# 第二十五話 仲間?
洞窟結晶蝦の気配が遠ざかる。
長い触角の反応も消えた。
どうやら諦めたらしい。
(助かった……)
本当にしつこい。
しばらくはここから出ない方がよさそうだ。
そう考えた時。
ぺたり。
青光粘体がまた身体をくっつけてきた。
(近いって)
少し離れる。
すると。
向こうも近付く。
離れる。
近付く。
離れる。
近付く。
(なんだこいつ)
ぴた。
俺の横で止まる。
そして。
ぷるぷる。
何やら震え始めた。
(寒いのか?)
いや。
スライムに寒いとかあるのか?
分からない。
すると。
ぽう。
青光粘体の身体が淡く光る。
それにつられるように。
俺の身体の奥の魔力も反応した。
ぽう。
俺も光る。
青光粘体が止まる。
そして。
ぴょん。
跳ねた。
もう一度。
ぽう。
俺が光る。
ぴょん。
向こうが跳ねる。
(……お前、もしかして)
(遊んでる?)
なんとなく。
そんな気がした。
試しに。
もう一度。
ぽう。
青光粘体。
ぴょん。
ぽう。
ぴょん。
(あはは)
思わず笑いそうになる。
スライムだから笑えないけど。
なんだこれ。
可愛い。
転生してから。
初めてかもしれない。
楽しいと思ったのは。
その時だった。
青光粘体が突然止まった。
ぴく。
ぴく。
何かに反応している。
そして。
隙間の奥。
青い球体が転がっていた方向へ。
ぴょん。
ぴょん。
跳ねていく。
(ん?)
ついていく。
すると。
そこには。
さっきの青い球体が三つ。
さらに。
その奥。
岩の窪みに。
もっと大きな球体が埋まっていた。
人間の頭ほどの大きさ。
淡く。
静かに。
青く輝いている。
そして。
周囲には小さな青い球体がいくつも転がっていた。
(巣……?)
その時。
青光粘体が大きな球体へ身体をぺたりとくっつける。
すると。
球体の光が少し強くなった。
同時に。
青光粘体の身体も明るくなる。
(え?)
逆だ。
普通なら。
大きい方から小さい方へ何かが流れるはず。
なのに。
まるで。
互いに何かをやり取りしているような。
そんな不思議な光景だった。
そして。
頭の奥に。
今まで見たことのない情報が浮かぶ。
魔力保持
解析進行度:5%
魔力感知
解析進行度:1%
(魔力感知……?)
その瞬間。
世界が変わった。
発光茸。
青い結晶。
青い球体。
そして。
隣にいる青光粘体。
全部が。
ぼんやりと光って見えた。
いや。
見えたわけじゃない。
感じた。
流れている。
何かが。
身体の中を。
岩の中を。
水の中を。
ゆっくりと。
静かに。
流れている。
(……なんだこれ)
理解できない。
でも。
一つだけ。
はっきり分かった。
今まで自分が感じていた不思議なもの。
それは。
気のせいなんかじゃなかった。
この世界には。
確かに。
目には見えない何かが存在していた。
そして。
青光粘体は。
そんな俺を見上げるように。
ぴょこん。
と一度だけ跳ねた。
まるで。
「見えた?」
そう聞いているようだった。




