中国でツイッターをするということ
中国から海外のツイッターへはアクセスできない。
政府が海外から情報が入り、それが暴動や政府打倒運動に繋がるのを恐れているためだ。
ツイッターの情報伝達力はすさまじい。情報発信力のある人をフォローしているだけでいろんな情報にアクセスすることができる。もっとも、情報の波にのまれてもそれを泳ぎ切るだけのタフさも必要になるのだけれど。自分だけの居心地のいい世界にいたいという人にはあまり向いていないツールかもしれない。
中国政府は「グレートファイアーウォール」という世界最大のファイアーウォールを築き、ユーチューブ、ニコニコ動画、FC2ブログといった政府にとって好ましくないサイトへのアクセスを遮断している。このことは、以前「なろう」に投稿したエッセイ「大陸中国の困ったネット事情」に書いたので興味のあるかたはご覧いただきたい。
ただし、抜け道もある。
グレートファイアーウォール回避ソフトを使えば、このネットの万里の長城を迂回して海外のサイトへ比較的自由にアクセルすることができる。僕はこの回避ソフトを使ってツイッターをしたり、アクセス禁止になっているブログを見たりしている。スグレモノだ。
もちろん、なんでも自由というわけにはいかない。
中国のネット回線は日本と比べると通信速度がかなり遅い。
こちらでは「四Mブロードバンドサービス開始!」などという広告をよく見かける。たったの四Mだ。しかも、ネット回線が細すぎるのか、ネットを使う人間が多すぎるのか(なにせ人口が多いから)、よくつまる。回線が切れてしまうこともよくある。
そんな通信速度の遅い状況で回避ソフトを使うと通信速度がさらに落ちる。細いトンネルを通るのでスピードが落ちるようなものだ。それでツイッターや禁止サイトなどに繋がらないことがままある。
ツイッター禁止やユーチューブ禁止になったことのない人にはわかりにくいかもしれないけど、このふたつにアクセスできないのは非常につらい。飛車角落ちで将棋を指しているような気分になる。
重宝している回避ソフトだけど、今年の七月、八月くらいから急に繋がり具合が悪くなった。バージョンアップする度に状況が改善されるのだけど、またすぐに繋がりにくくなってしまう。現に、今も繋がらない。
中国当局は血眼になって海外サイトを見せないようにしているから、おそらく、この回避ソフトを妨害するためにあの手この手を打っているのだろう。
なにせ、政府のネット管理部門の責任者は、
「我々はネットの世界をきちんとコントロールできていない。能力不足だ」
と嘆きながらも、ネットの世界を完璧に管理しようとしているのだ。そもそも、ネットの世界を管理しようなどと発想すること事態が間違いだと思うけど。ネットは開かれていてこそ意味がある。
日本へ帰った時、ツイッターにアクセスした途端、タイムラインがすぐに現れるのを見てびっくりしてしまった。こちらでは、タイムラインが現れるのを根気よく待っていたりするし、一本のツイートを流すため一時間くらいかけたりすることもあるのだけど、そんなことをしなくてもさくさく使える。ツイッターは瞬間瞬間が勝負だったりするから、速いほうがいいに決まっている。中国のネット事情もそんなふうになってくれればいいのだけど。