《”行くよ、みんな”》
「私は、貴方を殺したくない」
言ってしまった。言わないように努めてきた。
ジニアス・ディアボリックの魔法発動がキャンセルとなる。
蹴り飛ばされ倒れ込む。
「君と私とでは、住む世界が違ったようだね」
耐えきれなくなった。
「そこまでの才を持ちながら”人を殺める”ことに抵抗があるとはね」
惨めだった。
「愛する者を救うためには、自らの手を汚さないといけない」
ケンバーにあれだけ啖呵を切っておいて......
「私は......人を殺した」
ジニアス・ディアボリックは後の言葉を出さずにいた。
「私の大切な人を......目の前で殺された」
アシリアは一度、死んだ。紛れもない事実。
「怒りに身を任せた」
アシリアを殺した者は、私の手で殺した。アイツが、アイツらが居なければアシリアが死ぬことはなかった。だから、全員殺そうとした。そこに抵抗はなかった。乗っ取られても、私は争う事を辞めた。
相手に自分たちが狩られる立場だとわからせるために。二度と馬鹿な事をさせない為に。お前らを殺さないと、私の大切な人たちが次々殺される。だから、”力”を使った。
全部綺麗事だ。どんなに言葉を並べても、私が行った事はアシリアを殺した者と同列。
「多くの人を傷つけた」
私を守る為に、星霊は、みんなが身を削って止めてくれた。私にこれ以上、人を殺めないように。
自分たちが、自分たちの身体が壊されようとも。私のために......
「こんなどうしようもない私に、みんな以前と変わらず付いてきてくれてる」
眩しかった。同時に罪悪感で胸が締め付けられそうだった。普段通りに動かなかったのも、精彩が無いのも、仕方がないと。
みんな、待ってくれている。こんなどうしようもない主を。私を。普段のユミナを待ってくれている。
「人は外見で判断するべきじゃない、か」
ジニアス・ディアボリックは後ろを向き、歩いていく。
「俺自身で君を倒すつもりだったが、興が削がれた。悪魔の兵士に任せよう」
悪魔の兵士に囲まれた。ジニアス・ディアボリックの合図でいつでも私を刺し殺せる。時間の問題だった。
私の後に来るプレイヤーが未だに来ない所を見ると、挑戦者最後は私だったわけか。カレッタとケンバーに戦って欲しくない。二人も私の大切な人たちだから。私が倒されれば、世界から魔法が消える。ジニアス・ディアボリックの願い。ジニアス・ディアボリックによる支配が始まる。ジニアス・ディアボリックと契約した悪魔3柱もご満悦だろうね......!?
———願い?
———悪魔?
———契約?
『お嬢様!!』
頭に慣れ親しんだ女性の声が反喫する。
『もし、貴女がまだ一歩を歩むのに躊躇しているなら......これだけは忘れないでください』
思い出したかのように口ずさむ。
「悪魔は命以上に契約を重んじる種族です」
そうだ。何故、私は悪魔と、グレモリーと契約済だったの?
ヴァルゴは元悪魔。今は星霊だ。グレモリーじゃない。種族が違う。
そう言えば、ソロモン王を倒した時、違和感があった。悪魔が解き放たれる瞬間に鳴ったゲーム内アナウンス。
《全プレイヤーにお知らせです。『特殊ダンジョン:バビロンの穴』がクリアされたことで、71柱の悪魔が解き放たれました。プレイヤーの皆様、十分お気をつけてくださいませ》
71柱。確かソロモン王に使えている悪魔は全部で72柱。一つ欠けていた。
「私とソロモンとの会話で、変更になった」
嘗ての部下が私と出会い、結婚までした。私以上にヴァルゴを見てきたソロモン。本来解き放たれるはずだったグレモリーよりも悪魔を熟知している。悪魔が生きる意味を———
ソロモンは私とヴァルゴに未来を見たんだ。だから、ヴァルゴが星霊でありながら、私と悪魔契約が完了した。
「それだけじゃない」
きっともっと根幹がある。いくら特例でヴァルゴと悪魔契約を結んでも、悪魔は契約を重んじる種族。私がグレモリーにとって王の器に選ばれた理由が——————
瞳が開く。一条の光が差し込む。私はヴァルゴに言ったんだ。
『私と進もう、未来へ!!』
それだけじゃない。思い当たる出来事が記憶から蘇る。
「思い出した」
聞いていたんだ、あの時、レオとの会話を———
『私の目的はシンプル。みんなと幸せな人生を歩むこと。子どもみたいな夢。でも、進むよ......。どんなに馬鹿にされても、私はこの夢を突き進むって決めた!!』
『私と一緒に、幸せを掴もう!! そのためにチカラを使ってよ。私はそれだけで十分!!』
私の本心を聞けたから。自分がもう一度悪魔として契約する相手。見定めた王はユミナで良い。そう、決めていたんだ。それが反映されて悪魔契約が完了していた。
涙が溢れる。感情がこもった雫が落ちる。
「バカだな......私は」
座り込んでいた私は、周りを気にせず勢いよく床目掛けて頭突きした。亀裂は小さい。ダメージは大きい。うんなもん、どうだっていい!!!!!!!
「私は!!! 大馬鹿野郎だぁああああ!!!!!!!」
絶叫撒き散らす。二度目の頭突き。床に広がる亀裂。ス———......ッキリしたぁぁぁ!!!
「確かに私は過ちを犯した。貴方と同じで自分の目的のために」
だからこそ、これからも永遠に続く過ちを見過ごす事はできない。私に、私たちに変えれる”力”があるなら、私は受け入れる。その”力”を正しい未来の為に導くためにも。
「私は!! こんな所で死ぬ訳にはいかないのよぉぉおおおおお!!!!」
私が王を目指そうとしたのは。私が、王に成ったのは......手に入れた専用ジョブだからじゃない。
拳を握り、立ち上がる。
「私も思ったよ。こんなクソッタレな腐った世界に護る価値はあるのかを」
ありふれた願い。成長するにつれて、具体的に、より明確化される。漠然とした願いでは自分の未来を手に入れれない。誰もが苦しみ、嘆き、暴走する。
本当の動機は——————その根本は誰かの役に立ちたい。世界を守りたい。
「それでも、そんな腐った世界でも、護るべき人たちがいる」
みんなの笑顔を見たい。幸せな世界を創りたい。世界を良くしたい。
誰かを犠牲にした未来は未来じゃない。
「私は諦めない。犠牲が成り立つ世界を、私がぁああ!!! 変えてみせる。その為に、”力”を使う」
(待たせてゴメン。また力を貸して!)
星刻の錫杖を装備した。
泣いている場合じゃない。落ち込んでいる場合じゃない。
———もう逃げない!
———もう迷わない!!
———私は...決して、歩みを止めない!!!
「世界は、支配するものじゃない。世界は、楽しむ為にある」
ジニアス・ディアボリックは真っ直ぐ私を見つめた。微笑する。相手を認めた確かな証拠。
「アイツがお前を弟子にした訳、わかった気がする」
ジニアス・ディアボリックは私に問い始める。
「それで、おまえはどうする? お前を倒せば、私は地上に進出する。この忌々しい霊墓からなぁ! 地上に出れば、後は支配するだけ。この腐った世界を私が一から管理する」
超新星の王冠を取り出した。
「勿論、倒すよ! 私が......いや、私たちが......私たちのやり方で貴方を倒す!」
歓喜の表情。
「来いッ!」
超新星の王冠を近づけ、世界を変える言葉を発した。
「《”行くよ、みんな”》」
《起動コード、認証しました》
機械音が発せられた。煌めく光が超新星の王冠から解き放たれた。
霊墓で開催された式典。戴冠式だった。音楽奏でる。周囲から祝福の声が聞こえてくる。新たな王様の誕生に胸躍らす喝采。
私は絨毯の上に立っていた。導かれるように中央の玉座へ歩く。階段を上がり、王が座るに相応しい椅子に腰を掛ける。
超新星の王冠、銀河の女王冠専用の変身用特殊フィールド。このフィールド展開中、フィールド自体も破壊されない、触れる事は出来ない。儀式完了まで何人たりとも王の即位式を邪魔できない、二種類の王冠装備者を攻撃することはできない。
玉座に座ると、正面から私に向かって歩いてくる透明の人間の集団。一番前の人間の両手には格式高い赤い台座。赤い台座はクッションの様に見える。歴史ある台座の上に『超新星の王冠』が置かれてあった。
《変身用特殊言語を唱えてください》
超新星の王冠を持ち、頭に被せた。晴れた表情。満面の笑みで唱えた。
「究極進化!!」
上下左右斜めから何重の星座盤が使用者に集約されて黄金のオーラが包み込んでいった————————————
白色と黄金色の全身鎧。威厳と絢爛を纏う純白と黄金の鎧は全身の大部分が純白スーツに、黄金の鎧で覆われている。重そうな鎧なのに布装備と同等の軽さに背にはマント着用してある。真紅なベルベットマント、内側は青い銀河が創られ、星座が生きている様だった。後光が絶えず背に存在している。
「名付けるなら、【キングフォーム】かしら!」
私の姿を見て、狂った笑みを出すジニアス・ディアボリック。
「くくくっ! ユミナはつくづく面白い奴だ! これほど心が昂った事はない、これだから戦いはやめられない!!!!」
指には突如現れた指輪が装着されていた。手に持つ星刻の錫杖も変化していた。星刻の錫杖の持ち手には新たに押しボタン式装置:【君主の宝珠】が組み込まれた。ボタンは宝石で出来ている。星刻の錫杖の石突には黄金で構成された筒型の印章:【玉璽】が付属した。
口角を上げた。変身成功とシステムからのメッセージの同時。
《『覇銀の襟飾』の条件が達成しました。使用が可能となりました》
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《以下のスキルが進化しました》
星の力を受け継ぎし、君臨する女王(EM:??)
⇨未来の世界は有終の美(EM:500)
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「非常に残念だ。久しく出逢えなかった強き者。この場でユミナを亡き者にするしかないとは......」
臨戦態勢のジニアス・ディアボリック。驕りも相手を蔑ろしない強者の姿勢。
「私は死なないよ。愛する人たち、護るべき人たちが沢山いるから!!!」
子どもの様に無邪気に笑う私は星刻の錫杖・王笏を構えた。
「本気出さないとね! 後悔のない戦いをジニアスにプレゼントするわ!!!」
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PN:【ユミナ】
職業:①:【星霜の女王】
②:【魔導龍王】
〜装備欄〜
頭:新世界
上半身:光導
下半身:森羅万象
足:散光星雲
右武器:星刻の錫杖・王笏
左武器:星空の姫神
〜装飾品〜
①:覇銀の襟飾(ブローチ)
②:知識の蟹座(指輪)
③:黄金時代(チョーカー)
④:グリモワール(指輪)
⑤:悪魔の蒐集棚(指輪)
⑥:奇跡の牡羊座(指輪)
⑦:星辰の王外套
※超新星の王冠、銀河の女王冠専用アクセサリー
⑧:十三宮の指輪
※超新星の王冠専用アクセサリー
⑨:
⑩:
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アグネス女学園でヴァルゴがオリバーを動けなくさせる展開で、「以前レオがやっていたことを実演してみました」と言ってます。




