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小刀(こがたな)
「まあ、いい。 ああ、そういやあ、おまえの分の小刀が、そこにある」
「ほんとか?じいちゃん」
うれしくてだした声が、子どものものになっている。
じいさんの向かい側、鹿の毛皮の上に、ちいさなその刃物がおいてあった。
罠に使う竹や木をけずるのにじいさんがつかっているそれと、おなじものだった。
「じいちゃん、いいのか?」
手を伸ばしかける。
ヒコイチの『手』は、小さかった。
こどものヒコイチが、いままでなんど頼んでも、おまえにはいらねえ、と言われ続けていたのに・・・。




