃん:え、そんな家訓あったの!?私はてっきり『喧嘩売られたら証拠残さず立ち去れ』って家訓しかないと思ってた~
:えぇ……?(困惑)
「ふふ。素敵な家訓ですこと。煙に巻こうという意図のものでなければ、ですけれど。それに、あなた……喧嘩は買わないと言いつつも体は正直ですのね。喧嘩…買っていらっしゃるわよ?」
「ん、そんなことない。迫りくる危機に対処しようとするのは動物の本能。」
今、彼女の仲間はホウによって拘束されている。ホウは水属性だ。そして本質は魔力の塊。だから体の性質を変えることも容易にできる。
(特に今は自我を得たことで真白の記憶に触れることもできるようになったのじゃ。より鮮明な想像ができるじゃろう。今は…粘性のある液体。すらいむに性質を変えておるじゃろうな。)
だろうね。しかも多分、より拘束できるようにダイラタンシースライムなんじゃないかな。敵が脱出しようともがくと固まるから動けないだろう。
「このまま諦めて帰ってほしい。めんどうだから」
「随分素直に喋りますのね?初めてですわよ?私相手に面倒くさいから帰れ、なんて仰る人類は。」
:ふっ。おもしれー女
:この場合はおもしれー男じゃないか
@おにぃLOVEちゃん:なんだ。おにぃのことの認めたの?じゃあいいや。
@天音ch:うわっ⁉急に落ち着かないで黒狐ちゃん!?
:スン…(-.-)
やべぇ。おもしれー男認定された。おわった。下手したら粘着される。
「ダーリン、もう素直に相手した方が良いんじゃないかしら。彼女、戦わないときっと諦めないわよ?」
「なぁ、親友。お前結界張ったよな?俺の首元に。普通の人体からあんなぎゃりぎゃりと金属音するわけないだろ⁉お前まさか……俺をおもしれ―男認定させて面倒事おしつけるつもりだったろ⁉」
「おいなんでバラす。戦えと言われるだろふざけんな」
「おっ、認めたなー⁉俺に面倒事押し付けようとしたのかクソっ…!」
「良かったなモテ期だぞ」
「うれしくねーよ⁉命の危機すらありうる愛はノーセンキューです⁉」
:言われてみれば確かに……白狐さん今憑依使ってるな
:それもカイちゃんを憑依してるなぁ……
@アッカネーん☆:え、あの一瞬で⁉位置を見もせずに⁉は~……すごいわね技術が
「白狐さん。あなたがさきほど結界を貼ったと?まさか、気付いていない振りをなさっていたと…?」
「さぁ、知らない。」
「確かに私の従者が拘束されたのは私が小手調べを仕掛けたのと同時でしたわ……。私の八重歯を欠けさせる程の結界。そして即座に敵を無力化する手腕。察知能力…うふふ…!」
:往生際が悪いぞ白狐さん!
:黙って戦えー!
:盛 り 上 が っ て ま い り ま し た !
「先ほどの私の発言、訂正させていただきますわ。貴方と、貴方の故郷を貶めるような発言は無礼極まりないものでしたわ。申し訳ございません。……あなたは確かに強いですわ。だからこそ!今!ここで!私と手合わせしてくださらない?私の中の血が滾って滾って仕方がありませんのよ!ああ…こんなにも体が火照り、気分が高揚するのはいつ以来でしたかしら……!うふふ…!うふふふふふふふ……!!」
:なんかちょっと変なスイッチ入ってない?
@おにぃLOVEちゃん:なんかおにぃの貞操の危機を感じるッ!!私がッ!おにぃの貞操の守護者だッ!
「私たちはすぐ近くの木陰で見ているわ。だから存分にやってさしあげて、あ・な・た?」
「そうだそうだー!日本人の魂見せてやれー!」
はぁ……マジか~。しかも二人はもう既に我関せずって感じで観客気取りやがって……
(もう諦めい。一手の手合わせでもしてやれば満足するじゃろ)
「分かった。先に一発攻撃当てた方の勝ち。これでど?」
「いいですわよ!私と手合わせいただけるのならば承諾しますわ!……けれど。拘束中の従者は開放していただきたいですわね?」
「横やりいれられても困る。だから拘束はそのまま。でも、目の届く範囲には置いとく。うちの幼馴染はもう観客気取りで手を出すこともない。これが妥協点。」
「分かりましたわ。従者を殺されないのであればなんら問題はありませんもの。」
どうして他国のSSランクと戦わにゃいかんのか……まぁ…出来事には事欠かないね。
(刺激的な人生。実に結構じゃぞ~?で、わっちの出番はあるかや?)
はいはい。ないよ。この後の探索は諦めてないんだから。今ここでご先祖憑依はしない。
(むぅ……仕方がないかの。負けるでないぞ?)
善処するよ。




