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『きいてやろう』
もしやと想いながら懐からササゲのはいった袋をだすと
おおこれよ、これ
と、袋をゆすり、ざらざらという音をたしかめたあと、満足したように懐へしまう。
『 ならばはなしをきいてやろう 』
「へい。 あのう、人をさがしておりやす。 キヘイジさんっていう、腕のいい彫り物師なんですが」
『 キヘイジ? キヘイジならば、頼んだ仕事をしておる 』
言うと背をむけたので、ヒコイチはあわててあとを追うよう、残りの石段をかけあがった。
足がついたそこは、平らでひろく、 ―― こんな山の頂上も近い場所を、名のある寺の境内のように石をしきつめ、ごていねいに大きな灯篭でかこうようにしている。 むこうのふたつの灯篭はまるで門でもあるようにひときわ大きく、その間からは、足元とおなじ、苔むした石がつみあげられた、みあげるような粗いつくりの階段がある。
―― この景色は・・・
さきほどあがってきたはずの場所に戻っていた。




