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今年最後の眠りに就く前に 2018


 寒くなったある日のこと。

 朝、起きたら上海人の奥さんが、

「あれは富士山じゃないの?」

 と窓の外を指さした。

 高圧線の電線の向こうに朝日を浴びた富士山が見えた。

「ほんとだね、富士山だね」

 僕は寝ぼけ眼をこすりながら言った。山頂は雪をかぶっている。それが赤く染まっている。綺麗だった。晴れた朝は富士山を眺めるようにしている。ぼおっと見ているだけで日本へ帰ってきたのだなとなんだか気分が落ち着く。

 今年の三月に中国から日本へ帰ってきて、四月から東京で暮らし始めた。八月には上海の家族を呼び寄せて一緒に生活できるようになった。上海人の奥さんと義母はそれなりに楽しく過ごしてくれている。僕にとっては大きな変化点となった年だったのだけど、なんとか暮らしが落ち着いてよかった。異国の地までついてきてくれた二人にはひたすら感謝しかない。


 せっかく東京で暮らしているのだからと思い、いろいろと出かけて楽しむようにしている。

 クリスマスは神田のニコライ堂(東京復活大聖堂教会)へ行き、クリスマス礼拝に参加した。ロシア正教の儀式は壮麗だった。奥さんがプロテスタントなので、時々、彼女をプロテスタント教会へ連れていくのだけど、プロテスタントのすっきりしたシンプルさとは違って趣きと重みのある儀式だった。信徒の方々のコーラスがとても美しくて惚れぼれと聞き入ってしまった。


 今日は、奥さんを連れて東京ビッグサイトの冬コミを見物してきた。いろんなコスプレをやっている人がいて楽しかった。寒いなか、薄い衣裳を着て鳥肌を立てながらも、それでも笑顔で写真撮影に応じている人もいれば、CGから抜け出してきたようなロボットのコスプレをしている人もいる。奥さんはコミックやアニメにはほとんど興味がないのだけど、「すごいわね。上海の姪っ子を連れてきたら喜ぶわよ」と言いながら楽しそうに写真を撮っていた。


 東京の仕事や暮らしにもずいぶん慣れてきた。来年はもっといろんなことを楽しめたらいいな。

 


今年もお読みいただいてありがとうございました。よいお年をお過ごしください。

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