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手は抜かず
おうよ、とキヘイジは腕をくみ、あちらさんが、おれを訪ねてくださってな、とまだ戸口のところに立つ男をしめす。
「 ―― おれをみこんで頼みてえっていいなさったうえに、立派な書状と、前金もよこしなさったからな。 おれもこりゃあ、気をいれねえとならねえ、と足をはこんだのよ」
「ここに? ―― ここが、おかしい場所だとおもわねえのかい?」
「そりゃ、頼みに来たあちらさんの『顔』をみたときから、こりゃあちょっと、いつもとはちがうことになるかとおもったから、棟梁にもこまかく言わなかったさ。 ―― この山をのぼるときにも、苔だらけの階段をのぼるとき、杉の上のほうで『何か』がおれをみてたようだったが、気づかないふりをしてそのままのぼったさ。 ―― ほら、《郷に入っては、》って、いうじゃねえか。おれらと見かけが違うからって、 頼まれた仕事 の手を抜くなんざできねえよ」
今週でおわりそうです。




