【4】偽りの拒絶と、下駄箱に残されたあの日
「え…、麗、花?」
ーーーそこには華やかな衣装を纏って、困惑の表情を浮かべている麗花の姿があった。
麗花「ま、まって、ち、ちがうの、私は狩人なんかじゃ、
弱酸性「まだ守人ともなんとも言ってないんだけど…」
麗花「っ、」
しゃけわさ「麗花だったの…?ほんとに…?」
天ノ橋「麗花…?、、、」
天ノ橋が今にも泣き出しそうな顔で麗花を見つめている。
ドキドキビート「…」
麗花「…、ちがうの…」
ーーーーー
また別のところでも全く同じ状況が起きていた。
「雪凪…!?」
そこには麗花とはまた違う別の華やかな衣装を纏った雪凪がいた。
こっちを見ず、俯いている。
梅雨「…は、まじかwwすぐそこにいたのかよ、守人」
絶滅勇者「雪凪まじか、見損なったわ」
ペル二世「…」
ゆめさぐり「雪凪さん…?流石に冗談ですわよね…?」
雪凪は黙ったままだ。
梅雨「……チッ、てめえなんか言えよ!!!」
梅雨が雪凪に掴み掛かる。
梅雨「ずっと一緒に探してきたのに、お前が裏切り物だったのかよ!!」
「陰キャと一緒の時点でゴミだったのに、何お前、俺らを騙して?ゴミじゃん」
「どうりでお前が探したはずの下駄箱から異変が見つかるわけだわ。」
雪凪「…」
ゆめ「梅雨さん少し落ち着いて、1回雪凪さんの話を聞きません・・・?」
絶滅「流石に言い過ぎだろ…」
梅雨の怒りが更にヒートアップする。
梅雨「は、何お前ら。何裏切り物庇ってんだよ。気持ち悪。お前らまで守人なわけ?」
ゆめ「っ…」
絶滅「そういうわけじゃ
梅雨「雪凪はどうせ異変の解き方とかも知ってんだろ!!!なんか言えよ!!!」
雪凪「…!」
雪凪が廊下の方を見ている。
「…!?」
ペル「…は、麗花?」
そこにいたのは、守人と思われる衣装を纏った麗花だった。
梅雨「…は、wお前もだったのかよ、wwちょうどいいやん2人まとめて殺す」
ゆめ「麗花さん…?」
麗花「ち、違う…」
そこに麗花を追いかけて来たBグループのメンバーも合流した。
弱酸性「はぁ、はぁ、4階から1階はキツいって…」
しゃけわさ「でも追い詰めた。これ以上どこにも行けない」
ドキビ「しかもAグループの人もいるね、…様子のおかしい雪凪も」
梅雨「8対2、勝てるわけないよなwまず、雪凪、お前から
梅雨が雪凪に殴りかかろうとした所で、麗花は雪凪の袖を引っ張って逃げ出した。
梅雨「は、おい待てよ!!!」
ドキビ「無駄だよ」
逃げようとした所を他のメンバーで塞ぐ。
雪凪・麗花「う…」
弱酸性「…もう逃げられないぞ。白状しろ!!!」
しゃけわさ「そうだよ裏切り者が。早く異変の解き方とか、この事件とか全部教えて」
ドキビ「…」
絶滅「…」
ペル「…」
天ノ橋「…」
ゆめさぐり「…お二人ともちょっとでいいから、教えてくれません…?」
梅雨「早く言えよゴミがよ!!!!!!!!!」
麗花「…」
麗花は今にも泣きそうな顔で俯いている。
「ーーーーー知らない。」
全員「…え?」
雪凪が口を開いた。
雪凪「私達2人は、この異変のことなんて知らない。」
梅雨「何言ってんのお前、ふざけて
ゆめ「最後まで話を聞きましょ、ね?」
…再び沈黙が流れる。
麗花「…私と雪な、ぎはただ、守人に勝手に、任命、されただけ、、、」
全員「…!?」
ドキビ「なりたくてなったわけじゃないって事?」
雪凪「うん」
弱酸性「この異変の事も何も知らない?」
麗花「うん、」
絶滅「ただ、守人なだけ?」
2人「うん。」
全員「…」
しゃけわさ「…でも守人なのは事実だし、、、異変を解く方法とかも分からないの…?」
絶滅「そうだよ、異変を見つけたはずなのに何も起こらないし…お前らが何か知ってるんじゃないの」
2人「…」
ペル「黙るって事はそれは知ってるって事か、まあそうか」
2人が黙り込んでしまう。
するとさっきまで呆然としていた梅雨が言った。
梅雨「…さっきは悪かった、お前らの事情も知らずに…だけどお願いだから教えて欲しい、頼む」
ドキビ「2人とも、お願い…」
ゆめ「雪凪さん…」
天ノ橋「麗花…」
雪凪「…それじゃあ、ずっと言いたかった事があるの」
全員「…」
「ーーペルに」
ーーーーーー8年前
ピーンポーン
「雪ーー!おむかえ来たよー!!」
雪凪「…!いく!」
ガチャ
雪凪「…あ、ペルくん、おはよ、、」
ペル「あ!ゆきちゃんおはよ!ほら、早く学校いこ!」
雪凪「…うん!」
私達は、毎日一緒に学校に行く程仲が良かった。
ペルは、毎朝私を迎えに来てくれた。
ペル「昨日オムライスをママが作ってくれてね、それでね!」
雪凪「うんうん」
毎朝一緒に登校して、ペルの話を聞く。この時間が楽しかった。
先生「それではペアを作って、話し合ってみましょう!!」
雪凪「ふええ…泣」
学校でもペルは、引っ込み思案で1人ぼっちになってしまう私に、いつも優しく声を掛けてくれた。
ガヤガヤ、ガヤガヤ
雪凪(誰も誘ってくれない…やっぱひとりぼっちなんだ…)
「…ちゃん?」
雪凪(ん…声が聞こえ)
ペル「雪ちゃん?」
雪凪「…わ!ペルくん、びっくりしたあ…」
ペル「えへへごめんね、無視されてるのかと思って…笑」
雪凪「もおーーー」
ペル「怒んないでよ笑ほら、ペアで話し合い!しよ?」
雪凪「…!、うん!」
月日は流れて、私達は中学生になった。
幼馴染で家が近かったのもあって、もちろん一緒の中学校だった。
嬉しかった。
ただ、今では同じ中学校に行かなければ良かったと後悔した。
その中学で起きたことがきっかけで、ペルに嫌われてしまったからーーー
それは、中2の夏休み間際の事……
ペル「はーやっと期末テスト終わった。まじだるかった…」
雪凪「ペルお疲れ様、今回は確かに難しかったね…」
ペル「雪は昔から頭良いから大丈夫でしょ笑」
雪凪「んーー、まあ勉強はそれなりにできる方ではあったからね笑」
ペル「まじで今度教えてね。そうだ夏休み!あと1週間くらいだし遊ぼーぜ。」
雪凪「…え、良いの?」
ペル「なんでダメなんだよww昔よく一緒にお祭りとか行ってたじゃん。」
雪凪「だって私陰キャだし…」
ペル「陰キャとか関係ねえよww俺は雪凪と行きたいだけだし。だから絶対行こうね?」
雪凪「…うん!」
あと2日で夏休みになる時。
今日もペルと帰る約束をしていて、私はある決断をしていた。
それは、今日ペルに告白する事。
正直小さい頃から一緒にいるし、夏祭りにも前誘われちゃったし、…
なんとなくいける感じがする、うん。
校門で待ち合わせをしていたので向かおうと靴箱に向かうと、そこにはペルとペルの友達がいた。
(何話してるんだろ…)
だめだと分かっていても、聞いてしまった。
ーー
「おいペルーーwww毎日地味で陰キャな雪凪とばかり帰ってどうすんだよ」
「それなーーwwwお前にはもっと良い人がいるってwww」
ペル「…別にそういうつもりじゃないし、」
「本当は一緒に帰るのだるいんだろ?wうざいんだろ?w」
「俺らと帰ろうぜwww」
ペル「…まあな」
「だよなーーーwww」
……ショックだった。
毎日一緒に仲良く話して帰ってくれていたペルがそんな事を思っていたなんて。
いや、思われていて当然だったのだろう。
ちゃんと考えれば私とペルが釣り合うはずなんてなかった。
分かっていた。
ペルは男子にも女子にもモテる人気者で、私はひとりぼっちのモテない陰キャ。
分かっていたはずなのに、わからないフリをしていた。
大好きな人と本当は一緒に入れない立場だという事実を、受け止められなかった。
そんな私の身勝手な行動で昔から迷惑をかけた。
私といたせいで友人にからかわれ、恥ずかしい思いをさせた。
全部、私のせいだ。
夏休み前日、私はペルを下駄箱に呼び出した。
ーーー全部。終わりにしようと思った。
ペル「…話って、何…?」
下駄箱の隅からペルの友人がくすくす笑いながらこちらを見ているのが分かる。
私は大きく息を吸って、できるだけ冷たい目で、睨んで、大声で言った。
「もうペルなんか大嫌い。二度と私に話しかけてこないで。」
それが、雪凪がペルについた最初で最後の嘘だった。
ペル「…は?」
その後はもう何を話したか覚えていない。
ただ、この日以来楽しく話すことも、一緒に帰ることもしなくなった。
高校では会いたくないとわざわざ遠い所を選んだのに、同じ学校、同じクラス。
偏差値も高い高校だから、勉強が苦手なペルが来れるはずないと思っていたから驚いた。
せっかく良い高校に進学できたのに、私もいてペルも嫌だっただろう。
私が、ペルの人生を壊したんだ。
ーーーーーーー
雪凪「ペル、昔からずっと迷惑かけてごめんなさい…嫌な思いさせてごめんなさい…」
冷たくて重い沈黙の空気が流れる。
雪凪「せめて、謝りたかった、あの日のこと、今までのこと…」
ペル「…」
何も答えてくれないペルを見て、涙が出てきそうなのを必死に堪える。
雪凪「あの日言った事も、全部嘘。」
ペル「…え?」
「ーー本当は、ペルのこと、大好きだった」
全員が息を呑む。
雪凪「ペルが、どもだち、、と私のこと下駄箱で笑ってだの、聞いちゃて、」
雪凪「っっ、だがら、ぺる、が、、、」
話を続けようと思ったのに思うように口が動かせない。
どんどん涙も溢れてくる。
ペル「ーーーわざと嫌いって言ったって事?」
雪凪「…、」
ペル「俺と雪と一緒にいると迷惑かけるから?」
雪凪「…」
ペル「だからわざわざ嘘ついて、俺のこと引き離したの…?」
雪凪「…これなら、ペルも傷つかないで済むかな、、、って、」
ペル「ーーー傷つくよ…」
雪凪「…え?」
…思いがけない言葉だった。
ペルが私に、一歩、二歩と近づきながら話し始める。
ペル「俺も嘘だった。あの日の事」
雪凪「…俺、も?」
ペル「うん」
ーーーーーー
ーーしまった。つい友人に乗せられて雪の悪口みたいな事を言ってしまった。
しかも約束していたのに…勝手に帰ってしまった。
抑えきれない罪悪感から、すぐ謝ろうと家に帰ってスマホを取る。
ぽこん
その時ちょうど雪からメッセージが届いた。
「ん…?」
『明日の放課後、下駄箱で待っててほしい。話があるの』
そのメッセージが嬉しすぎて謝るのも忘れず承諾した。
(もしや告白とかだったりするのか…?)
ワクワクしながら、次の日を迎えた。
授業が終わり放課後になった。
正直緊張しすぎて今日の授業の内容は何も覚えていない。
そして下駄箱で待っていると、雪が来た。
「もうペルなんか大嫌い。二度と私に話しかけてこないで」
…言われた事は、想像とは真逆の事だった。
その後本当は嫌われていたというショックのあまり俺は雪に覚えていないくらいの罵倒を浴びせた。
本当に後悔した。
大好きな人の迷惑になっていた事。大好きな人を傷つけた事。大好きな人に嫌われていた事。
ーーーなぜ分からなかったのだろう。
愚かな俺は、高校で同じところに行けたら、もしかしたらまたやり直せるかもしれないと思った。
『私、 高校に行きたいんだ!』
雪と志望校の話をしたのを覚えていたので、そこに行けるようにたくさんの努力をした。
中3では家に帰ってもずっと勉強。友達に遊びに誘われても勉強。
途中体調を崩す事もあったし、判定が悪い事もたくさんあった。
諦めたくなった。だけど死に物狂いで努力した。
全ては、雪と仲直りがしたいから。それだけだった。
結局受かることができて、しかも同じクラスになれた。
だけど俺はまだあの日のように雪に接している。
後悔したんじゃないのか?
傷つけたくないんじゃ無いのか?
俺は一体。何をしているんだろう…
ーーーーーー
ペル二世「友人達に乗せられて、そこで止めることができず流されて悪口を言ったんだ、本当にごめん」
「高校に入ってからも、ずっとずっと酷い事言ってごめん」
「雪の事、傷つけてごめん」
「雪に迷惑たくさんかけてごめん」
「謝っても許される事じゃ無いのに。こんな事しか言えなくてごめん」
雪凪「その呼び方、、、」
ペル「うん、ずっとこう呼んでたよね」
「本当は俺も雪が好きだった。告白してくれようとしてたのに、、、ほんとにごめん」
雪凪「私の方こそ、、、ちゃんと話せばよかった。昔からお互い信頼しあってたのに…」
ペル「うん。俺も本当に後悔してる」
雪凪「私も…ごめんなさい」
ペル二世「…それで、よかったらなんだけど」
雪凪「…うん」
「もし、よかったら」
「ーーー俺ともう一度、幼馴染になってくれませんか?」
「…はい」
ーーそこには守人の衣装が解け、制服を着た姿の雪凪がいた………
〜ナイフを持った群像の結末【4】完〜




