フミコム
「体育祭の準備や」
「「はい?」」
呆気に取られてしまった。
「先週、体育祭各種目の設営がそれぞれの部隊に言い渡されたんだが・・・」
「ウチらが任されたんは【400m走】や」
400m走とは陸上競技の1つであり長距離走手前のスプリントである。
「400m?100mじゃないんですか?」
勇理が当然の質問を投げ掛ける。
「せやな、だいたいの学校は100m走が主流や。だがここは翼専、何が言いたいか分かるか?」
「翼の使用が有効って事ですよね」
「は!そっか・・・!」
計香は分かってたみたい・・・。
確かに翼があったりここにいる人達以外で全身展開が出来る生徒がいたら100mは少し短い?かも。
「その400mだが、競技用ホールで正確に白線を引くついでに来賓用、放送実況席の設置もだ」
「なんやそれ!聞いてないで!?」
明美は目を見開き叫ぶ。
「追加されたんだよ、他の部隊も手伝って暮れるから大丈夫だ」
「でも白線は僕達だけでやるんですかー・・・?」
「競技用ホールはグラウンド程広くは無いから、どうしても曲げる必要があるかもね」
計香は冷静に語るが・・・
「それってより技術要りますよね?」
「せやなぁ・・・ミスったらかなりめんどい長さや」
勇理はいつも通り自信の無い表情をしている。
すると
『緊急連絡、緊急連絡、第2強襲科、第4情報処理科は至急司令室までお越しください』
「何かあったのか?」
「みたいですね」
フレンはすこし訝しむがすぐに会話に戻った。
「なんでウチらじゃ無いんやろな」
「お2人、第1が出るまでも無いって事でしょうか?」
「それより、いつから作業始めるんですか?」
勇理は脱線した話を元に戻し進める
「今日。話まとまり次第取り掛かるで」
なんだって?
「え、つまり?」
「もう5月に入っている、そろそろ世間一般に体育祭開催の公表があるだろう。それから準備した所で開催に間に合わないんだ」
では6月にすればいいでは無いかと思う勇理と計香
「さらに、外敵はいつどこで現れるか分からん、こういうイベントも出来るだけ短期間かつ迅速に行うべきなんやて」
なるほど・・・そう言われればそうかもしれない。
「まぁ色々あるが、とりあえず2人は入隊って事でいいか?」
「はい!光栄です!お願いします!」
「まぁ、はい・・・」
勇理は本当に自分でいいのか心配になるが、この大きなチャンスは2度は無いだろう。これから学んで行けばいいと思い入隊を了承した。
「いよっし!じゃこれ、聖徒会証と隊員証、生徒手帳に挟んどき!無くすんやないで?」
「あれ!?もう作ってあるって事は最初から・・・!」
「さーて!話もまとまったし!まずは体育倉庫まで急ぐぞ!」
「あ!フレンさん!?」
やられた、既に員証が作ってあるという事はどの道聖徒会と第1強襲科に無理してでも入隊させる算段がついてたという事である。
「まあまあ勇理、栄えある1強だよ?聖徒会だよ?入ってるだけで将来安泰だよ?毎日健康で運気もアップ!お姉ちゃん、1つどう?」
「計香、悪い人みたいだよ」
しょうがない、もう入っちゃってるみたいだし、特に入らない理由も無いし。
「じゃあ体育倉庫まで競走ね」
「廊下は走らない!計香って変にアバウトな所あるよね・・・」
「勇理もね」
2人で喋りながら体育倉庫へ向かう。
━━ 体育倉庫 ━━
「これ何に使うんですか?」
「ん?知らん」
国家直轄の養成機関だけあって校舎だけでなく倉庫内はかなり広く、見慣れた体育の授業で使うのであろうマットや用途不明の人形など様々な物資で溢れかえっていた。
「あ!あったぞ!」
「お!ナイスフレン!」
フレンが白い太めの変わった素材で出来たテープを持って来た。
「室内ですからね。中学の時はグラウンドに白線引いてましたけど」
「やっぱ翼専は違うのね」
時代の進歩を感じながら巻尺で凡そのマーキングをする。巻尺をフレンと明美で持ち距離を測る。テープを勇理と計香で正確に貼っていく。
「ちょっとずつ曲げながら貼っていけー。全部で8本引くでー」
「「はーい」」
こうして貼り終わる頃には2時間が経過していた。
「次、来賓席組み立てるぞー」
「明美先輩、ご来賓の方ってどんな方がいらっしゃるんですか?」
「あー・・・フレンなら知ってるかもしれん」
「全く・・・かなり重要な事だぞ?いいか?まずこの体育祭には生徒の思い出作り以外にも意味がある」
「意味と言いますと?」
「宣伝だよ」
宣伝?広告とかCMのアレだろうか?
「体育祭を一般公開して翼専の存在と翌年の翼を持つ少女『候補生』を募集するという寸法だ」
「へぇー」
「そして来賓、ここに座るのは翼専機関の設営に投資してくれた方々だ」
「それは・・・!失敗出来ませんね!」
何かトラブルでもあればスポンサーの面々に合わせる顔が無い。
「おーい要!こっち手伝ってくれ!」
「はーい!今行きます!」
「一般公開・・・」
何事も無ければいいけど・・・。




