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まりたまエモーション ハイスクール編  作者: 綾野羊
第3章 まりたまと心弾ける日々
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第9話 もどかしさが塵積って(2)

 翌日のF組の教室。まりな、みつばはかえでと会話をしていた。かえでは、落ち込んでいると思いきや、従来より少し落ちついている程度に明るい感じであった。


「ごめんね。みんなには悪いことしちゃったかも」


 軽く微笑みながら。かえでは申し訳なさそうに謝っている。


「無理しないで。また元気になったたら出てくれば大丈夫だよ」


 まりなが優しくフォローする。


「元気じゃないかえでちゃんだと、私見てられれない」


 みつばも、背中を押した。


「大丈夫! でも、すみれちゃんが…」


 かえでは、すみれのことを思うと、真顔になる。


「昨日はたまちゃんも、来なかった…。まりな、たまちゃんまで来なくなちゃうと…」


「相変わらずまりちゃん、たまちゃんのことが一番心配なのよね」


 みつばにとっては、まりなにとってたまきが第一ということはなんとなくわかる。うららが教室に入り、まりな達に近付き、かえでを心配そうに見つめる。


「かえでちゃん。大丈夫?」


 かえで、笑顔に変わる。


「ほら、かえでちゃんならこの通り」


「今日って、テレビに出る日なんじゃなかったっけ?」


「ちょっと、疲れちゃったからお休みしているの」


 みつばが、代わりに説明する。


「しばらく、のんちゃんが代わりに出てくれることになったから」


「それ、悠乃ちゃんには伝わっているの?」


「大丈夫、私とまりちゃんとのんちゃんで伝えてOKもらってきたから。これでも何でも屋としてやっているわけだし」


 うらら、軽く安心すると、まりな達と4人でハロウィンパーティーについて話を持ちかける。


「とりあえず、ハロウィンパーティーまでを目標に、すみれには戻ってきてもらえると良いかも」


「まりなの誕生日だけど、大丈夫かなぁ」


 まりな、戻ってこなかった時のことを考えて、心配が募っていく。


 昼休み。D組では昼食中の生徒達がテレビに視線を移すと、画面にはかのんと悠乃の姿が映る。生徒達は目を丸くした。


「のんちゃん!? でも、かえでちゃんは?」


 画面に映る悠乃とかのんが喋りだす。


「今日は、滝川かえでさんは色々あってお休みです。代わりに、2年D組の小豆沢かのんさんが来てくれました。それじゃ、のんちゃんまずは自己紹介から」


「はじめまして、のんちゃんでーす! 2学期になって、原宿から転校してきました! でも、住んでいるのはずっと松戸」


「のんちゃん、かえでちゃんみたいに明るくて元気。良かったら、2人揃って出ると面白くなりそう」


「出たい出たい!」


「転校して1ヶ月立ったけど、慣れた?」


「すぐ慣れちゃった。これもかえでちゃん達がいたおかげ」


「のんちゃん。目立つの好きだったりして?」


「勿論! 前の学校でも目立つように頑張ってきたもん! 人気になったり、持てたりっていうのを狙っていたから」


「のんちゃん、意識高い。ということは前の学校でもアイドル的な感じだったの?」


「流石にもっとスゴい子達がいたから、流石に叶わなかったかなぁ。と言うことで、今日は頑張っているかえでちゃんに代わって、のんが頑張って盛り上げちゃいまーす!」


「今日から3週続けて、文化祭のダイジェストをお送りします」


 航琉、過集中気味にテレビに視線を向ける。


「のん。良いじゃないか」


 肯定的に評価する航琉。玄斗と昂汰も楽しそうに見ている。


「のんちゃんってある意味、芸能人とかインフルエンサーに向いてそうな雰囲気してるよな」


「ある意味、TV番組でうちの学校取り上げる際に、のんちゃん出せば全国的に知名度上がりそうじゃね」


 一方のすみれ、真顔でテレビを見つめる。


「のんの場合は、自分が目立ちたいから出ているとは思うけど」


 画面は、VTR映像が終わって、かのんと悠乃の放送スタジオでのトークになる。


「来週は、2年D組からF組と3年生の特集ですけど、のんちゃんのD組とかえでちゃんのF組ってことだから、盛り上げていかないとね」


「のん、実はクラスの出し物にはあまり参加していなくて。今年の文化祭は、いろどりいいとこどりの出し物に協力したくらいかなぁ。転校してきたばかりだし」


「私ものんちゃんの作ったすごろくのマスを、見た時はビックリというか面白くて笑っちゃった」


「もっとのんのこと、知ってもらうためにと思って。人気者目指すんだから」


「そういえば、のんちゃんからお知らせがあるそうなので。のんちゃん、どうぞ!」


「はいはーい! のんは"いろどりいいとこどり"の新しいメンバーになりました! それと、10月31日に、ハロウィンパーティーやる予定だから、みんな来てねー!」


「のんちゃん、ありがとうございました! という訳で、今日の放送は以上です」


 放送が終わり、かのんが悠乃の楽しくお話をしている。


「へぇ、のんが来る前に、いろどりいいとこどりの紹介やったんだぁ。見たい見たい」


「折角だし、ちょこっと見てみる? 戸部くん。カメラ貸して」


 修平がカメラを、悠乃に渡し、映像を再生する。かのんは、ワクワクしながら。9人の出演映像を見ている。


「かえでちゃん、センターで目立つー。のんとタブルでセンターやってみたいかも」


「考えてみれば、3、4ヶ月くらい前に収録したんだよね。かえでちゃんが、どうしても、みんなで映りたいって言うから」


「まーひーとわたさん、結構渋々した感じでかわいいー。それに、すみれちゃんって愛想悪過ぎ」


「この3人、結構厄介だったからね。みっちゃんとうららちゃんもそこまで乗り気じゃなかったけど、かえでちゃんが楽しそうだから、乗ってくれたみたい」


「やっぱり、まりちゃんとたまちゃんのやり取り、見ているとかわいいー」


「なぜか、あの2人が絡むと、メルヘンで独特な雰囲気が出てくるのよね」


「今度は、のんも入れた状態で映りたい」


「それより、うららちゃんや真裕くんからも聞いたんだけど、すみれちゃんが抜けたって本当?」


 かのんは首を縦に振り、少し真顔になる。


「すみれちゃんとは相変わらず上手くいかない感じ?」


「すみれちゃん。まだ、のんこと嫌っているみたいなんだよね」


「お喋りすると、意外と楽しいのに。もしかしたら、やんちゃで自由奔放なところが苦手なのかも」


「かえでちゃんも、のんと似たところあっても上手く付き合えていたのに。何がダメだったの?」


「心当たりは?」


「空気を読むのが苦手。色々あるかも…」


 まりな、みつば、うららが放送室に入ってくる。真顔になっているかのんを見た3人。まりなが尋ねる。


「のんちゃん、大丈夫?」


 かのんはすぐ、笑顔に変わる。


「全然大丈夫! ちょっとだけ、なんですみれちゃんに嫌われているのか、考えていたから」


「私も、色々と聞いたんだけど、なかなか答えが出なくて」


 悠乃が説明すると、うららが答える。


「のんちゃんって、良い意味で自分に自信があって、自分のことが好きなタイプなのよね。でも悪く言うと自信過剰で自《うぬ》惚(ぼ)れているように見られている気がして」


「確かにうららちゃんの言う通りかも。でも、のんってそこまで、みんなに迷惑かけているのかな?」


 みつばが答える。


「のんちゃんって、思ったことをすぐ口に出せるのは良いところ。もしかしたら、相手がどう思うか何も考えずに言ってしまうところがあるからじゃない?」


 かのん、真顔になる。まりな、かのんの表情を汲み取り、答える。


「のんちゃん気にしないで。うららちゃんもみっちゃんも、のんちゃんの個性を受け入れているから話してくれているから。まりなだって、未だに自分が幼いもん。だって、すぐ泣いちゃうもん」


 みつばがフォローする。


「因みに、すみれちゃんだって、相手の気持を考えずズケズケ言うこと普通にあるから。そこまで気にしないで」


 悠乃、3人の回答を聞いてホッとしながら、かのんに声をかける。


「良かったね、のんちゃん。友達に恵まれていて」


 かのん、再び笑顔に変わる。


「みんな、ありがとう! のん、落ち込みそうになると思ったけど、もう大丈夫」


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