野菜疑惑とマスク疑惑 〜武漢救援物資の闇
中国のSNSでは武漢の赤十字会の不可解な行為が話題になっている。
山東省寿光市は、以前洪水が発生した時に武漢からの救援物資を受けた。今回、武漢が新型肺炎で緊急事態に陥ったことから、その時の恩返しとして、寿光市の農家がきゅうりや白菜といった野菜を徹夜で収穫し、合計三五〇トンの野菜を武漢へ送り込んだ。
ところが、なぜかこの野菜は武漢市商務局によってスーパーへ卸され、スーパーが救援物資セールとして特別に安い値段で販売した。この野菜の収益は武漢の赤十字会が受け取ることになった。
当然、微博などの中国のSNS上では批難が巻き起こった。緊急物資として寄付されたものをいくら低価格とはいえスーパーで販売するのは道理から外れている。救援物資の野菜は病院や困っている人々へ贈ったり、あるいは炊き出しに使われるべきだ。中国人の肌感覚から言えば、救援物資の野菜をスーパーへ卸したということは、誰かが途中で利益を抜き、不当な利益を懐へ入れたということになる。
武漢協和病院の関係者がSNSで「医療物資がほとんど尽きた。使い捨ての防護服を5回も使いまわして着ているような状態だ。医療物資をはやく送ってくれ」と訴えた。
外から送られてくる医療物資は赤十字会の管理のもとに各病院へ送られることになっている。
ところが、武漢の赤十字会は医療物資が欠乏していると訴えている協和病院へは普通のマスクを3000枚送っただけで、他の病院へ3万6000枚もの医療用のN95規格のマスクを送った。
協和病院は新型肺炎治療病院として政府から指定を受けている。新型肺炎の患者が集まる病院だ。しかし、N95規格を送った病院は産婦人科病院であって新型肺炎治療病院ではない。当然、なぜ新型肺炎の治療に当たっている病院へ普通のマスクを3000枚だけ送り、産婦人科病院へ医療用規格のマスクを不必要なほど大量に送ったのかと注目が集まった。
医療用規格のマスクを大量に受け取った産婦人科病院は、武漢の赤十字会と密接な関係のある莆田病院の系列病院だった。武漢の赤十字会は莆田病院グループと連携して脱法行為を行なっていた。
莆田病院グループの医療用品会社が市場からマスクを買う、そして、購入した価格の数倍で同じく莆田病院グループの貿易会社へ転売する。この際、価格の数倍にすることがポイントだ。莆田病院グループの貿易会社はそのマスクを武漢の赤十字会へ寄付をする。そして、武漢の赤十字会はそのマスクを莆田病院グループの病院へ寄付をする。莆田病院グループは購入した価格の数倍もの発票を発行することで、多額の税金を控除でき、武漢の赤十字会は莆田病院の系列病院へマスクを送る際に数パーセントの管理費を莆田病院の系列病院から徴収して収入を得る。莆田病院グループが寄付したことになっているマスクは武漢の赤十字会を通じて莆田病院グループの病院へ戻る仕組みになっているから、このマスクをまたぐるぐると回せばいくらでも脱法行為ができる。
人々はマスクを使った脱法行為だけではなく、莆田病院グループが救援物資のマスクの横流しをして不当な利益を得用としているのではないかと疑った。
『青藏高原』や『天路』のヒット曲で知られる有名歌手の韓紅は、私は武漢の赤十字会を信じないと公言し、自分が設立した基金を使って300万元(約4500万円)相当の救援物資を集め、赤十字会を通さずに独自に病院などへ物資を送った。韓紅は解放軍芸術学院の出身で解放軍の歌舞団に在籍して芸能活動を行なった時期もあったので軍関係者とのネットワークを使ってこのようなことができたのかもしれない。韓紅はネットテレビの取材に応じ、堂々と武漢の赤十字会を批難している。肝っ玉が太く正義感の強い女性だ。
SNS上で次々と武漢の赤十字会のスキャンダルが広がり、中央電視台の記者が生中継で武漢の赤十字会を突撃取材するなど武漢の赤十字会をめぐる騒ぎが大きくなっため、中央政府は責任者を送って管理監督を始めた。現在、中国国内や海外から送られた救援物資は武漢の国際展示場へ集められて一元管理されている。中央政府が管理監督を始めたので少しは状況がましになり、救援物資が必要なところへ届くようになるだろう。