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46、そして残り百年

最終話となります。

 失われし魔導石を復活させたミウ、その魔導石を横取りしたと噂されるフェデッ。

女神様を権現させたミウ、女神様の前で潔白を誓えなかったフェデッ。

王族や貴族が神に祝福された血筋なら、いま目の前で祝福されたばかりのミウは……

「あれだけ体を張ったのに追い詰めれ無かったぁ! 」

はい、不貞腐れてます。


「状況証拠しかなかったのだから仕方あるまい」

それでもロロリ家の派閥からほとんどの名家が脱退し、そのおかげかロロリ家の黒い噂も流れ、ロロリ家の勢力は大幅に減少した。

代わりに何故か私の派閥に入りたいと言ってくるのです……全国モフモフ党でも作れというのですか? 

モフのモフによるモフの為のモフモフ!


 メイリンの街の冒険者ギルド長の座からフェデッが退いたのでステラさんを推薦しておきました。

「面倒事は全部私なのね? 」

普段から何でもやっているから、大丈夫かなぁって思いました。


「それで、副ギルド長がギルド長になって、何か変わりましたか? 」

「承認のサインも打ち合わせも、全部私がサインして出席していたから……何も変わらないわねぇ……」

既にギルド長の仕事もやってましたか……じゃあ、あのオークモドキは普段は何をしていたのですか?


「関連各所に賄賂を請求したり、資材を横流ししたり……」

何処の悪代官ですか……


「居ない方が平和ですねぇ……」

「これが普通の事なんだけどね」

ところで、女装変態+五になってフロアを走り回ってるのは……

「気に入ったみたいよ? 」

あー、女装男子ーズ。そっち方面に素質があったのか、そっち方面に育ててしまったのか……



 夕焼けに燃える農家のトラクターが一列に並び畑を耕していく。

「掘るのも、均すのも、植えるのも、刈るのも全部が同じ幅の規格にする。思いつきはするんだが、今までの動力源が非力でなぁ……あのトラクターの力でやっと実現出来たよ」


 一度圧倒的な動力源を見せてしまえば皆がそれを利用しようと色々と考えてくれる。

おかげで農機具の統一規格が自然と出来上がり、アタッチメントを変えれば一台のトラクターで様々な事が可能となました。高く思われた初期費用も一式揃えるのを考えると最終的にはかなり安い費用になりギルドからの助成金もあり一気に広まりました。


「初めは一台の耕運機や収穫機で喜んでいたのに、日に日にもっと早く、もっと楽にと欲望にキリがない……」

「食って寝て遊ぶ、それが人の行き着く欲望ですからね」

「そんな日がいつか来るのかね? 」

「グライスさんが望めば明日や明後日にもそうなりますよ? 」

私は夕焼けを背にしグライスさんに向け不敵に笑ってみる。

「……止めとく、そんな世の中じゃ商売が出来んわ」

「残念です……」


「ところで、あのトラクターの上に付いてる玉は何だ? 」

「気のせいじゃないですか? 」

「いや、何か宝玉とか鑑定結果が出るのだが……」

「キノセイデスヨ、キノセイ……」



「最近、何をやらかしたのか白状して貰おうか? 」

おや、ジョエルさんが来店。ですから、どうして私が何かしている事が前提なのですか? 所でこの金貨一万枚分の硬貨を入れるまで絶対に開かない貯金箱とかどうですか?


「誰が一万枚も貯めれるんだ? 最近、街周辺の作物が豊作なのだが……」

それは良い事ですねぇ……女神像の手に硬貨を乗せると、上に放り投げて口で受け止めお腹の中に入る貯金箱もありますよ?


「それは女神様に不敬過ぎるだろ。それにその豊作の宝玉、ちゃんと管理しとかないと盗まれるぞ? 」

「え? ちゃんと、収納した筈ですよ? 」

「やはりお前か……この建物に付けられたやたら高い煙突のせいか?! 」

何故バレたし!


「どの位の効果か試したかったんですよぉ……ノルマが有るんです、なかなか消化出来なくて百万年越えちゃって……」

「何を訳判らん事を! 収穫期ではないのに、あれだけ実れば誰だって疑うわ! とりあえず何かやるなら一声かけてからやれ! 」


「それでは、森の中にローラーゲームのスタジアムを創ったのですが。そろそろ街にローラースケートを普及させて良いですか? 」

「ちょっと待て」

あー、普及はまだ駄目ですか……

「何だそのスタジアムと言う奴は? 」

「ローラースケートで競技する会場ですよ? 」

「そんなの認めた覚えが無いのだが? 」

……おや? まさか……


「もしかして、山脈を貫いた王都までのトンネルも……? 」

「トンネルとは? 」

……おおぅ、単語の意味が微妙に通じて無かった!

「山の此方から向こう側まで、人が通れる真っ直ぐな穴ですよ」



「……つまり、森の中に十万人を収容出来る巨大な建物を建て、この街から王都に行く途中の山に穴を掘った……と? 」

「順番としては、穴を掘ってその残土で建物ですね、スタジアムの設計は商業ギルドの建設担当のグレインさんもノリノリで設計してましたよ? 」


「十万人とか街何個分だよ! 何処にそんなに人が居るんだよ! 」

「そこで、トンネルを利用した王都までの高速貨客構想を! 」

「そこで! じゃねえ。十万人分も宿屋が無いだろうが! 」

つまりは森を開拓して百万人都市を創れば……

ついでに都市の各所に配置した魔導石で都市全体をゴーレム化させて……緊急時にはタイヤが出て走り出したり、変形して人型で戦ったり……

「ろくでもない事を考えてそうだから、全部無期限停止な」

なんですと! 幸せが義務になる素敵な都市計画が!


「しかし、何故お前はそんなに色々な面倒事を作り出す、大人しく暮らせんのか? 」

その大人しく暮らす為に色々と創っているのですが……


「ジョエルさん、実は私……不治の病なんです」

「なん……だと? それはお前の力でも治せないのか? 」

「はい、残念ながら……だからこそ創りたいのです! 何でも沢山! 」

「そうか、自分が生きていた痕跡を残したくて物作りを……」


「それで……猶予は後何年あるのだ? 」

「そうですね……今のこのペースでいくと……百年以上ですね」

「……真面目に聞いた俺が馬鹿だったよ」

不治の病以外は嘘じゃないのですけどね……



 一日の終わりは、ココちゃんのモフモフですね!

ドジョ・ドジョに入ると……混んでますね。

カウンターの一角が空いているのでそこに座りましょう。


「お義父さん、いつものココちゃんを一人前」

「やー」

お水を持ってきたココちゃんを、流れる様な動作で膝の上に乗せモフモフを堪能……はぁ、一日の疲れが癒されます。


「ほい、いつもの夜定食」

厨房に一人雇えたからか、ヴィヴィアさん少し顔色が良くなりましたね。

新しい料理人は、ギジーブートキャンプに居た女の子です。

キャンプ中に私の作った料理が気に入ったらしく、隣に弟子入りしに来ました。

「新人が入ったそうですけど……どうです? 」

「慌てて調味料を間違えたり、レシピを勘違いするのを別としたら、良いんじゃないかな? 」


 ……料理人として別にしちゃ駄目な分類だと思いますが。むしろどの部分が良くて採用したのですか?

若い女の子だからですね? 浮気ですか? 後でセイランさんにチクっておきましょう。

「その冗談は、俺の命的にシャレにならないから止めろよな? 」

判りました、言えという事ですね?


「それならどうして、雇ったのですか? 」

「やる気と熱意かな」

「セイランさん、ヴィヴィアさんが若い女の子に迫られてコロリといきました! 」

「ちょっ……! 」

「ちょーっと、あちらでお話ししましょうね? ア・ナ・タ! 」

突如として背後に現れたセイランさんに、ヴィヴィアさんが連行されて行きます。

……セイランさん、流石にそのミートハンマーは危ないと思います。

厨房の奥で何かが潰される音をBGMに夜定食を頂きます。


 さて、明日はどんな下らない物を創りましょうか?

私は自室の地下に創られた秘密の部屋に行き、特別製のベッドに横になります。

体内の魔力を強制的に吸収し、屋上の煙突から周囲に拡散させるこのベッドならば、寝ているだけで魔力を減らせます。

計算上、ベッドに寝続けて百年で体内の魔力が枯渇する予定です。


 まぁ、普通の生命体が触ったらその瞬間に魔力の過剰枯渇で塵になりますけどね。

問題があるとすれば、煙突の途中に付けた豊作の宝玉フィルターで街周辺の作物が異常成長している事位ですか。

フェイクの宝玉をアチコチに置いてはありますが……

頑張って百年の間、下らない物を創り誤魔化しましょう。


今まで読んで頂きありがとうございます。

次期構想を練りながら本作の誤字脱字、言い回しの修正をすると思います。


次回作が出来たら、またその時に御愛読よろしくお願い致します。

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