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ノミで戦う
「 き・・・ヘイジさん 」
かつんこつんと鑿に木槌をふるう男の名をよび、ようすをみる。
土間のむしろの上で胡坐をかき、向かい合った台座には、ぶあつい木の板がのっている。
男はそれを、一心に削っていた。
眉は逆立ち、木をにらみつけ、たたきつけるノミで、その木材と戦っているようだ。
小屋の戸は開け放たれ、この家の外の景色がめにはいる。
夏の暑さもおわり、すごしやすいこの時期に、似つかわしくない梅か桃の花が、いくつも咲いているのがみえた。
ぞわりと、首のうしろに寒気がはしる。




