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まりたまエモーション ハイスクール編  作者: 綾野羊
第1章 まりたまと新たな世界
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第1話 六人六色の出会い(1)

 千葉県柏市・柏の葉エリアにある県立青葉山高校の入学式


 桜の木が風に揺られて花が散る中、新たに入学する2人の仲の良しな男女。2人とも真新しい制服を身にまとい、リュックを背負いながら、校舎に向かって歩いていく。


 2人の名前は、杉原すぎはらまりなと星野ほしのたまき。

 

 まりなは、慈悲深くて、少々お節介なところがある博愛主義者。色に例えるならピンク(愛や優しさを感じることから、自身もこの色が好き)。


 たまきは、基本的に明るい子だけどシャイで人に甘えがち。色に例えるなら黄色(希望や楽しさを感じることから、自身もこの色が好き)。


 2人は幼稚園からの幼馴染で、男女の垣根を越えた仲良し。昔から2人揃って「まりたま」という愛称がついていた。コンビのようで双子の姉と弟のような感じ。


 そんな2人のハイスクールライフが始まる。


 この日のまりなは髪を2つに分け、それぞれ耳の少し上から三つ編みを輪っか状にして、白いリボンで結いていた。


 たまきの髪はゆるふわなボブヘアで襟足が少し長め。ほんのりメイクもしている。それとジェンダーレスな雰囲気が特徴。


「たまちゃん、その髪型かわいい」


 まりなは、興味津々に人差し指でたまきの髪に触れる。


「今日のために、ママに手伝ってもらったんだ」


 たまきは、褒められて嬉しさが募り、ニコリと微笑んだ。


「中学は校則厳しかったから、3年ぶりの自由って感じだよね」


 たまき、まりなの左の三つ編みを優しくつまみながら、見つめる。


「そういえば、まりちゃんのその髪型。小学校の卒業式以来だね」


 まりな、右の三つ編みを軽く握りながらたまきにアピールする。


「輪っかにするか、下ろすか迷っちゃて。あと何で結ぶかも」


「どっちでも、ぼくからすればまりちゃんだから」


「もう、パパと同じこと言ってる」


 まりな昔から髪を左右対称に結って、ヘアゴムやリボンも多彩なものを持っている。だから選ぶのに迷ってしまうのだ。


「高校の入学式だから、もう少し抑えめで来ると思ってた」


 たまきからすれば、もう少し大人びたまりなを想像していたようだった。


「まりなだって、男前なたまちゃん想像できないから」


「それって褒め言葉?」


 まりな、笑顔で首を縦に振る。


「やっぱり、たまちゃんはかわいい系じゃないと」


「まりちゃんも、昔から変わってないね」


 たまきからすれば、激変していなくて安心したようだ。勿論、まりなも同じ。


 まりなとたまき、掲示板まで歩き、クラスの名簿を眺める。


「まりなはB組、たまちゃんは?」


 という声に、たまきは少し不安げな表情をしてしまう。


「ぼくはD組」


 まりなも、少しがっかりとした表情をする。


「そんな顔しないで」


「たまちゃんだって。友達ちゃんと出来るか心配」


「心配しないで。ずっとまりちゃんに甘えてばかりだったから。できるだけ1人で頑張りたいかな」


 二輪の桜の花が三房、たまきの頭頂部に落ちてくる。たまきは、花を外して眺めた。まりなが、たまきから一輪の花を取りヘアピンを取り出す。


「えっ?」


 たまきの右耳に髪をかけヘアピンで止める。


「たまちゃんをもっとかわいくさせるから」


 ヘアピンに、花を飾る。


 たまきは、顔を赤らめ、恥ずかしそうにヘアピンを手で隠す。


「さすがにぼくには似合わないって」


「まりなは、たまちゃんに似合わなことはしないもん」


 たまき、二輪の花をまりなの髪を結っている左右のリボンにかける。


 まりな、顔を赤らめながら、似合っているか心配している。


「もう、たまちゃんったら」


「まりちゃんと同じことしただけだって」


「ちゃんと、かわいくなってる?」


「勿論。その髪型にリボンもつけているなら当然でしょ」


 2人とも微笑みながら、子どもがはしゃぐかのように写真撮影。


 周囲の生徒達からは、2人がちびっ子がじゃれ合っているように映り、少し面白笑いをしている様子。


2人とも、周囲からの視線に気づき、顔を赤らめる。


 掲示板の前にいるまりたまと生徒達を無愛想な表情で眺めている女子生徒。

彼女の名前は寺本てらもとすみれ。センター分けの黒いロングストーレートヘアが特徴で、靴下は黒のニーハイソックス。いかにも、冷たそうなオーラで人を寄せ付けないような雰囲気が漂っている。色に例えるなら紫(冷たさと気高さが漂い、自身の好きな色)。


「何かあの子達、小学生みたい」


「高校入学早々、相変わらず無愛想キャラで通すのか」


 彼女の後ろから、1人の男子生徒が桜の花を手にしながら涼しげに歩いてくる。彼の名前は剣崎久哉けんざきひさや。涼しく余裕そうな雰囲気が漂う彼とすみれは小学校の頃からの付き合い。色に例えるなら青(涼しさと落ち着きがあり、自身の好きな色)。


「相変わらずクールで余裕感出してるね」


 久哉はすみれをすこしおちょくるように、花をかざす。


「すみれも、これつけたらもっとかわいくなるって」


「うるさい、余計なお世話。どうせ他の女子にも同じこと言うんでしょ?」


 久哉、颯爽と笑う。


「流石はすみれ。やっぱり叶わないな」


「あんたの言うことやることくらい、想定内」


 すみれは、「相変わらず」と呆れたような口っぷりで、久哉を軽くあしらい、掲示板まで歩いていく。


「せめて、紳士的っていって欲しいな」


 すみれが彼に対して淡々としているのと同じで、彼もまた、すみれのリアクションには動じていないみたいだ。これが2人の安定した関係性である。


 掲示板を見ている二つ結びの女子生徒。見た目は地味ではないが、派手でもない彼女の名前は栗橋くりはしみつば。パッと見大人しそうな彼女だが、実は色々と癖がある。色に例えるなら緑(平穏と無難なイメージから、自身の好きな色)。


 近くで掲示板を見ながら、愉快げに大きく声を出す女子生徒がいる。オレンジブラウンのベリーショートヘアが特徴的な彼女の名前は滝川たきがわかえで。陽気な性格でフットワークが軽そうだと、見ただけでわかる。色に例えるならオレンジ(元気と親しみやすさから、自身の好きな色)。


「誰かD組の人いる~?」


 みつば、かえでの声に大げさにビビり、気づいたかえでが声をかける。


「ねぇねぇ、何組?」


 みつば、恐る恐るかえでに返答する。


「B組。というか、初対面なのにフランク過ぎない?」


「それが取り柄。そうそう私、かえでちゃん。あなたは?」


「栗橋みつば」


「覚えとくから、かえでちゃんのことも覚えといてねぇ~」


 たまき、かえでの「D組」という単語に反応する。


「待って! ぼくもD組だよ。星野たまき」


「ナイス! じゃぁ、かえでちゃんについてきて~!」


 かえで、小走りで校舎内へと走っていき、たまきは後を追う。


 かえでも、どちらかと言えばたまきのようにジェンダーフリーなタイプ。おっとりした感じのたまきとは対称的に、かえでは元気ハツラツでがさつな感じ。


「もう、たまちゃんったら、張り切っちゃって」


 まりなは、かえでを追うたまきの姿を、温かく見守るように眺めている。


 みつば、呆然と直立不動状態。


「もしかして、この学校って変な子多いパターン…?」


 みつばは刺激があるものにかなり敏感。大きな声や音に感情な反応を示し、オーバーなリアクションをしてしまう。そして、エネルギーが消耗しやすい。


 まりな、みつばのことが気になってしまい、声をかける。


「もしかして、B組?」


 みつば、まりなに視線を移してびっくりした表情。


「えっ、いきなり何!? しかも2人目って…」


「ごめん。同じクラスになる子がいたからつい声をかけて…」


 まりな、みつばの大げさなリアクションに動揺し、目を潤ませる。


 潤目のまりなを見たみつばは、逆に申し訳なさそうな気持ちで慰めようとする。


「もしかして、泣いてる? ごめん、ごめん!」


 自分がやらかしたと思うと涙腺が緩んでしまう。これは昔からのまりなの本能的な癖。


「確か、みつばちゃんだっけ?」


「さっきのかえでって子のせいで、名前まで覚えられちゃた」


 まりな、表情を笑顔に変えて、みつばの手を握る。


「杉原まりな。まりなでも、まりちゃんでも好きに呼んでいいからね」


「まりちゃん、なんか安心する」


 この時、みつばの顔はまりなによって癒されたかのように、微笑んだ。

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