前へ目次 次へ 25/30 (四)-2 僕たちの車もその隣に停まった。そしてアルミ製のウイングを片側だけ上げた。 父はダッシュボードから紙の束を掴むと車から降りた。音を立てて閉まったドアのミラーで父がどこへ行くかを見ていると、走ってやってきた市場の人に紙の束を渡し、何かを話していた。 話が終わったところで、母の車の方から妹の早来(さき)が父の方に走って行った。 母の方は、妹に向かって「そんなやつと話しちゃだめ!」などと大声を出していた。 父は父で「うるせえ! 早来は俺の娘だろ!」と応酬していた。 (続く)