盗まれた援助物資 in上海
上海では多くのところでロックダウンが続いている。ロックダウンされた住民は食料品の入手が困難だ。
小区(マンション群)ごとで食料品の集団購買をやっているが、これもあったりなかったりで毎日申し込めるわけではない。どうやら今回は○○地区の小区、次は△△地区の小区と順番に行っているようだ。多くの小区では、ボランティアの若者が世話役をつとめていて、スマホを器用に操れない老人たちを助けてあげたりして、ずんぶんと活躍しているとか。ただし、なかにはボランティアのいない小区もあるので、そんなところではスマホを操れない老人は食糧を手に入れるのに苦労しているようだ。
そんなところへ、雲南省から援助物資が送られてきた。写真は各家庭に配られた雲南の食料品セット。
食料不足のところにこんなセットが送られてきたら、さぞ嬉しいことだろう。三枚目のところどころ紫色になったとうもろこしはもち種のとうもろこしだ。柔らかい食感で甘くて美味しい。
ところが、上海市宝山区のある小区では、居委会(行政の最小単位。町内を管理する)の誰かがこのありがたい援助物資を盗もうとした。
怪しげなトラックと荷車が小区から出て行こうとするので、住民たちがトラックと荷車を止めさせて見つけたのだ。それにしても、白昼堂々運び出そうするとはなんとも大胆だ。
住民たちが居委会の建物の裏手へ回ると、援助物資を抜き取った空の箱が積み上げてあった。居委会の誰かが雲南省から送られてきた援助物資の箱の中身を抜き取り、トラックと荷車に載せて転売しようとしたのだ。
住民たちが居委会の建物へ押しかけたが、なかからは誰も出てこない。
夜になって、街道(区の下の行政単位。区の下に街道があり、街道の下に居委会がある)の責任者とおぼしき人物が現れ、「街道を代表して申し上げる。この件に関しては徹底的に調査をします」と住民たちに宣言した。これで住民たちの憤りは少しはおさまったようだが、街道が本当に徹底的に調査するのかどうはわからない。
援助物資の横領事件は上海の他のところでも多々起きている。
人が飢えているときに援助物資を盗んで横流ししようなどとは血も涙もない凶悪な犯罪だが、こんな事件が多発するのも中国ならではだと思う。とにかく儲けたもの勝ちという生馬の目を抜く社会なのだ。