今年最後の眠りに就く前に2011
福島第一原発の事故であらためて明らかになったのは、利権による利権のための政がまかり通っているということだ。
利権は腐敗を生む。
腐敗は国を蝕み、人々の生活をおびやかす。
それが極端な形であらわれたのが、今回の原発事故なのだろうと思う。
事故が発生して以来、政府と東電は虚偽の発表を繰り返してきた。先日、首相が発表した「事故収束」宣言もそうだ。そんな子供騙しの宣言が通じると思いあがり国民をなめてかかっている。いやむしろ、国民のことなど眼中にないと言ったほうがいいのかもしれない。
もちろん、福島第一原発の事故はまだ収束していない。
冷温停止などしていない。
原子炉から落ちた核燃料は発熱を続け、今も放射能をまき散らしている。
彼らが嘘ばかりつくのは、原発利権を守るためにほかならない。人々の生命や健康よりも、利権がらみのお金のほうが大事というわけだ。「事故収束」宣言も裏を返せば、「事故処理のめどはついた。原発事業を本格的に再開する」という原発利権グループへのメッセージだ。
利権による利権のための政治は、なにも原発事故だけには限らない。
この寒空の下、多くの人々が職を奪われ路上へ放り出されている。彼らはなまけていてそうなったのではない。能力がないからでもない。金融資本と大企業が必要以上の利潤――つまり、暴利を貪るために、その犠牲にされただけのことだ。まじめに働く人間がまともに暮せない政とはいったいなんなのだろう? 人々の暮らしは利権のためにあるわけではない。
どうか、一日も早く原発事故が収束し、復興が進みますように。路上に放り出された人々の手にまともな生活が戻りますように。
今年最後の『ゆっくりゆうやけ』になります。
お付き合いくださいまして、まことにありがとうございました。
来年もぼちぼち連載しますので、よろしくお願い申し上げます。
よいお年をお過ごしください。