中国で新工場を建てるのはナンセンス?
中国で大儲けできる時代はとうに終わってしまった。
中国の日系企業はコストダウン競争にさらされ、激しいサバイバルを繰り広げている。日本でなら、系列以外の会社から受注することはなかなかむずかしいが、中国ではその縛りも薄い。各社ともに他系列へ営業をかけ、顧客を奪い合っているような状況だ。顧客を奪われて工場を維持できそうもなくなった大手下請けメーカーが撤退するとの噂もちらほら聞いたりする。
受注先からコストダウン要請を受ける一方で、インフレの中国では生産コストが年々上昇している。人件費はもちろん、土地代、資材代、燃料代などなど、あらゆる物価が上がっている。コストが上がっているのに、製品の値段を下げさせられるのだから厳しい。中国で生産を続けられなくなった産業は中国から脱出して、ほかの途上国へ工場を移転させている。
「中国で新工場を建てるのはナンセンスですよ」
と、ある日系企業の工場関係者はいう。もう中国で新しい工場を作らずにほかの国で生産したほうがよいということだ。
中国が発展してコストが上昇したぶんだけ効率をあげなくてはいけないのはわかるが、今のコストダウン競争は度が過ぎている。このしわ寄せは立場の弱い人たちにいってしまう。たいていは、安い給料でまじめに働き、まじめに暮している人たちだ。
こんなコストダウン競争を続けてなにになるのだろうと、ふと思う。