香港デモについて想像をたくましくしてみた
香港デモについて想像をたくましくしてみると、これはアメリカと大陸中国の代理戦争をやっているようなものにも見えてくる。
アメリカが香港人をそそのかして、反政府デモをやらせる。デモ隊が香港政府と対峙するということは、もちろん、中国政府と対峙するということだ。
大部分の香港人はアメリカに煽られているとは知らない。アメリカは巧妙にデモ扇動者を養成した。上手にデモを実施するノウハウを授け、資金も提供して、あたかも香港人が自発的にデモをやっているかのように見せかける。逃亡犯条例改正案はデモ実行の格好のテーマだった。中国人になりたくない香港人の恐怖心に火をつけることができる。つまり、学生だけではなく、一般市民を巻き込んだ大規模なデモを行うことができる。学生デモでは広がりが知れている。市井に暮らす普通の人々を動員してこそ、大規模なデモができる。
香港デモはアメリカが仕掛けた罠だ。デモで中国政府に揺さぶりをかけ、デモ鎮圧の軍隊をおびき寄せようとしている。
香港警察がデモ参加者に対して強硬策を取り、過剰な暴力を振るえば振るうほど、市民の抵抗も激しくなる。ツイッターやユーチューブを見ていると、どうも一般市民が暴れているのではなく、デモをやっていると警察や警察とグルのヤクザが襲いかかってくるので一般市民がやむなく抵抗しているということのようだ。街に繰り出して抗議の声を上げながら歩くだけではなく、例えば八月七日夜にあったようなレーザーポインターで光のショーをやるなど楽しい抗議活動も行なっている。
現状では可能性はかなり低いが、武装警察(治安維持用の軍隊。かなりの重装備だ)や人民解放軍がデモ鎮圧に乗り出せば、アメリカの思う壺だ。
軍隊が一般市民に銃を向け、武力でデモを鎮圧して、天安門事件のように軍隊が一般市民を大量射殺する事件だ。
もしそうなれば、アメリカはこれを口実にして、様々な経済制裁をかけるだろう。アメリカ議会は香港に与えている貿易上などの特権措置を取り消そうとするかもしれない。
経済制裁は中国経済にかなりのダメージを与える。中国経済はいわば象が自転車を漕いでいるようなもので、前へ走らなくなった途端に倒れてしまう。急激に経済が落ち込めば、国営企業や銀行や民間融資が抱え込んでいる相当な額にのぼる不良債権が爆発する。中国経済は危機に陥り、中国という国家は急激に弱体化する。アメリカとしては、中国潰しに成功するというわけだ。
中国政府もそれがわかっているので、軍隊を出して鎮圧しようとはしないだろう。もし軍隊で鎮圧するとすれば、「市民革命」によって香港が大陸中国のコントルール下から離れてしまような事態になった時だけだろう。香港が完全に民主化してしまったり、あるいは、独立してしまうような状況になった時だけだ。
しかし、軍隊による武力行使を行なう時、中国政府は決断を迫られる。先に書いたように、武力行使はアメリカの張った罠にはまり込んでいくということを意味するからだ。武力行使をすれば経済制裁を受け、経済危機を招く。それは、中国共産党の支配権を揺るがすことにもなりかねない。
中国政府にとって、一番望ましいのは、香港人がデモに疲れてしまい、自然とデモをやらなくなることだ。今回のデモのきっかけとなった逃亡犯条例改正案を完全撤回すれば、デモ収束への道筋を見つけることができるかもしれないが、それはできない。デモの要求に屈することになれば、次回、また何かでデモが起きた時に、デモの要求をのまざるを得なくなる。それは香港政府の弱体化を意味し、ゆくゆくは香港をコントロール下に置けなくなるかもしれないことになりかねないのでできない。したがって、自然とデモが収束してしまうのを待つのが最良の策となる。
ここに書いたことはあくまでも想像をたくましくしてみただけのことだが、香港デモの裏側では米中の様々な思惑がぶつかり合っていることだろう。