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おれらの赤飯
あきれたようにヒコイチもつられあらためてながめていると、玄関から《面》の男が、ひとりでた。
『 キヘイジ、世話になったな 』
この声と話し方は、ヒコイチを案内した男だろう。
ふたりそろって、なんとなく頭をさげると、あいてが手にしていた竹皮の包みをさしだした。
『 これは、おれらの赤飯だ 』
「なにか祝いごとでも?」
『 いや、ヒトとちがっておれらは好物なだけよ。 ササゲは炊いても腹が割れぬ豆ゆえ、武士が好むというがな、あんなものは、ただのゲン担ぎだ。 ―― おれらはもっと、さしせまったわけでこれを食う。 ササゲはわれらの《面》にもその力をわけて、《面》が割れるのをよけるのだ 』
「 はあー。 あんたらはおもしろいなあ。 ああ、さいごの一つもきっちりしあげるから、待っていてくれ」
わかっておる、と竹皮をキヘイジにおしつけた。




