入社当日離職
ある晩、僕の下で勤めてくれている女性係長さんからウィチャット(中国版LINE)が入った。
「どう返事すればいいのかわからないわ(泣き)」
係長さんがその日入社したばかりの若い女性スタッフとウィチャットで会話した画面のスクリーンショットがついている。入ったばかりの若い女の子は、
「今晩、階段で転んで怪我をしちゃいました。CTを撮ったら三日後に手術とのことです。明日は出勤できません。そんなに長くも休めないから自動的に離職ということにしてください。課長さんにはあなたから言っておいてください。パソコンは引き出しのなかに入っています」
嘘だなと思った。入社したものの職場が気に入らないからやめたいのだろう。もしかしたら、他に面接を受けていたところから通知があって、給料がいいからそちらへ行きたいのかもしれない。本来なら、会社として怪我の様子を見に行かないといけないわけだけど、そんなこと言っても、どうせこなくていいと言うに決まっているので、
「しょうがないね。やめたいんだろ。明日、人事課に話して、人事に対応してもらおう」
係長さんにそう返事を出したら、係長さんはまた彼女との会話のスクリーンショットを送ってきた。係長さんは「怪我の治療が先だから病院でよく診てもらってください。課長さんの意見を聞かないといけないから」と至極当然の返事を彼女に出したのだが、
「え……、非常に感謝してます。今日、あなたたちはとても感じがいいなと思ったのだけど、こんなことになってしまって自分が悪いのです。課長さんの意見をお伺いするっていうけど、私はとっくに人事課へ離職のメールを出しちゃったわ」
と人を喰った返事を係長さんへ出していた。
別に驚かない。時々、こんな人に出くわす。見え透いた嘘をつかずに、やはり自分には合わないから辞めたいってちゃんと言えばいいのにね。
人手不足のなかで、真面目にがんばってくれている係長さんには申し訳ないのだけど、次の人が見つかるまでもうしばらくがまんしてもらおう。