邂逅(半世紀を経ての)
ステラ・マリス墓地まで、車で来た。
墓地入り口に車を止めて、Evelynは迷いのない足取りで、墓地の中を歩き、周りを芝生で囲まれた、立派な柵で覆われた墓地の前までたどり着いた。
入り口には、聖母マリアの像が立っていた。
孝二も、Evelynも柵の前で、佇む老人に目が吸い寄せられた。
「Do you need something?(何か御用ですか)」
東洋人らしい老人が
「I'm sorry、 that's nothing(何でもありません)」
といって、Evelynに微笑みかけた時、老人は手に持っていた百合の花束を落とした。
「Are you acquaintance of my grandmother?(祖母のお知り合いの方ですか)」
Evelynは老人が落としたユリの花束を、拾って老人に渡すとたずねた。
「No、 it is not an acquaintance. It would be probably wrong with the place of the grave of Myち acquaintance(いいえ、知り合いではありません。知人のお墓と間違えたようです)」
といって、孝二とEvelynの前を会釈をしながら通り過ぎた。
「あなたは、日本の方ではありませんか」
と孝二は、日本語で訊ねた。
老人は、理解出来ないような顔で
「I am Vietnamese nationality. My name is called Nguyen Minh Ngoc.(ベトナム人です。名前はグエン・ミン・ゴックといいます。)」
と答えた。そして、背を向けた。
孝二は、先ほどの記念碑での花といい、偶然の産物と思えないため
「竹部飛行兵長」
と日本語で、老人の背中に叫んだ。
一瞬老人の、動きが止まったが、なにも無かったように歩き出した。
孝二は、なおも続けた。
「新谷さんは、数年前まで生きていました。死ぬまで、新谷さんは竹部さんという人に、心から感謝をしていました。」
それでも、老人は動きを止めなかった。
Evelynは、最初、孝二が何を言っているのか分からなかったが、ようやく何かに気づいた。
「My grandmother still waits on for you、(私の祖母は、まだあなたを待ち続けている)」
Evelynは、トートバックから、いつかの祖母の手紙を取り出してかざした。
ようやく、老人が動きを止めた。
そして、振り返った。
Evelynも孝二も確信していた。
その老人こそが、竹部 明憲であると。
「It is why、 and you have it (どうしてそれを)」
と老人は、言うとEvelynの前まで、引き返してきた。
「Evelynは、Saraさんのお孫さんです。そして、Mariaさんの子供です。」
と孝二は、日本語でいった。
老人は、Evelynをまじまじと見つめて
「You resemble Sara of the time when I met you closely(あなたは、出会ったころのSaraとよく似ている)」
と老人はいった。そして、孝二の方を向いて
「竹部 明憲は死んでいる。ここには、存在しない。それは、理解してくれ。」
と含みを持たせていった。
とても、老人とは思えないすごみがあった。
Evelynは、だまって、Saraが書いた手紙を渡した。
老人は、複雑そうに手紙を受け取った。
「Because I judged that I could not hand me to you、 I cut the seal of the letter.(渡すことはできないと思ったから、封は切りました)」
Evelynはその手紙の内容から、その場にいてはいけないと思い、孝二を促すと墓地の出口まで引き返した。
「どうして、竹部さんだと分かったの」
とEvelynが不思議そうに孝二に訊ねた。
「飛行所の記念碑の慰霊碑の場所に、花が供えあっただろう。あれは、特攻花と呼ばれているものなんだ。そして、ユリの花束はキリスト教で最も供えられる花束だろ。だから、そうじゃないかとおもった。」
しかし、かたくなに、日本人であることを否定した。ベトナム国籍だといったことには、何かしらの訳があると感じていた。
「やっと、逢えたんだね。グランマは」
「ああ、新谷さんがいったとおり、人の思いは時を超えてもなお、生き続ける。例え、肉体は滅びたとしても、思いだけは、生き続けるのかもしれないね」
と、孝二は、Saraの墓地の前で立ち尽くしている、老人をみてそう思った。
どう完結したらいいのか,迷います。もう一度竹部の目線とSaraの目線での話が必要となりそうです。長くなりそうな気配です。焦って無理やり完成させずに,気長に書いていこうと思います。しばらくお付き合いください。




