032 閑話 ミルクティーにはお砂糖
「お待ちしておりましたナッシュ様!どうぞどうぞ、こちらが商談室となっております。朝からお越しいただき、誠にありがとうございます。本日はお日柄もよく、最高のご購入日になりそうでございますね!いやぁ、私シュターナルは嬉しくて眠れないくらいでした!」
朝からうるさいなこいつは。
あとで担当を変えるように言っておこう。
眠れないくらいってことは寝れてるんじゃないか。
調子のいい職員だな。
「どうぞどうぞ、おかけください。今すぐお茶をお持ちいたします!商業ギルドで取り扱っている最高級のお紅茶でございます!最近発見された茶葉でございまして香り高く、スッキリとした味わいが特徴となっております!」
どの紅茶も香り良くてスッキリとした味わいしかないだろう。
こいつは味覚がおかしいのか?
「ふーん、アッサムだね。ストレートで飲むならダージリンが良かったな~。ねぇねぇ、ミルクない?アッサムはミルク入れると美味しいんだよ~」
「そう、なのか?」
「最近発見されたって言ってたよね?この世界の人はみんな知らないんだろうね~」
「み、ミルクでございますね!おい、誰か!誰かミルクを持ってこい!」
いや、お前が行けよ……
下の職員に嫌われたらギルマスになんてなれないぞ。
「あ、あとお砂糖も欲しいかな~やっぱりミルクティーは甘くないとねっ」
「んなっ、さ、砂糖ですと……高級品の砂糖をご所望されるとは……庶民に見えるが実は貴族なのか……いや、そんなことはない。だがあのお召し物はなんだ、見たことがない……どこか他国の王族か貴族……」
相変わらず心の声がダダ漏れだな。
担当変更は誰に言えばいいんだろうか。
「は、蜂蜜ならございます!すぐにご用意できるかと!」
「えー、紅茶に蜂蜜~?あんまり好きじゃないんだよなぁ。独特の匂いで紅茶の良さが消えちゃうよ?」
「んなっ、なんと!紅茶に詳しいのは高貴な証……普段から蜂蜜より砂糖を使うなど庶民ではありえない……それに庶民がここまで茶に親しむなどありえない……ははは、やはり私の目に狂いはなかった。この商談を取りまとめ、私はギルマスになるんだ!」
たかだか一件売ったくらいでギルマスになれるわけなかろう。
本当にこいつはエースなのか?
取りまとめたいなら紅茶はもういいからさっさと契約させてくれないもんか。
金貨三百枚を持ってるのって結構重たいんだぞ?
「もう、ここは砂糖も出ないの?信じらんなーい。もういいもん、自分の使おっ。砂糖なんて安いのにへーんなのっ」
「待てひより……」
ああ、遅かったか。
シュターナルは夢の世界にいるようだし大丈夫だろ。
あ、俺も砂糖を使わせてもらおうかな。
「んー、やっぱりミルクティーは甘くないとねっ!とーっても美味しいっ」
「え?砂糖?なんで?い、いつの間に?」
本当に美味しいな。
ミルクティー、ハマりそうだ。
「私が持ってるお砂糖だよっ!商業ギルドなのにお砂糖もないなんてびっくりだよっ!でも美味しいから許してあげるっ」
「は、ははー!し、白い砂糖、だと……やはりこのお方は高貴なお方……砂糖を常備されてるなど庶民では絶対にありえない。それにこの輝くような白い砂糖など見たことない……絶対にこの商談はヘマできないぞ……やる、私はやるんだ……できる、私ならできるぞシュターナル……ああ、ギルマスギルマスギルマス……」
なんで土下座してんだこいつは。
早く買わせてくれ……
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