VS機械生命体 ③
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黄褐色に輝く山々と砂漠。見渡す限り一面砂の世界。嵐が舞う。砂嵐で視界が悪い。リリクロス大陸の砂漠エリアはプレイヤーを容赦なく干からびさせる。
目の前の砂道が突然爆発した。アリエスとカプリコーンは左右に分かれた。突然出来た砂のクレーターを迂回する。巨大な影が頭上を追い越す。標的は自分たち含めた敵。砂を固めた球体がアリエスとカプリコーンとは違う者たちに直撃した。
いくら砂であっても固まれば鈍器。それが空から雨のように降り続く。当たれば無事では済まない。
「避けてっ!!」
アリエスの声に、即座に反応する従者陣。直線に打ってきた砂玉。砂玉は周りの砂を集めて巨大化していく。回避に間に合わないプレイヤーたちは砂玉に巻き込まれた。
先ほどの強固な砂玉とは違い、人に当たる瞬間に、砂玉は通過する。残ったのは砂玉の中で水分を奪われ、急速にミイラ状態になったプレイヤー数名。彼らは四肢を動かす余裕もなく、倒れ伏せる。
程なくして消滅。何処かの地でリスポーンしたに違いない。
機械生命体の開放されている洞窟のような大きな口。螺旋状に広がっていた。鋭利な刃が歯の様に並んでいる。飲み込まれれば最後、大口の中で身体が粉砕される。【パランス・バワー】。
周囲の砂を吸収して向かってくる者たちを殺す行動を取る機械生命体の名称。【パランス・バワー】が展開している大きな口。強力な吸引機の役割を持ち、吸収した物質を新たな武器として射出できる。いや、吐き出したと解釈する方が適切だ。
【パランス・バワー】の頭部が斜め上に向く。【パランス・バワー】と戦闘をしている者たちは距離を取る。何かを飛ばすモーション。【パランス・バワー】が飛ばした物はピラミッド。遠くへ逃げても無駄だった。
広範囲の攻撃。ピラミッドの下敷きになったプレイヤーは一撃で全損。
接触禁止を発動しているカプリコーン。カプリコーンに接近するピラミッド。熾星の細剣で切断させた。一つ破壊しても次々、落下してくるピラミッド。翼を操り、素早く回避。ピラミッドの雨で行動は制限。前方には一瞬で乾涸びさせる砂玉。【パランス・バワー】に近づきたいが、敵がさせない。
「お見事!!」
【パランス・バワー】のバランスが崩れる。頬部分に強烈な攻撃を受けた事で発生した。空中で体勢を変え、右目を吹っ飛ばした。悲鳴に近い騒音が鳴る。【パランス・バワー】を殴ったのはアリエス。砂に沈む【パランス・バワー】。
アリエスは周囲の状況を確認。
「【接触禁止】」
衣服が再構成される。純白を超えた極光の如き修道服に頭を覆う頭巾状。背には様々な動物が、花が、陶器めいた石像として浮遊していた。
「【救護の領域】」
アリエスの頭上で花が咲く。花びらが落ちる。花びらの形は徐々に無くなり、雫の様に辺りの人に落ちていく。雫に触れた者たちは、自身の負傷が治っていくのを目の当たりにする。
進化したスキル、【救護の領域】。呪いが無くなった奇跡の治療。生命復活以外のあらゆる負傷を無かったことにできる効果がある。ただ、【呪いの救護】同様、効果はアリエスのみに作用する。【接触禁止】発動時に、他者にも作用かつ広範囲の効果へ変わる。
【パランス・バワー】は咆哮をあげる。怒り。計画性のない、無駄な攻撃を繰り返してしまう。カプリコーンとアリエスは【パランス・バワー】の真下へ移動。
「一緒に」
「はい!」
【剛腕の巨人】と【炎聖の帝王】を同時発動。攻撃は敵を下から上へ撃ち抜いた。【パランス・バワー】の身体は粉砕。飛び散る金属と【パランス・バワー】の核。核は空中で砕け散った。機能停止。【パランス・バワー】の金属部品は雨の様に砂漠に降る。
アリエスをお姫様抱っこする形で戦場を離脱したカプリコーン。安全の場所まで飛翔し、着地した。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして!」
二人は稼働しなくなった【パランス・バワー】を見る。
「これ、どっちに軍配が上がるのでしょうか」
両者、顔を見合わせ、言う。
「アタシです」
「私です」
「「は゛ぁ゛!?」」
両者、距離を取る。お互い武器を構える。二人の激突。【パランス・バワー】との戦闘よりも緊迫した戦い。両者、相手を殺す勢いで攻撃を仕掛けていた。アリエスとカプリコーンに付き添った従者たちは取り押さえることは出来ず、同然とすることしかできなかった。




