↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まりたまエモーション ハイスクール編  作者: 綾野羊
第2章 まりたまと鮮やかな荒波
PR
34/58

第5話 いろどってものくる(1)

「遅くなっちゃったけど、お茶会楽しかった。すみれ、誘ってくれてありがとう」


 その生徒は黒髪をハーフアップスタイルに結い、すみれと同じようなニーハイソックス。白いスクールバッグを肩にかけている。教室に入ってきたのは、幸田うららだった。


「急にごめんなさい。今日は"いろどりいいとこどり"について知りたくて来たんだけど大丈夫?」


 久哉は興味を持つようにうららに問いかける。


「勿論いいよ。もしかして、入会希望?」


「そこまでは、まだいかないかも。興味がある程度だから。まずはどんなことをやっているのか実際に見てみたくて」


「私との軽い会話と、お茶会だけじゃ情報足りないよね」


 すみれがうららにフォローをするノリで、たまきが軽く説明し始める。


「最近から、全校生徒向けのイベントを主催するサークルとしてやろうかなって思っているんだ」


「俺らも最初はただの仲良しなお喋り集団だった。でも大部レベルアップしたんだ」


 みつば、改めてお茶会開催の経緯を話す。


「因みにあのお茶会、私の案が採用されて実現したの」


 かえでが割り込む。


「かえでちゃんとまりちゃんのお菓子作りも忘れちゃダメだからね」


 すみれが割り込む。


「ポスターは私とたまちゃんで作ったから」


 まりなが、至近距離でうららに寄ってくる。


「うららちゃん、色んなタイプの子がいるけど、気が向いたら入ってくれると嬉しいかな」


 うらら、まりなの至近距離とみんなの個性に半ば圧倒されているような感覚がしている。


「まりちゃん、相変わらず近い」


「ごめんなさい」


 まりな、少し距離を離す。


「部活じゃないから、がっつりっていうより緩く楽しくやっていけばいいよ。それに俺らタメだし」


 うららへの質問タイムが始まる。まずは、まりなから。


「うららちゃんって好きな色は?」


「白かな。あと、水色も好き」


 うららは白が好き。どちらかと言えば、カラフルよりもシンプルなものや無彩色を好む傾向がある。


 たまき、驚きと嬉しさが混ざった表情をする。


「凄い!」


「たまちゃん? 私何か変なこと言った?」


 たまきは首を横に振る。


「ぼく達6人の好きな色と被っていなかったからつい。因みにぼくは黄色」


「まりなはピンクだよ」


 うらら、少しずつ楽しそうにみんなの会話の流れに乗る。


「2人のイメージに、ピッタリかも」


「私は緑。お茶が好きだから。それに、みつばっていう名前とピッタリでしょ」


「かえでちゃんはオレンジ!」


「しっくり来る」


 うらら、すみれに視線を移す。


「確かすみれは紫だよね。バッグも紫だし」


「私の感覚的に紫が一番しっくり来るから。それに、私のバッグ、うららのバッグと色違い」


「俺は青だから、うららちゃんの白を混ぜれば水色だな」


「久哉、面白くないから」


 すみれと久哉以外の5人が思わず笑ってしまう。


 続いてたまきが質問する。


「因みに、中学ってどこ?」


「我孫子(あびこ)のつくし野中。最寄り駅は我孫子」


 うららの回答に対し、みつばが質問する。


「手賀沼側? それとも国道側?」


「国道側。我孫子も自然があって良いけど、やっぱり柏とか松戸には叶わないかも」


「だよね。私の最寄りは南流山。というか流山ってメディアで取り上げられているのって、おおたかばかりだもん」


 おおたかとは流山おおたかの森地区を指す。つくばエクスプレスの開通によって発展した、流山おおたかの森駅周辺のニュータウンである。


 かえでが、みつばにツッコむ。


「でも、みっちゃん。帰り道に、おおたかでお買い物するでしょ」


「まぁ、否定はしないけどね…」


 かえでが、愉快げかつにうららに近付きながら質問する。


「ねぇねぇ。うららちゃんって、すみれちゃんとはいつから仲良しなの?」


 うらら、かえでの接近に動揺する。


「近い」


「ごめんごめん」


「中学の時からかな」


「うららとは中学の時、同じ塾だったから」


「すみれ、それ早く俺に言ってくれよ」


「別に、あんたに優先的に教える必要はないでしょ」


「すみれ、さっきから俺のことディスり過ぎだって」


 久哉を除く、6人の笑い声。ついでに久哉も笑う。


 うららがみんなに質問をする。


「因みに、この学年以外からの募集は?」


 うららの言葉を聞き、みんなは一瞬、口が止まり悩み始める。


「そういえば、考えていなかったね。6人でやっていたから」


 すみれが、先陣を切って回答した。続けてまりなが回答する。


「最近になって、イベントサークルに変えようと考えて、新しいメンバーが欲しいと思うようになっちゃって」


「なるほどね」


 久哉が回答する。


「募集かけても、上級生が後輩しかいないサークルに入るってことは、まずないだろう」


 続けて、みつばが回答する。


「確かにね。4月から入ってくる新入生の子達は、入ってくれそうかな」


「かえでちゃんは、学年とか性別とか関係なくウェルカム」


「ぼくも。興味があれば基本的に誰でもOK」


 うらら、みんなの持論を聞いて感想を述べる。


「みんな個性とか得意なことがバラバラなのに、上手くやっていけるって凄いよね」


 まりなが、うららに質問する。


「うららちゃんって、得意なこととか、好きなことって何?」


「得意、好き。そうなると…」


 うららは考え込む。


「やっぱり、まだ入会は厳しいかも」

 

 まりな、うららを悩ませてしまい、申し訳なさそうになる。


「ごめんなさい。まりなが余計なこと言っちゃったせいで」


「まりちゃん、謝らなくてもいいのに。これは私の問題かも。ちょっと答えを出すのに時間が欲しいの」


 すみれ、まりなとうららをフォローする。


「別に無理しなくて大丈夫だから。うららの好きなように決めて」


「ありがとう、すみれ。みんな、暫く考えさせて」


 うらら、教室を出ていく。


 たまきとすみれ、大堀川のベンチでうららについて会話をしている。


「うららちゃん、入ってくれるかなぁ」


「決めるのはうららだから。そこまで考える必要はないでしょ」


「うららちゃんとぼくらの接点を作ったのって、すみれちゃんじゃん」


「それはお茶会の参加のことでしょ。うちのメンバーに入ることとは別」


「でも、興味は持っていたと思うけど…」


「そこまで気になるなら、うららと話してみれば?」


「えっ、ぼくが? すみれちゃんの方が仲良いのに…」


 たまきにとって、すみれからの言葉が寂しさを募らせているような気分だった。


「たまちゃんのほうが、人当たりが良いから頼んでいるんだけど…」


「すみれちゃんと一緒なら行ってもいいよ」


「私と? 別にうららは怖い子じゃないよ」


「わかるよ。真面目で優しそうなことくらい」


「ま、少し神経質なのがキズだけどね。因みに、まだあの子の絵って描いたこと無いでしょ?」


「そういえば、まだだった」


「そうなれば、一緒に話してみるってことになるでしょ」


「なんか、今日のすみれちゃん。いつも以上に押しが強い」


「たまちゃんが、シャイなだけでしょ」


 すみれ、くすりと笑う。


 まりなは、かえでとみつばと一緒に柏の葉アクアテラスの三角広場(ウッドデッキ)でお喋り。柏の葉アクアテラスは調整池を親水空間としてリノベーションされた人々の憩い場である。

 

 まりなは落ち込んでいる。


「うららちゃん。まりなのせいで、入るの難しくなっちゃった…」


 みつばが、元気づけようとする。


「そんなに落ち込まなくて大丈夫だって。うららちゃんもまりちゃんのことを嫌いなわけじゃないから」


「ちょっと気になることがあって。うららちゃん、もしかしたら潔癖かも」


「まりちゃんの距離が近いってことでしょ。それだけで、まりちゃんを嫌うってことはないでしょ」


 かえでも、元気づけようとする。


「大丈夫! 時間が経ったらちゃんと入ってくれるって」


「うららちゃんに色んなこと聞こうとしたけど、まだそこまで…」


 みつばが提案する。


「うららちゃんとお話するタイミングを、一人ひとり作るっていうのはどうかな?」


「いいね! お茶飲みながらとか、お菓子食べながらとかでやってみようよ!」


「2人ともありがとう。まりな、頑張ってみる」


 まりな、2人の意見を聞いて少し気が落ち着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。