前へ目次 次へ 28/30 (四)-5 母は右手で僕の手の下に手のひらを上向きに広げたので、僕はその上に芋小町を置いた。 「ありがと。なに、これは?」 そう言った母は、手のひらに乗せられた物が「芋小町」と気づいた。 「あら、これ、芋小町じゃないの。もらっていいの? ありがとう」 母は急に弾んだ声で包みを開いてそれをかじり始めた。 「あ、お前、それ俺にもよこせ」 そう言って父が近づいてきたので、僕はそれを一つ、ビニール袋から取り出して父に渡した、 (続く)