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中国の貸自転車商売その後

第399回「繁盛している中国の貸自転車商売」(17年4月24日発表)の続報です。

 以前このことを書いた後も、街角の貸自転車はおそろしい勢いで増殖を続けた。スマホのアプリをインストールすれば利用でき、どこでも乗り捨て自由の手軽さが受けて利用者が増え続けたからだ。ただ、そこかしこに放置自転車があふれた。一時期、上海のある地下鉄駅の入口付近では、夕方になると貸自転車があふれかえり、駅の入口へ入るのに一苦労することもあった。

 だが、中国の地方政府が次々と通達を出して改善命令を下した結果、地下鉄駅の入口付近の駐輪禁止エリアが定められたり、貸自転車業者が各地下鉄駅の入口に整理係を配置して自転車整理をしたりしたので事態はましになった。一部の都市では、自転車の増備の禁止、駐輪禁止エリアに放置された自転車は業者が三〇分以内に撤去すること、電動アシスト付き自転車は禁止といったことが定められたりもした。

 この貸自転車業者は何社かあり、黄色、橙色、水色、緑色、黒色と業者毎に自転車のカラーが決まっている。以前は、いろんな色の貸自転車があったのだけど、最近街角で見かけるのはほとんどが黄色か橙色の自転車だ。水色、緑色の貸自転車もあることはあるけど、台数はごく少ない。

 あっという間に市場が爆発して、あっという間に新規参入業者がどっと増え、あっという間に貸自転車が供給過剰になり、政府が規制の通達を矢継ぎ早に出し、あっという間に力の弱い業者が淘汰された。この展開の速さはいかにも中国らしい。

 先日、初めてこの貸自転車に乗った。自転車にはGPSがついているので、スマホのアプリにはどこに自転車があるのかが表示されている。もっとも、上海の街中の場合、すこし歩けばそこかしこに貸自転車が放置してあるので、スマホのアプリで探すほどではないが、台数の少ないところでは便利だろう。乗り心地は悪い。いかにも安物のママチャリだ。ただ、五分十分しか乗らないから乗り心地が悪くても気にならない。後輪の上には荷台がなく二人乗りできないようになっている。ライトがないので、夜は無灯火で走るしかない。中国には、夜はライトを点けなくてはいけないという規則はないようだ。料金は一元(約十六円)。ライトがないのが気にはなったけど、安くて便利だ。

 周りの人たちに話を聞いてみると、中国人も中国在住の日本人も使っている人が多い。今ではなくてはならない生活必需品のようになっている。中年以上の方は、中国といえば自転車というイメージを持っている人が多いかもしれない。僕もそうだった。子供の頃、テレビのニュースで流れる中国の街角の風景は自転車があふれかえっていた。とはいえ、中国人でも自転車に乗れない人はいる。中国人のある中年女性と貸自転車の話をしてたところ、彼女は自転車に乗れないと言った。なんでも、若い頃、危ないから自転車を漕いではいけないと親から禁止されていたそうだ。大事に育てられたのだろう。

 この貸自転車商売は、中国だから成功できたのだと思う。日本の場合、そこかしこに放置自転車があるという状況はやはり許されないだろう。たしかに危ない。先日、浦東(上海の東側のエリア)の繁華街へ出かけたら、貸自転車が歩道の大半を占拠していて人ひとり通るのがやっとのような状態のところがあった。しかも、自転車が多すぎるためか、自転車の上に無造作に自転車が乗っけられていたりもする。放置自転車は以前よりはずいぶんましになったとはいえ、まだ問題が残る。安全面にゆるい風土で、貸自転車が公道を占拠することに強力な反対運動が出ないからこそ、中国の貸自転車はここまで普及できた。

 中国の貸自転車はこのまま中国の街角の風景として定着し続けるのだろう。


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