016 みーちゃん無双
「ナッシュくん、私の分まで頼んでくれてたんだねっ!ありがとうっ」
制服そっくりだけど嬉しいよねっ
この世界の服よりはかわいいしっ
でもスカート短すぎないかな?
久しぶりにミニスカート履いたからなんか気になるよ~
変じゃない?大丈夫だよね?
鏡もないからわかんないよ。
『キュッ!』
「かわいい?そう?ありがとうみーちゃんっ」
ナッシュくんにもかわいいって言ってほしいなぁ
「に、似合ってるぞ……」
「ふぇ!?」
もう!いきなりは反則だよ!
ドキドキが止まんないじゃん!
「とにかく現場に急ぐぞ!」
デラルさんに言えって言われたから言ったが……
恥ずかしすぎるだろ。
もう二度と言わんからな。
「わー、まってよ~!」
「少し遅れたからな、今日中に帰れなくなるぞ」
「やだやだ!もう野宿はまっぴらごめんだもん!」
やれやれ、騒がしいな。
だが寂しくなくていい。
普段一人で活動してる時よりよっぽどいいだろ。
あとはひよりを守るだけだ。
『キュキュ!キューッ!』
「なーに?ふんふん、みーちゃんも装備欲しいの?デラルさんに今度頼もうか?」
『キュキュキュ!』
「私が作る?あー、あやとりで?紐ないよ?」
『キュッ!』
「なんで持ってるの。ん?あそこにあった?ほんとみーちゃんは紐を探すのが得意だね~」
『キュキュ!』
「うんうん、剣が欲しい?この前の?あー!聖剣エクスカリバーね!いいよ~かっこいいの作っちゃうからっ!」
こうしてこうして~
「こう!ほらできた、この前より豪華な聖剣エクスカリバーだよっ」
『キューッ!』
何回やっても不思議だよね~
なんで本物ができちゃうんだろ。
「みーちゃんかーっこいい~」
『キュッ!キュキュ!キューーーッ!』
「ふぇ!?」
岩が真っ二つじゃん!
なんで?みーちゃんが?うそでしょ!
「な、何が起きたんだ!」
「みーちゃんが剣で斬っちゃった……」
地響きがしたから何かと思ったが、無事なら良かっ……いや良くないな。
何してんだこいつらは。
剣って、みーちゃんの持ってる神聖なオーラを纏った剣のことなんだろうが、どこで拾ったんだ?
「私があやとりで作った剣なんだけど、みーちゃんがすごすぎるのかな?」
「みーちゃんもだが、ひよりのスキルもとんでもないかもしれんぞ……」
「えー、だってただのあやとりだよ~」
「網の時も盾の時も、ひよりのイメージで作ったと言ってたろ。あの剣はどんなイメージなんだ?」
「んー、私が前にやってたゲームの最強の剣だよ!勇者が使ってる聖剣エクスカリバーってやつ!かっこいいでしょっ」
最強?勇者?聖剣?
なんてこった。
それがそのままイメージされてたのなら、ひよりの世界の最強の剣ってことなんじゃないのか?
※ゲームのことが理解できない※
「みーちゃん、その剣を貸してくれないか?」
『キューッ!』
「やなの?これはみーちゃんのだからナッシュくんには貸さない?」
『キュキュ!キューッ!』
「ナッシュくんは料理人だから包丁がお似合いだって」
……軽くバカにされてないだろうか。
いや、みーちゃんがそう言ってるわけじゃない。
ひよりの翻訳の仕方、そういうことだ。
「どこまで向かうの?」
「あそこに山が見えるだろ。あそこに住み着いた魔物がいるらしくてな。そのせいで通行できないらしいんだ。それの討伐依頼ってやつだな」
「強いの?」
「魔物自体はDランクだから、そこまで強くないはずだな。俺一人でも問題ないから依頼になってるんだろうし」
「じゃあちゃちゃっとやっつけちゃおっ」
でもいざとなったら私も……
できるかなぁ。
盾だけは準備しとかないとね。
うぅ、なんか急に怖くなってきた。
「そろそろ着くな。ここからは離れないでおけよ。遠くにいたら守れないかもしれない」
「う、うん……」
いつもより魔物が少ないのは、その住み着いたやつのせいなんだろうか。
まぁいい、俺が討伐すれば済むことだ。
どんなやつが相手だろうと、包丁の錆にしてやろう。
俺の捌きの技術向上のための餌食にしてくれる。
今日の目標は細かく切ることだ。
俺はみじん切りをマスターしなければならんからな。
「ねぇ……なんかすごい静かじゃない?」
「いつもより静かだな」
「どんな魔物がいるっていうの?」
「詳しくは分からないが、牛の魔物らしい」
「それって……牛肉?」
「そうかもな。もしかしたら旨い肉かもしれん」
「えー、魔物って食べれるの?」
「食べれるぞ。ひよりの世界の肉の方が旨いだろうがな」
食べれるとしてもなんかやだなぁ。
だって魔物だよ?
直接魔物を見なかったら食べれるかもだけど~
「あそこに何かいない?」
「ほんとだ、いるな。あれが討伐対象の魔物かもしれんな」
「あ、立ち上がったよ」
「牛……の顔してるな」
「あれは牛だね。斧ブンブン振り回してるよ」
「危険だな」
「でもまだ遠くない?」
「遠いな」
「どうするの?」
「ちょっと止まって様子見するか」
張り切ってるのはいいんだが、あれは疲れないのか?
あんな状態のやつに突っ込んでいくのはやだなぁ。
「ナッシュくん、まだ行かないの?」
「だってぶん回してるぞ」
「ぶん回してるね」
「だから行く必要ないな」
「あ、止まったよ。疲れたのかな」
「肩で息してるから疲れてるんだろ」
「どうするの?」
「なんか睨んでないかあいつ」
「え、それは普通じゃない?戦うと思ってたからブンブンしてたんじゃないの?それなのにナッシュくんが行かないから」
「まぁそうか。でも遠かったからな」
「あの牛の魔物、馬鹿なのかな」
「待てひより、あいつ走ってきたぞ!」
わわ、牛なのに速いじゃん!
盾用意しないとだよ~
「やっと来たか、お前の相手は俺だ」
『ぶもぉぉおおおお!』
「おっと、なかなか強いじゃないか。新しい包丁じゃなかったらやばかったかも、なっ!」
俺のパワーに勝てないようじゃ、あとは捌かれるだけだぞ。
「お、これをかわすのか、やるじゃないか」
『ぶもぉぉおおおお!』
叫んで斧を振り回すだけじゃ俺を倒すことはできないぞ。
『ぶもぉぉおおおお!』
ナッシュくんつよーい!
2メートル以上もある牛の攻撃を軽々かわしてるよ~
なんだ、楽勝そう?
「ナッシュくん頑張ってっ」
「しまった、ひよりとの距離が離れてしまった!」
え?どういうこと?
『ぶもぉぉおおおお!』
な、なんで牛が私の方を向いてるのよ!
助けてナッシュくんっ!
「くっ、間に合わない!ひよりーー!」
久しぶりのひよりがいる戦闘で距離感を間違えてしまったじゃないか。
くそっ、どうする!
『ぶもぉぉおおおお!』
『キュッ!』
『ぶも?!』
『キュキュキュキュキュキュキューーー!』
みーちゃんが……
『ぶもぉぉおおおお!』
「ふぇ!?」
『キュッ!』
みーちゃんすごすぎ……
細かく斬りすぎだよ。
聖剣エクスカリバー強すぎない?
みーちゃんが強すぎるの?
「みーちゃんありがとう。完全に俺のミスだ」
なんて斬り方なんだ。
ほぼ均一にカットされている。
聖剣エクスカリバーの斬れ味のおかげなのか、みーちゃんが強すぎるのか……
くっ、せっかくの修行チャンスだったのに。
「でもこんなに細かくなってたら食べるのは無理だねっ」
「そ、そうだな」
食べることは確かに無理だが……
ひよりが無事なら良かったな。
「これで討伐は終わり?」
「そうだな。魔石を見せれば討伐と認められるからな」
「でもみーちゃんが倒しちゃったよ?」
「そうだな……」
「ナッシュくんだけでも倒せてたよね?」
「倒すのはそこまで難しくないだろうな」
「じゃあ大丈夫だよねっ」
なんの確認だこれは。
問題ないはずだ。
実際、俺だけでも倒せたんだ。
それにしてもこの魔石、大きいな。
「これを持って帰ればいいのね?」
「だな。それじゃあ帰るとしようか」
「斧落ちてるよ、デラルさんへのお土産にしとく?」
「それもいいかもな。それも討伐の証明になるだろ」
みーちゃんのおかげで危なかったけど倒せて良かった~
私ももっとしっかりしないと。
戦うのは怖いけど、自分の身を守れるようにしとかないとだよね。
盾だけじゃ不安だし、なにか覚えた方がいいかなぁ。
「帰ったら何食べようか?」
「牛肉以外かなっ」
とりあえず帰ってから考えよっ




