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【狂信者は】モフを求めた果てに【マジ勘弁】

白狐さんがこんな所で苦戦するわけがない

ライを召喚して怪しい奴の取り巻きを気絶させる。


「ぐああっ⁉」「貴様なnぐああっ!!」「ぐぬぅっ!」「何が…⁉」


下層に居る割にはこいつらは大したことない。取り巻きは気絶させた。周囲に伏兵はひとまず居ないようだし、目の前の白フードに集中できる。……関わり合いになったらやばい雰囲気がプンプン漂ってきているが…こいつら放置した方が後々面倒ごとになりそうな予感もしているから放置もできない。はぁ…探協案件かぁ…


「おや?こんなところに探索者が出るとは……不甲斐ないですねあなた方も。去りなさいダンジョン荒らしの賊よ。我らは崇高な目的を果たすためこの場に居るのです。」

「こんな所でフェンリル相手に何やってる。」

「言ったでしょう?崇高な目的実現のため居るのだ、と。」

「フェンリルの親子を襲い、首輪を付けようというのが崇高な目的の手段には見えない。」


俺は背後の樹上に妹とカメラがきちんと待機しているのを確認する。この距離なら音声も込みで配信には載っているはずだ。


:崇高な目的だァ?ぜってー碌でもねぇぜ

@受付お姉さん:この連中は……まさか?

:何か知ってるのか受付お姉さん⁉

:アレ?お姉さーん?おーい?

:受付お姉さんの霊圧が…消えた…⁉


「ふふふ。よく言うでしょう?正義の裏は別の正義だと。我々は我々の正義を為している。それだけですよ。ふむ。良い機会です。あなたが何者か知りませんが、あなたで我々の研究成果を試させていただきましょうか。出力最大。さぁ偉大なる白狼フェンリルよ!お前の大事な子供を守りたくば、我が前の敵を討ち滅ぼしなさい!」

「グルルルル……ガァウ!!」

「危な。」


:無理やり命令聞かせてるのか⁉

@天音ch:フェンリル…苦しんでるように見えます

:この配信…見逃したらやべぇ気がする!お前ら拡散しろォ!

:絶賛拡散中だ!


話の最中に突っ込んできた巨体を躱す。おお。日の光に反射して毛並みが輝いている。これは人を溺れさせる極上のモフで間違いない。この危ないやつどうにかしてモフらせてもらえるか交渉してぇなぁ。おっと。つい欲望が出た。


うーん。どうやって親フェンリル無力化しようかな。(わっちが力貸そうかえ?)

いらない。どう考えてもご先祖憑依はやりすぎ。この辺一帯消し飛ぶしあの子フェンリルも跡形もなく消える。

(わっちもそこまでの出力はないがの~。ま、好きにやってみるのじゃ!葵は任せい)

うん、よろ。


どうしようか悩んでいる間もフェンリルは襲い掛かってくる。が正直脅威ではない。最悪カイの結界張って籠れば策は考えられるし。


:白狐さん苦戦…してないな

:まぁ、白狐さんだもの

:今更フェンリル(しかも万全じゃない)には負けないよなぁ

:確かに動きはジンライタイガー並みに速いけども…


「何をやっているのです!!お前の子の命がどうなっても良いというのですか!!早くこの不埒者を打ち滅ぼしなさい!!たかが探索者一人如きにッ!なぜ攻撃を当てられないッ!!」


腹立つな。自分では手を下さないくせに人質…この場合は狼質?をとろうなんて。というかこいつ多分だけど…研究者タイプで実践とか無縁の人間だったな。フェンリルに俺を襲わせとけば自分は襲われないと本気で思ってそうだ。


:しかしこの男……素人だな

:足さばきというか…戦場での在り方があまりにも隙だらけだぜ

:逆にどうやってここまで来たんだこいつ…?

:さぁ?多分取り巻きに守ってもらったんだろ

:というかコイツ多分白狐さんのこと知らねぇよな

:知ってたらフェンリルでどうにかなるとは思わんだろw


「ガァァウ!!」


丁度フェンリルが地に足をつけた瞬間に界歩で男に向かって距離を詰める。


「ヒィィィッ⁉な、なにをしているのです!!私を!主である私を助けなさいこの駄犬がァッ!!」

「うるさい。寝てろ」


:決まったァァ!白狐さん渾身のアッパーカット!

:K.O.

:虎の威を借りる狐…いや、狼の威を借りる人間…か

:ターゲット沈黙を確認!


本当に弱かったけど…なんであんな強気だったん?

(下層の魔物を従えられたと思えば気が大きくなるのも仕方なかろー。いつの時代にも現実と認知が乖離した愚物はおるものよ。)


「おにぃ!怪我は⁉」

「俺は平気。それより、フェンリル親子が問題。」

@天音ch:白狐さんが無事で良かった…

:まだ親フェンリルは苦しそうだな

:というか…番はいないのか…?

:確かに…もう一頭の成獣フェンリルは見えないな


あれが付けたであろう首輪はライに電撃を首輪にだけ流してもらって破壊した。破損した首輪は拾ってあ空間にしまっておこう。探協に提出すれば出所とか調べてもらえるだろうし。

さて…親も子もどっちも怪我を負っているな。


「黒狐、子フェンリルの方の治療任せていい?」

「うん、分かった。任せておにぃ」

「グルルルル…!」

「落ち着いて。俺たちは敵じゃない。ただお前とあの子の治療をしたいだけ。だから少しで良い。少しだけ俺たちに身を預けてほしい。」

「グルルルル…」


俺と親フェンリルは見つめ合う。恐らく俺と葵が信頼に足るのか見極めているんだろう。俺は疚しいことはないから目を逸らさないし手を差し出し続ける。たとえ噛まれても、だ。しばし見つめ合うと、やがて親フェンリルの目からは怒りと敵意が消えたのが見える。そして俺の差し出した手に前足を乗せ、頭を少し下げた。まるで、我が子を頼む。と言っているように。


(どうやらこのフェンリルは真白と葵を信頼に足ると判断したようじゃな。)

そのようだ。やがて倒れこむように俺に背を預けてきた。すぐさま俺はモエを召喚して治癒魔法を掛ける。同時に葵の方も自分の子狐を召喚して治癒魔法を子フェンリルにかけ始めた。


:白狐さん達って動物に好かれやすいのか?

@友人A:そういやこの兄妹昔から割と動物…てか犬猫には好かれやすかったな。

@天音ch:きっと白狐さんの純粋にフェンリルを想っている気持ちが伝わったんですよ!


それから少しばかり時間が過ぎ、親フェンリルも子フェンリルも治療が終わった。そして子フェンリルは元気になったのが嬉しいのか、親と離れずに済んだのが嬉しいのか親フェンリルの周りを走り回る。

そしてそのあと子フェンリルは俺と葵の周りを…ん?俺たちだけじゃなく、ご先祖の周りも走り回っている?見えてるのか?

(どうやらそのようじゃ。親子ともどもわっちの姿も見えておるようじゃの)


:てぇてぇ

:良かった親子離別ENDなんてなかったんだ…


「ガウッ!」「キャウ!」


走り回って満足したのか子フェンリルは親フェンリルの元へ戻り、そしてお礼を言うかのように二匹は鳴いた。


「おにぃ。帰ろっか。」

「ん。」

:フェンリル達モフらないのか⁉

:ばか!空気読め!

:ってかこの白フード連中はどーすんの?

「引きずって持って帰る。」

:物扱いw


:そういや、なんでフェンリル助けたり、ジンライタイガー逃がしたりしたの?聞いて良い?

「別に今回は狩りが目的じゃないから。彼らには彼らの生活圏が存在してるし、過干渉も良くない。」

:なるほど確かに

:俺らもダンジョンの恵みを享受してる側でもあるしな


今日はフェンリルの姿を見ることが出来たし満足ということで来た道を引き返そうと歩き出した。


「…おにぃ。」

「ん?」

「あの子達…着いてきてるよ?」

「……そうだね。」

:これはアレか?

@友人A:俺を仲間に入れてくれ!ってやつか~?

:テイム希望ってことぉ?


振り返ると明らかに着いてきている。


「お前たち、森へお帰り。少なくとも今は平和なハズ。」

「ガル。」


いや、こくっ。じゃなくてね。流石に下層の魔物地上に連れ帰るのはまずいんだわ。

(お礼がしたいようじゃぞ?)

モフって良いってコト?

「え!フェンリルちゃん達モフっていいの!?」

「ワフッ」


:まさかの機会w

@天音ch:良いな~

:感想聞きてぇな~


まぁ当事者が良いと言うなら遠慮はいらないか。

ということで存分に親フェンリルも子フェンリルもモフった。


天国に昇るようなモフだった。毛を撫でれば手が沈み込みつつさらさら流れて良い生地の布地触ってるみたい。その上でちゃんとモフモフしている。あとなんかフェンリルの毛並みからはこう…マイナスイオンみたいな匂い(語彙力)がする気がする。心も体も安らぐ究極の癒しモフだこれは。


5分くらい堪能できたと思う。流石にそろそろ帰ろう。探協に報告しないといけないこともあるし…

「ワフッ」「キャウッ」

二匹が鳴いて見送りしてくれているのかと思ったが…なんと俺と葵の影の中に溶けていくじゃないか。

:⁉

:これは…一部の魔物はテイム状態になると主人の影の中に潜るという!

:つまり白狐さんと黒狐ちゃんを主人と認めたのか!

:狼使いのお狐様…でござるな


「え、ご先祖~、な、ナニコレ~…?」

(お主らにお礼がしたいと言ったじゃろう?)

お礼ってモフらせてくれることじゃないの?

(いんや。番犬じゃとさ。)


「「えぇ~~…?」」


なんかフェンリルに懐かれてしまった……

追記。えー、タイトルを決めた気になってそのまんま投稿してしまいました。まぁ、まだ無題のままあげなかっただけマシですかね。

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