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詩全集4

春の始まり

作者: 那須茄子
掲載日:2026/04/02

泥にまみれた靴のまま 

誰にも言えない秘密の夢を抱えて

僕はここまで来たんだ


食べられるものは全部食べた 

飢えた心を満たすために

でも満たされることはなくて 

空っぽのまま歩いていた


長いトンネルを抜けた先 

見慣れない色に包まれて

気づいたんだ 

これは終わりじゃない

始まりの合図だったってことに


風の匂いが変わる

気づいたのはほんの些細な瞬間で

それでも胸の奥では

何かが確かに動き出していた


昨日までの痛みや迷いが

すぐに消えるわけじゃないけれど

その全部で

前へ進める気がしたんだ


足元に落ちた影が

少しだけ薄くなって

代わりに差し込んだ光が

僕の輪郭をそっと縁取っていく


あの日泥にまみれた靴で

必死に歩いた道のりは

無駄なんかじゃなかった

むしろ今の僕を形づくる

大切な根っこだったと

ようやく思えた


春はいつだって

誰かの痛みの上に咲く

それでも花は迷わず開く

その強さに救われた


だから僕も

もう一度始めてみる


まだ見ぬ景色へ向かって

ゆっくりと息を吸い込む

これは終わりじゃない

確かに春の始まりだっ

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