食料品の入手が困難に 〜上海のロックダウン その後
ロックダウンしたために、上海では食料品の入手が困難になった。一般のネット通販はサイトにアクセスが集中しすぎてページを開くことができない。かみさんは上海に住むお母さんのために、毎日朝早くからネット通販に接続を試みたが、まったくダメだった。
上海市政府が、各家庭に200元相当の食品セット(中国語では「大礼包」という)を支給することを決めたとのニュースが流れた。その内容は次のとおり。
・キュウリ4本
・ズッキーニ2本
・トマト1キロ
・ヒラタケ500グラム
・チンゲンサイ500グラム
・ピーマン(青椒)500グラム
・じゃがいも1キロ
・生姜250グラム
・ニンニク4個
・卵30個
・豚肉2キロ
これだけあれば、家族構成にもよるだろうけど、何日かは料理できそうだ。ひとり暮らしの義母なら五日くらいは食いつなげそうだ。
ところが、義母のもとには、この食品セットがいっこうに届かない。同じ区の少し離れたところに住む親戚の家にはもう二回もこの食品セットが届けられたというのにだ。
どうも、上海のそれぞれの区によって対応が異なり、さらに、街道(区の下の行政単位)によっても対応が違うようだ。
そうこうするうちにウィチャットやTikTokには、中国各地から上海へ届けられた援助物資の野菜や肉の腐っている様子が流れるようになった。なんでも上海の行政当局が杜撰な管理をしているのでせっかくの援助物資が腐ってしまって無駄になっているという。行政の幹部たちが、援助物資をネット通販や、上海各地の小区(壁で囲まれたマンション群)の住民たちが始めた食料品の集団購買の業者に横流ししたりしているようだ。援助物資を横流しして一儲け企むというのは新型コロナが始まった時の武漢でも見られた現象だ。抜け目がない。いかにも中国らしい。
上海の各地では抗議活動が見られるようになった。
一か月近く封鎖になったある小区では住民たちが集まって、
「我々は食事しなければならない」
「我々は出勤したい」
「我々は自治権が欲しい」
と、シュプレヒコールをあげている動画がウィチャットにアップされていた。一か月近くもロックダウンになって外へ出られなかったらたまらない。死活問題となれば黙ってはいられない。
別の場所では、集まった人々が封鎖を破って街へ出る様子が撮影されていた。「買い物に行かせろ」というのが人々の要求だった。
市政府が支給するはずの食料品セットが届かないので、かみさんはお母さんのために、食料品の集団購買を申し込んだ。世話役のボランティアがウィチャットで小区の住人たちの注文を取りまとめ、専門の業者へ注文を送る。トラックが小区の門まで送り届けてくれるので、小区の住民たちは門までそれを取りに行く。(前述のようにこの集団購買には援助物資の横流しも含まれているようだ)。
集団購買の食料品が届いた後、義母が写真を送ってきたのだが、それを見たかみさんは「たったこれだけなの」とため息をついていた。小さなビニール袋一つ分くらいの白菜、ネギ、にんじんなどしかない。二回料理をすればすべて使い切ってしまうだろう。それでも、何回か集団購買に申し込んで野菜が切れないようにすることはできた。
義母の住む小区は上海市全域でロックダウンする前から、封鎖されていた。新型コロナの感染者が見つかっていたからだった。義母は検査を受けて無事陰性との結果が出たのだけど、小区が封鎖になっているので外へは出られない。
昨日、ようやく市政府が支給する食品セットが届いたそうだ。内容は最初に宣伝されていたようなものではなく、野菜の数が少なかったりするが、ないよりはましだ。早く封鎖が解除になってくれればいいのだが。