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狐の嫁入り -土姫ノ章-  作者: ツカサシキ
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3-3 出来た『妖しい』人物…

立て続け投稿です。

よろしくお願いします。

 経験・体験しないといけない…大人達によって用意された『一本道』を延々と歩ませられるのだ。

 どんなに嫌でも『権力』を持った大人達から逃れるのは『至難の業』だ。


 しかし、子供達も黙っていない『親御』さんの力を太刀打ちする事があるが…結局、親御さんも“大人”だ。


 大人達からしたら子供達の『反発』にしか、感じない。

 関わりたくないのだ。


 緊急事態にでもならない限り、全く動こうとしない。


 我慢の加減と限界を超えてしまった子供達は、大人達によって『心』を殺され続けると倒れこまないと『大事』に発展しない…結論から言うと『運』だろう。


 誰もが菜種のように完全に“一匹オオカミ”になれるわけではない…可能な限りの真似は、出来るだろうが…歯痒く“社会の津波に飲まれる”しかない。


 しかし…いくら『嫌』でも…世間、そうもいかない。

 独りでは、生きていけない。

 支えないと、生き抜けない。

 それが『人』だ。


 ――分かっている…分かっている。


 僕自身も今の教育――…と、いうか…偉い事なんて口に出せない。

 いや…出させないように『臭いものには、蓋』の精神が、根深く広がり続けているのが現実だ。


 塾講師の先生自身の体験・経験は…僕が知っているよりも異常だった。


 傲慢・怠慢な教師による学校生活――…手遅れ状態で、重度の男尊女卑。

 好みの女子生徒に対するセクハラ。

 授業の退屈さ。

 理不尽な校則。

 強い者に弱過ぎな教諭。


 賄賂を渡せば、成績を偽造を平気で行う…他もあるが、キリが無いので割愛する。


 そんな不愉快な環境だったからか…講師の先生は『二の舞』防止として、塾に通う生徒達だけでも防波堤になるという決意をしたらしい。


 しかし…自分の見た目のせいで中々、上手くいかずに待機講師として『お荷物化』になっていたそうだが…ある日、私立を受ける上級クラス担当の講師が、インフルエンザで欠勤し、白羽の矢が刺さったそうだ。


 だが、これは…他の講師からの『イジメ』だったそうだ。

 見た目が「軟派!」という理由だからだったらしい…馬鹿馬鹿しい話しだ。


 塾の中では、上級クラスと言う『花形』のため、直ぐに根を上げると自信を持った他の講師達だったが…終わった途端、生徒達面々が「また御教鞭をお願いしますっ!」と、志願してきた。


 驚いた講師達は、理由を聞いた。

 再び、驚いた。


 生徒達の話によると、今教えている講師に比べて…学校と塾の問題集の解き方が、無駄に分かりやすく…不思議と頭に入っていくそうだ。


 そして、その日に学校や塾で受けた抜き打ちテストのプリントを持っていくと、間違えてしまった問題を『無理に合わせられた』から『自分に合った』解き方を見つけ出し、合うか合わないかは、当たり前にあるのは当然であることを教えてもらうと…苦戦した問題が、分からなかったはずなのに「嘘…解った…」と、衝撃を受けた。


 そして、そのプリントに大きな花丸と…子供向けの『大変よく頑張りました』等のスタンプを押してくれたというのだ。


 見た目に反して、面倒見も良く…自分の経験・体験をしていたため思春期の真っ只中の生徒達には、僅かな心の支えであり救世主なのだろう。


 教団――…とまでは、言わないが…自身の経験と体験・理解力のお陰か、全生徒の心を鷲掴みにしてファンクラブが存在しているという。


 初仕事を終えた講師のその後は、ガラリと一気に変化した。


 見た目で決め付けていた先輩講師や同僚から何故か、掌を返しながらゴマを擂るがごとく指導依頼が来るようになったとか…理由は、塾の公式ネットアンケートにて生徒達からの今までの窮屈と鬱憤の大爆発がつらつらと書かれていたそうな。


 例えば「○○先生の授業、分かりづらい!」とか「自分泥酔講師!」とか「押し付け魔講師!」等等――…大炎上。


 サイアクな事に掲示板を見た、保護者からの問い合わせが殺到してしまい…大炎上の烙印を押された担当者は、辞めさせないよう縋り付くと…上司から「落ち着くまで、事務処理をするように…」と、首とまで行かないが…何時、解雇されるか分からない『現実』を突き付けられた。


 たった初仕事から数週間の間だけの担当だった“軟派な若造”先生によって…バラ色の人生一直線だった『自分信仰教科書』が、ものの見事に木っ端微塵にされた担当講師は、怒り狂わないはずがない。


 注意と警告をしようとしたところを…その担当者の自分の娘と姪っ子が、目の当たりにしていたとも知らずに――…周りを見ていなかった担当者は『ハッ』としたが、既に遅かった。


 休んだ自分の代わりに教鞭を取ってくれた謝礼すら言わず…それどころか、ほぼ全生徒の信頼・信用を勝ち取った事を逆恨みし、その若先生に罵倒を繰り返し続けた担当講師は、せっかく用意してくれた塾長の『温情』措置を無駄にした。


 その罵倒した光景を伝言ゲームのように伝わってしまい…ほぼ全生徒達から抗議の意味を込めて、ボイコット運動を始めただけでなく――…今までの鬱屈を晴らすように生徒から親御さんに“今まで”の指導を話した。


 その内容を知った親御さんは、絶句し…直ぐにクレームと問い合わせが押し寄せた続けた――…結果は、担当講師は『解雇』になった。


 ――当然の結果、だろう。


 決め手は、自分の娘と姪っ子さんを含む複数の生徒達が、その現場を見聞きしていた事と学校の教諭と他の塾講師達と比べて『分かりにくい』が大きかったそうだ。


 その悪行を娘からと姪っ子さんから聞いた自分の妻と姪っ子さんの親御さんから怒りを買っただけでなく、全親戚の怒りを買ったのが大きかったらしい。


 解雇されたため、自業自得とはいえ家族に『全部』知られた挙句の果てに冷たい視線を浴びながらも仕事をしないといけない――…しかし、年齢的に雇ってくれる職場がなかったものの…見かねた親戚の一人から“お情け”で、住み込みバイトを紹介されたそうだ。


 既に家族どころか家での居場所がなかった彼にとって、渡りに船だったらしく…紹介された仕事先にいそいそと向かったらしい。


 今では、汗水流しながら「嘘だろ、貴方誰?」と、言われるほど逞しく仕事をしているらそうだ。


 元・職員は、塾に居た時より健康的になり――…どの職場でも必須条件となっている健康診断を“必ず”受けているという。

 そして、健康診断の元――…今まで、見向きもせずに行わなかった『献血』を積極的に行っているという。


 親戚からの情報と報告に家族は、絶句したという――…そして、あんなに邪見にしていた先生に謝罪文を送られてきたという。

 今では、メールやSNSが“当たり前”な時代だが…手紙を送りあう文通友人となっているそうだ。


 正直言って“心が広い”という言葉が、合っているのではないだろうか。

 外見のせいだったとはいえ、勝手に邪見されていた相手からの手紙なんて…嬉しくもないし、楽しくもないだろう。


 しかし――…手紙の内容は、これまでの非礼に対する謝罪の言葉が書かれていたそうだ。


 初めは「裏があるんじゃないか」とか「復讐の機会を伺っているんじゃないのか」とか、揶揄されていたが…心配になって、新任した上司の許可を取り…必要経費から探偵に調べてもらったところ――…要らぬ心配であったからだ。

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