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ヒコイチのじいさん
申し訳ございません。ヒコイチのじいさんについては『サトリを斬った 』をひろい読みしてみてください。。。
ひゅうひゅうと、冷たい風が頬にあたり、ヒコイチはそまつな小屋の中にいるのに気付いた。
「 おう、ヒコか。―― 達者にしていたか?」
小屋の囲炉裏のむこう、毛皮を尻にしいた年寄が、愛想のない声でといかけた。
「・・・じ・・いさん?」
「なんでエ。おれに会えたのに、嬉しそうじゃあねえなあ」
かすれたように少し笑うと、いつものように、罠につかう竹をけずりはじめる。
「いや、そういうわけじゃあ・・・そりゃ、」うれしいが、という言葉はのみこんだ。
寒気はしない。
しないが、このじいさんは、ほんとうにヒコイチのじいさんだろうか?




