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影がなくなる日
広東省には北回帰線が通っている。
だから、夏至前後になると太陽の光がほぼ真上から射す。
この頃、お昼に外へ出ると、ほんとうに影が短くなった。
身長の十分の一くらいしか影がない。ひしゃげた自分の影は、なんだかドラえもんが歩いているみたいだ。
こんな強い太陽が出るのだから、もちろん暑い。広州で三年半暮らすうちに、顔も腕もかなり日焼けしてしまった。黒いからわからないけど、しみとかそばかすがいっぱいできてるんだろうなあ。
これから夏至にかけてもっともっと影が短くなって、夏至の南中時には太陽が文字通り真上にくる。影がまったくなくなる。影がないというのはなんとも不思議な感じだ。御伽噺のなかへ入ったみたい。
広東の夏至は、日本では味わえない年に一回のちょっとしたイベントだ。
今からわくわくしている。




