魔法石
「ダリア様、ダグラス様。今お時間よろしいですか?」
外出から戻ってきた私たちはいつも通り夕食をとった。その後ダリア様たちはいつもの部屋でお話をしている。私も誘われたのだが一度、部屋に戻ると言って帰ってきた。私の机の引き出しに入っていた贈り物を大切に取り出して、私は部屋を出た。これを渡して喜んでくれるだろうか、そんなことを思いながら二人の元へ向かった。
「リュシエンヌです」
ノックしてからそういえば、二人が優しく返事をした。
「何か部屋に用があったの?」
いつも通り直行でこの部屋に来なかった私を二人はどうやら不思議がっているようだった。私はふっふっふと悪そうに笑いながら二人に近づいた。
「それはもちろん。二人への贈り物を取りに行ったんです!」
そう言いながら自信満々に魔力石が入った箱を机に置いた。
「これは?」
ダリア様が箱の中身を覗きながら私に尋ねた。
「これは魔力石に魔法をかけたものです。名前は、そうですね魔法石です!」
魔力石に魔法をかけたものを魔法石と名づけることは私が決めた。魔力石に魔法をかけても魔力石と呼ぶと、そのままの魔力石と区別がつかなくなってしまうから魔法石と呼び方を変えることにしたのだ。そして、今回魔法石にかかっている魔法は連絡魔法と名付けることにした。全てレオン様にきいて承諾済みだ。
「魔力石、昼私の指輪の際使ったものか」
ダグラス様は魔法石を手を取りながら私に聞く。
「そうです。魔力石は魔力を物質として取り出したものです。そこに連絡魔法と言って遠距離だとしても連絡を取ることができる魔法がかかってあります。微量でも魔力を流すことができれば魔法が発動する仕組みになっています」
ダグラス様は信じられないといった表情をして、魔法石をまじまじと見つめた。
「これをリュシエンヌが?」
「いえ、私は少しお手伝いをしただけです。レオン様。レオン・ブルーゲンベルク様が主にです」
その名前を出せば、二人はハッとした表情をした。
「ブルーゲンベルク公爵のご子息様か。幼い時から類稀なる魔法の才をもたれ僅か10年で賢者になられた方。そのようなお方がなぜ私たちのために」
「レオン様は魔法の師匠です」
私とレオン様の関係をどう言うべきか悩んだけれど一番は師弟と言った関係が正しいような気がした。
「リュシエンヌの魔法の腕は前々からすごいとは思っていたが、まさかブルーゲンベルク公爵子息様に習っていたとは」
ダグラス様は唖然とした。けれどすぐに立て直し私に向けて微笑んだ。
「こんな素敵な贈り物をありがとう、リュシエンヌ」
「えぇ本当に。今日は驚かされてばかりね。リュシエンヌのお店のこと、それにネックレスのこと。本当にありがとう、うれしいわ」
二人が笑顔で喜んでくれている。この忙しかった一ヶ月がこれだけで報われる。
「ダリア、今なんて言った?」
「え?なにが?」
「驚かされてばかりの後だ」
「リュシエンヌのお店のこと?」
あ、ダグラス様にまだ話していないんだった。さっきまで穏やかだった雰囲気が一変したのを肌で感じる。色々問い詰められるなぁ。今日は何時に寝られるのだろうか。
この後ダリア様の時と同じ説明をすればダグラス様は頭を抱えながらも、笑って承諾してくれたのだった。




